おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson1085
哀しみはいつまでつづく?

「喪失感ってどこまで大きくなるんだろう?」

今年になって、
恐がりの私はビビっていた。

昨年、父が旅立った。

当時は、とくに母は、
一時期ガクンと認知が落ち、
もともと細かった食がさらにさらに細く、
やつれ、やせ細り。

家族はかつてない痛みの中にいたが、

無事、年もあけ、
親戚やまわりの人のおかげで、
かなり落ち着いてきた、

‥‥と楽観していたころ、「それ」がきた。

きっかけは「おはぎ」。

私は、おはぎが好きで、
お店で見つけると素通りできず、
ついつい買って食べてしまう、しかも、

2個。

どうしても1つで我慢できない好物だ。

父もおはぎが好物だったと知ったのは、
亡くなったあと。

母は、お供えものを準備するとき、
毎度毎度、

「おとうちゃんは、おはぎが好きじゃったけぇなあ。」

と言う。そこまで好きとは知らなかった。
饅頭や甘いもの全般が好きだったとは知っていたが。

「親子だなあ。」

それ以来、私は、おはぎを食べるたび、
父を想うになった。

近所におはぎのおいしいスーパーマーケットがあり、
週1回は食べるのだが(2個)、

それ以来、おはぎを買いに行く道すがらも、
スーパーでおはぎを手に取るときも、
帰る道すがらも、食べるときも、

ずーーーっと、

父のことがよみがえってくるようになった。
子どものころ、父と、
川にハエ(小さい川魚)釣りにいったことなど。

「父の日」のシーズンはつらかった。

テレビでも、ネットの広告でも、
スーパーのチラシも、
「父の日」一色になる時期がある。

「父の日も、母の日も、
親を亡くした人はこんな気持ちだったのかなあ。」

と、初めて味わう切なさにとまどう。

「自分にはもう孝行する父はいない」

という寂しさもあるが、
それ以上に罪悪感。

父とはよくケンカをした。

あきらかに反発して、
「母の日」にはプレゼントをしたが、
「父の日」には何もしなかった年もある。

「父はあのとき、どんな気持ちだったろう。」

痛みが、胸を突く。

哀しみがおさまったと楽観したころに、
襲ってくる「それ」とは、

「喪失感」

月日が立つにつれ、
「いない」がはっきり自覚され、
そのたびごとに哀しみが満ちてくる。

「哀しみはどこまで続くんだろう?」

父の一周忌。

私は、
喪失感はどんどん大きくなり一生つづくのでは、
という不安にとらわれたまま帰省した。

一周忌の法要は、偶然にも!
父の葬式と同じ部屋になった。

たまたま葬儀でつかう大きな部屋が、その日、
あいていて、「こっちでやらせてあげる」と
言われたそうだ。

一周忌は、葬式よりささやかに行われるので、
もともとは、より小さい部屋を予約していたので、
予想外の展開だった。

一周忌の法要が始まった。

1年前、父が旅立った時と、
まったく同じ会場、
おなじ顔ぶれ。

同じ父の遺影に向かって、
1年前と同じ席順で並ぶと、

1年前のことが、まざまざとよみがえってきた。

その瞬間、

「はっ! ちがう‥‥」

と、私は気づいた。
あまりのことに驚いた。
目が覚める想いがした。

「ちがう、ちがう、ゼンっゼン! ちがう!!」

1年前とは、カラダの感覚がまるで違う!

1年前、自分は、
母に比べれば、まいってないと思っていた。

けど、1年前と同じ席で、
1年前のカラダの感覚がよみがえってくると、

「あんなにヘトヘトで、痛みの中にいたんだ‥‥」

と、びっくりする。
1年前、自分は満身創痍だった。
1年たったいま、やっとそれに気づけるくらい、
痛みにつかれきっていた。

母を見ると、

「1年前の、あの痛々しさがない!」

1年前の母は、痛々しくて見てられなかった。
言葉やふるまい、表情もだけど、
何も言わなくても、何もしなくても、
存在から痛々しさが漂ってきて胸をしめつけていた。

そんな母も、1年前と比べると。
悲壮感がまるでちがう。

1日1日の回復は目に見えなくても、
1年ふりつもると目に見えて、母は、立ち直っていた。

会場をみまわし、
家族の顔をひとりひとり見ると、

1年前、家族を襲った大きな痛みは、
かなり静まっていた。

「たまたま同じ会場だったから気づけた。」

もし、同じ会場でなかったら、
1年前のカラダの感覚を呼び覚ますことがなかったら、

いまも、この先どこまで哀しみがつづくのかと、
不安がり、恐れて暮らしていただろう。

この先、何度も、
波のように喪失感が押し寄せても、
その時はつらくとも、
それは、あの1年前の満身創痍とは違う。
波と波の感覚はしだいに長くなっていく。

そう思えるようになった。

「カラダは勝手に立ち直っていくなあ。」

どんなに私が懐古にひたり、後悔に沈み、
前を向かずにいたとしても、

食べることや、
眠ることをおろそかにしなければ、

カラダは勝手に前を向いて、
生きる方へ生きる方へ、
立ち直り続ける。
1年つもると、目に見えるほどに。

それは心の痛みまでやわらげていく。

「哀しみはいつまでつづくのか?」

これを書いている9月、
終わりそうになかった今年の猛暑も、
かげりが見えてきた。

“暑さ寒さも彼岸まで”

どんな暑さも、どんな寒さも、永遠には続かない。
やがて必ずかげりが来る。

「哀しみ1年耐えてみよ。」

と、私は、自分に言うだろう。

万人にはあてはまらないかもしれない。
人によって、1年より短い人も、長い人も
いるかもしれない。けど、

私には、カラダの感覚としてつかんだ経験知だ。

「1年たてば、」

カラダのほうで勝手に立ち直ってくる。
そこから気持ちも、ずいぶんましになってくる。

「どんな哀しみ苦しみも永遠には続かない」

と私は思う。

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【満員御礼!】この講座は満席になりました。
キャンセル待ちも締め切りました。
たくさんのお申込みありがとうございました。

宣伝会議 表現力養成コース

編集・ライター養成講座20周年記念講座

山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く

山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
大学・高校生から
ビジネスマン・プロのライターから作家まで
幅広い層に、数えきれないほど表現講座を開いてきました。
その原型が生まれたのが、
宣伝会議の編集・ライター養成講座でした。
現在も講師をつとめており、毎回、
受講者に次のような声をいただき手ごたえを感じています。

 

・自分の想いの根幹を探るという経験を
こんなにじっくりと時間をかけてやったことはなかった、
得難い経験でした。

・終了したとき、この講義の意図が
身体にしみわたるように理解できた。
コミュニケ―ションが苦手だったが、
非常に楽しく有意義に受講できた。

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・現実の出来事を多角的に見て、表現のヒントを探すことは
全ての実務に活かせると思います。

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「この先を行く特別な講座をひらきたい。
表現力をつけたい気持ちはあるものの、
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●詳細・お申し込み・お問い合わせは、すべて
こちらのページから
(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。


表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
河出文庫

会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
無職のおばさんと見ることだった。

それまで仕事をがんばって経験を積んできた
他ならぬ私をわかってほしい。

この発想・考え・想い・感性が、
かけがえなく必要とされたい。

理解という名の愛がほしい。

「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。

 

●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=699

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

 

ワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

――3回で一生ものの書く力・話す力が育つ

書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
意志が芽生える。

さらに、

言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。

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山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
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人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
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この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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