おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson1091
ここは知識の出番じゃない

「蛙化」という言葉が、
若者の流行語になってると、
おくればせながらに知った。

数年前、蛙化現象に興味があった私は、
たくさんの若者の考えを知るいい機会だ、と、
さっそくネットを検索してみた。

ところが、

ちがう。

若者たちは、本来とは違う意味あいで
「蛙化」をつかっていた。

違うと言いきっていいのか、
解釈をどんどん拡大していると言うか。

「好きだった人のちょっとした言動で、
幻滅し嫌気が刺してしまう」

ような意味あいで蛙化をつかっていた。
私が知ってる言葉では、
「恋冷め(こいさめ)」に近い。

本来の蛙化について、
たくさんの考えを知れる、
と期待が大きかった私は、がっかりし、
口をとんがらせたまま、

「本来の意味は~」

と自分のSNSに書こうとした。

その時、
私が、私に、猛烈にツッこんだ。

「知ってるからって、だからなんなんだ!」

ああ、そうだった。
いかん、いかん、
“そういうとこ”だぞ、私。

言葉は、その時・その場・その文脈の中で
どうつかわれているか?

解釈を共有してやりとりしなければならない。

Z世代が「蛙化」にどんな独自の解釈を与えようと、

まず、すべきことは、
言葉の解釈を知って、共有すること。

あとは、その解釈に従って、
若者たちの文脈にのりこんでいくのみ。

大切なのは、
蛙化という言葉をつかって、
若者たちがどんな想いを表現しようとしているかだ。

「想いを汲む」

蛙化という言葉をつかって、
どんな切実な、
どんな言わずにおられない、
「想い」を表現しているのか、

その想いを汲んでやりとりしていけばいいだけだ。

「ここは知識の出番じゃない」

知識は、仕入れると、つい、
文脈かまわず、披露したくなる。

相手がちょっとでもずれてると、
相手が言わんとすることを受けとめる前に、もう、
頭ごなしに披露してしまうことさえある。

少ない手持ちの知識を披露して、
相手に役立ちたい、場に役立ちたい、願いもある。

でも、いかに正しい知識をもっていようと、
その文脈で求められていない知識は、けむたいだけだ。

若者たちは、
蛙化という言葉をつかって、
勉強しようとしているのではない。

遊ぼうとしている、

楽しんでいる、

通じ合おうとしているのだ。

それに、
私たち世代だって、
上の世代が正しい解釈でつかってきた言葉を、
さんざん勝手に解釈して、
つかいたおしてきたはずだ。

もしも、自分が、
おいしいラーメン屋さんにいく時間もないほど、
忙しくて、大変で、
ずっと頑張って働き続けていたとして、

その仕事がやっと完成し、

何カ月も行けなかった、
おいしいラーメン屋さんに、
やっと同僚と行くことができたとする。

一緒に苦しい中頑張ってきた同僚と、
やっと念願のおいしいラーメンを、一口、

その瞬間、

「ヤバい!」

と思わず声が出て、
同僚も、

「ヤバいくらい、ヤバい!」

と声が漏れ、
二人で

「ヤバい、ヤバい、ヤバい!」

と、泣きそうになって
おいしさかみしめ、
しあわせかみしめあってる最中に、

隣の年長者が、

「ちょっと、いいですか?
ヤバいの言葉の本来の意味はさぁ~」

とわりこんできたら、
もうけむたいどころではない。

コミュニケーションの妨げだ、

だいなしだ。

「知ってるからって、だからなんなんだ!」

本来の意味なんて、スマホ一発、ポン!だ。

蛙化も一発ポンで、おそらく多くのZ世代も、
本来の意味は承知だろう。

この時代、知識の披露はありがたがられない。

にわか知識を手に入れたときほど、
自分に自信がない時ほど、
知識は披露したくなるから注意だ。

「コロナに青春を奪われた」

そんな学生の切実な表現を、
これまで何度、受け取ったことか。

コロナ禍に、高校の3年間を過ごした若者、
かけがえのない大学生活を過ごした若者がいる。

中には、恋人をつくるどころか、
友だちをまったくつくれぬまま、
それ以前に、同級生とじかに会うことすら
許されず過ごした人もいる。

圧倒的に生の人間と触れ合う実体験が不足したまま、
青春を過ごしたZ世代が語る「蛙化」、
その想いの底に耳を澄ませば、
時代の声が聴こえてくるかもしれない。

想いを汲み、

その底にある時代の声を聴き、

さらにその底にある人間普遍の声を聴く。

それに比べれば、
言葉本来の意味などどうでもいい、
とまでは決して言わないが、
言葉は、おたがいの解釈がそろっていれば、
まずは事足りるのだ。

つい知識を披露したくなる時、
いま、ここ、にいる人の想いに耳を澄ませよう。

「ここは知識の出番じゃない。」

けむたいおばさんになるなよ、私。

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【満員御礼!】この講座は満席になりました。
キャンセル待ちも締め切りました。
たくさんのお申込みありがとうございました。

宣伝会議 表現力養成コース

編集・ライター養成講座20周年記念講座

山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く

山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
大学・高校生から
ビジネスマン・プロのライターから作家まで
幅広い層に、数えきれないほど表現講座を開いてきました。
その原型が生まれたのが、
宣伝会議の編集・ライター養成講座でした。
現在も講師をつとめており、毎回、
受講者に次のような声をいただき手ごたえを感じています。

 

・自分の想いの根幹を探るという経験を
こんなにじっくりと時間をかけてやったことはなかった、
得難い経験でした。

・終了したとき、この講義の意図が
身体にしみわたるように理解できた。
コミュニケ―ションが苦手だったが、
非常に楽しく有意義に受講できた。

・自己開示が苦手だったが、一気に開くことができた。

・現実の出来事を多角的に見て、表現のヒントを探すことは
全ての実務に活かせると思います。

・自分の可能性を信じようと思えた。
自分はつまらない人間ではない。

今回20周年を記念して、ご担当者の、
「この先を行く特別な講座をひらきたい。
表現力をつけたい気持ちはあるものの、
そもそも自分に伝えたいことはあるのか、
と悩む人も多く、その人たちに、
自分を貫くテーマを発見したり、
相手の心に響くように伝えるコミュニケーション力を
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という志に共感しました。
2時間×12コマで、
文章表現の本格的な基礎づくりから始まって、
相手に伝わる表現、社会に説得力を持って書く、
さらに、自分にしか書けない主題を発見して書く!
までを責任を持ってサポートします。
ひとりでは気づけない自分の潜在力も、
多彩な仲間とともに引き出しあえるから開花します!
表現を通して他の受講者と心底通じ合える
「感動」の授業です。
心を揺さぶる文章を書きに、ぜひ、来てください。

あなたには書く力がある。

●詳細・お申し込み・お問い合わせは、すべて
こちらのページから
(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。


表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
河出文庫

会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
無職のおばさんと見ることだった。

それまで仕事をがんばって経験を積んできた
他ならぬ私をわかってほしい。

この発想・考え・想い・感性が、
かけがえなく必要とされたい。

理解という名の愛がほしい。

「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。

 

●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=699

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

 

ワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

――3回で一生ものの書く力・話す力が育つ

書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
意志が芽生える。

さらに、

言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。

あなたには表現力がある。

山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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