おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson1096
あなたに見せているのは、
相手が持つ多様な側面の1つ

何か、いざこざがあった時に、
相手を、必要以上に悪くおもう人がいる。

例えば、

あくまで急ごしらえで作った例で、
「私や身近に起きたわけでは決してない」例だけど、

二股をかけられた末に捨てられ、おまけに
相手は妻子がいることをずっと隠してた、
というケースを想定してみよう。

「あんなヤツの奥さんも子どもも、
きっと酷い扱いを受けてるはず、
将来ロクなことにはならないに決まってる。

あんなヤツ、友達なんて1人もいないはず。

あんな不誠実で、
何をしたってうまくいくはずがない、
いずれ仕事も行き詰まる‥‥」

というふうに、恋愛、結婚生活、友人関係、
はては仕事や社会生活まで全否定し、
「ひとでなし」にしないと気が済まないパターン。

一方、まったく同じケース同じ相手だとして、

「性善説」というか、
「スーパーポジティブ」というか、

「みんなあの人を悪くいうけど、
私にくれた愛は本物だった。

優しい人だからきっと苦しんでいたはず。
奥さんと子どもさんを捨てられなかったのも
あの人が優しいからこそ。

これからは、あの人からもらった
優しさだけを胸に抱いて生きていく‥‥」
と現実以上に美化してしまうパターン。

人は空白にたえられない。

いざこざがあっても、相手と話し合えない状況にいると、
「なんであの人はあんなことを‥‥」、
「なんで私をこんな目に‥‥」、と、
なんで、なんで、が降り積もる。

そのわからないこと=「空白」を、

わからないまま=空白にしておける人は少ない。
だから、空白を自分なりの「解釈」で埋めようとする。

解釈、憶測、とおりこして、
自分流の物語をつむいで空白を埋める人も
少なくないんじゃないだろうか。
そのときに、

現実以上に相手を悪にするか?
現実以上に相手を美化するか?

「あなたは、どっちだろうか?」

正解のない問題だ。

どっちがよい、わるい、とも言えない。
この間のグレーゾーンも、
空白のままにしておける人も、
的確な解釈ができる人もいるだろう。

かつて私も人間関係に苦しんだことがあった。

結果から言うと、
相手を必要以上に悪者にする解釈は、
私を幸せにしなかった。

最初は、私も、相手を「人でなし」と思おうとした。
というか、イヤなことをされてそうとしか思えなかった。
きっと相手は友達はおらず、
職場でも嫌われ、家庭でも嫌われ、
やがて仕事も行き詰まるだろう、と。

しかし、そう思えば思うほど、苦しくなるのだ。

そんなめったにいない悪人に私は遭遇したのか?
だったら不運きわまりないし、

そんな人でなしと付き合っている周りの人たちは、
人を見る目がないのか? 愚かなのか?
と、相手とかかわっている人々が、みんな、
軽薄な、だまされやすい人に、どんどん見えてしまう。

それに、何かあるたびに、
相手を必要以上の悪者にしていたら、
世界に1人、また1人、と悪人が増えていく。

不安や恐怖もそれに比例して増えて、
疑心暗鬼、よりいっそう人が悪に見えていく悪循環。

かといって相手を美化するのも私にはムリだった。

相手を美化するか、悪者にするか、
の2択なら、美化するほうが私はラクだ。
それだと、いざこざがあっても悪人は増えず、
世界が、「本当はいい人」で満ちていく。

部分的には、相手に感謝だってできる。
相手は自分に「こうしてくれた」「ああしてくれた」
「そこだけはありがとう」と言える。

だけど、

相手があきらかに間違っている部分を
見てしまった以上、
美化しようにも、全面的にはムリだ。

相手を必要以上に悪にもできず、美化もできず、
じゃあどうすれば、と模索していたとき、
こんな意味の言葉に出逢った。

「相手があなたに見せているのは、
相手が持つ多様な側面の1つ」

相手という1人の人間の中には、
誠実なところ、卑怯なところ、優しいところ、
意地悪なところ、良心的なところ、
無慈悲なところ、愛情深いところ、
たくさんの色々な側面がある。

かかわる人間によって相手がどの面を見せるかは違う。

相手は、好きな人には、
優しい面、辛抱強い面、愛情深い面を見せる。

一方、相手は、嫌いな人には、
冷たい側面を見せることもあるし、
無礼で、非人道的な面を見せることもあるだろう。

「相手があなたに醜い一面を見せたとしても、
それは相手の全部ではない。
あなたという人間に向けられた、
相手の多様な側面のなかの1つ」

この言葉を受け入れるのは、最初きびしかった。

「相手は私を嫌っている、
だから私には嫌な側面を見せる」

と受けいれるのはキツイ。けど、

「きっと、お子さんにとっては良い親で、
大切な部下にとっては優しい上司で、
親友には愛情深く‥‥」

と解釈していくことで、
相手のまわりにいる人々を、人を見る目がない、
と嫌いになっていくこともなくなる。

1人の人間にはテッペンのようないい所も、
温かさとクールさのような左右のふり幅もある、そして、

「人間の底」もある。

日ごろ賢そうなことを言っている人が、
口ばっかりだった一面を見たり、
日ごろ、いじめのような行為をひどく嫌っている人が、
無自覚にいじめに等しい行為を人にしていたり、
それが、その人の「人間の底」。

いざこざが起こったとき、
おもいがけず、人の、とんでもなく醜いところを
見てしまうことがある。その時、

「自分は相手という人間の“底”を見ている」

と、私は解釈するようになった。

“底”なんだから、相手にも、
天井のようないい所もあり、左右のふり幅もあり、と、
おのずと思えてきて、
相手を必要以上に悪にすることもない。
いざこざのたびに世界に悪人が増えていくこともない。

それでいて人間の底をしっかり見ているわけだから
ムリに相手を美化することもせずに済む。

「自分にしか見ることができない相手の人間の底」

そうとらえれば、寂しくもあるが、
しーん、と心落ち着く。

「これも貴重な経験になる!」

と私は思う。

ツイートするFacebookでシェアする

………………………………………………………………………

お申込みはこちらから
https://www.kinjo-gakuin.net/event/open/

お問い合せは→金城学院大学 入試広報部
TEL:0120-331791

………………………………………………………………………

「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.com までメールでお送りくださいね。
★仕事のご依頼はここに送らないでください。
山田ズーニーtwitter( @zoonieyamada )へお願いします。
または山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をおたずねください。


お申込みはこちらから
→https://www.kinjo-gakuin.net/event/open/
※終了しました
お問い合せ 金城学院大学 入試広報部
TEL:0120-33-1791 Mail:nyushi@kinjo-u.ac.jp


お申込みはこちらから
→https://001.webexpo.jp/exhibition/USS
※終了しました
●お問い合わせは
株式会社ウチダシステムズ フェア事務局
TEL:03-3537-0888
e-mail:ussfair2021@uchida-systems.co.jp
*「ほぼ日」に問い合わせないようお願いします。


お申込みはこちらから
→http://www.kinjo-gakuin.net/event/open/202107/
※終了しました
お問い合せ 金城学院大学 入試広報部
TEL:0120-33-1791  Mail:nyushi@kinjo-u.ac.jp


お申込みURL:https://forms.gle/CWB7PorRGe9BJkYx6
※終了しました
お問い合せ先:北日本新聞就職情報センター(kinet) 
メールアドレス:kitanippon.kinet@gmail.com 
電話:076-445-3337(平日9:00〜17:00)「とやま就活」まで


【満員御礼!】この講座は満席になりました。
キャンセル待ちも締め切りました。
たくさんのお申込みありがとうございました。

宣伝会議 表現力養成コース

編集・ライター養成講座20周年記念講座

山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く

山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
大学・高校生から
ビジネスマン・プロのライターから作家まで
幅広い層に、数えきれないほど表現講座を開いてきました。
その原型が生まれたのが、
宣伝会議の編集・ライター養成講座でした。
現在も講師をつとめており、毎回、
受講者に次のような声をいただき手ごたえを感じています。

 

・自分の想いの根幹を探るという経験を
こんなにじっくりと時間をかけてやったことはなかった、
得難い経験でした。

・終了したとき、この講義の意図が
身体にしみわたるように理解できた。
コミュニケ―ションが苦手だったが、
非常に楽しく有意義に受講できた。

・自己開示が苦手だったが、一気に開くことができた。

・現実の出来事を多角的に見て、表現のヒントを探すことは
全ての実務に活かせると思います。

・自分の可能性を信じようと思えた。
自分はつまらない人間ではない。

今回20周年を記念して、ご担当者の、
「この先を行く特別な講座をひらきたい。
表現力をつけたい気持ちはあるものの、
そもそも自分に伝えたいことはあるのか、
と悩む人も多く、その人たちに、
自分を貫くテーマを発見したり、
相手の心に響くように伝えるコミュニケーション力を
つけたりできる場を提供したい。」
という志に共感しました。
2時間×12コマで、
文章表現の本格的な基礎づくりから始まって、
相手に伝わる表現、社会に説得力を持って書く、
さらに、自分にしか書けない主題を発見して書く!
までを責任を持ってサポートします。
ひとりでは気づけない自分の潜在力も、
多彩な仲間とともに引き出しあえるから開花します!
表現を通して他の受講者と心底通じ合える
「感動」の授業です。
心を揺さぶる文章を書きに、ぜひ、来てください。

あなたには書く力がある。

●詳細・お申し込み・お問い合わせは、すべて
こちらのページから
(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。


表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
河出文庫

会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
無職のおばさんと見ることだった。

それまで仕事をがんばって経験を積んできた
他ならぬ私をわかってほしい。

この発想・考え・想い・感性が、
かけがえなく必要とされたい。

理解という名の愛がほしい。

「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。

 

●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=699

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

 

ワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

――3回で一生ものの書く力・話す力が育つ

書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
意志が芽生える。

さらに、

言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。

あなたには表現力がある。

山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



関連コンテンツ

今日のおすすめコンテンツ

「ほぼ日刊イトイ新聞」をフォローする