おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson1078
生産性の無い仕事をしてるとき

仕事でも家事でも、
地域や趣味の集まりの雑用でも、

「生産性の無い仕事をしてるとき、
人はそのやるせなさをどうしているんだろう?」

最近、私は、ささやかだけど「おっ!」と、
ブレイク・スルーすることがあった。

つい先日まで、私は、
「カーテンのすそ出し」をえんえんとやっていた。

ひっこしをしたら、

前の部屋のカーテンが、
「寸足らず」になってしまったからだ。

カーテンが寸足らず、たったそれだけのことで、
毎日、毎晩、落ち着かない。
わびしい感じすらする。

けど、直すとなったらひどく面倒だ。

見て見ぬふりをした。
1ヵ月ほどたって、
カーテンの違和感に耐えきれなくなった。

いざ、すそ出しを始めてみると、
頭で思う10倍、面倒くさかった。

まず、ミシンで細かくみっちり縫ってある
カーテンのすその縫い目をほどく。

安全カミソリで、
布を傷つけないように慎重に、
ミシンの一目一目を切っていく。

やりつけないから、勝手がわからない、
不慣れな手つきで時間がかかる。

まず1まい、試験的にほどいてみると、

元の折り目にくっきりと黒いヨゴレが線になって
くっついている。これがなかなか落ちない。

ブラシに洗剤をつけてこすると、
ヨゴレは落ちるが、カーテンの柄も落ちてしまう。

かといってスポンジでこするとヨゴレが残ってしまう。

黒い線状のヨゴレをどうにかこうにか落とし、
つぎにカーテンを洗濯機で洗って‥‥
すその折り目をのばすためにアイロンをして‥‥
干して‥‥、と、

次から次へと仕事が増えていく。

一気にやれたらいいんだけど、
失敗すればカーテン全滅になるので、
少しずつ様子を見ながら、
やり方を改善しながら、コツコツコツコツやっていった。

「いったい私はなんでこんなことをやっているのか?」

こんな生産性の無いことを。

3日目を迎えるころ、さすがに疲弊もピークになった。

「もっとほかにやるべきことがあるのでは?」

「こんなことで大事な睡眠時間が減ってもいいのか?」

投げ出したい気持ちを、

「どうにもこうにも嫌気がさしてできなくなったら、
ぜんぶ放り出して寝ていい。
だからそうなるまでは、やってみよう」

と自分でとりなす。

えんえんと続く。

終わる気がしない。

カーテンは、厚地と、薄地で透けるのと、
セットになっており、

仮に、今やってる厚地のカーテンのすそ出しを、
全部やりきったとしても、

その次に、薄地で透けるカーテンに、
何か所も破れがあり、
それを繕(つくろ)わなくてはならない。

1つ面倒をのりこえようとしても、
のりこえたらその先に、
さらに面倒なことが待ってる構図に、
疲弊した。

私は無気力の「無」のまま、

ロボットのように厚地のカーテンの最後の
1まいまでやりとげ、
洗濯してカーテンレールにかけ終わった。

どれだけ時間がかかっただろう。

やり遂げても達成感も、
喜びもわかない。

無気力の「無」のまま。

私は、ロボットのように
次なるカーテンの作業へととりかかった。

「ん?」

しばらくして、私は部屋の雰囲気が
あきらかに違っていることに気づいた。

無視して作業を続けようとしたが、
無視できなくなって、ようやく、顔をあげて
部屋全体を見渡した。

夜だから全てのカーテンはしまってる。

この1ヵ月は、そこに寸足らずのカーテンがあり、
不協和音を出し続けていた。

でも、いま、そこに、
丈のピタッと合ったカーテンがある。

どれもさっぱり洗いあげられて、
花の色柄もくっきり映え、
秩序をもって並んでいる。

「ゼンゼンちがう!!!!!
これまでとゼンっ、ゼン、部屋がちがう。」

空気も、時間の流れもまるでちがう。

それまでの1ヵ月、
寸足らずのカーテンが出してた空気は、

粗雑、ちぐはぐ、横着、不安定、不調和、
不協和音、ぞんざい、わびしさ、無精(ぶしょう)‥‥。

それが、カーテンの丈がピタッと合った、
ただそれだけで、

落ち着き、安らぎ、調和、安心、くつろぎ、
楽しさ、静けさ、優しさ、ゆとり‥‥。

まったく違う「世界」がそこに生まれていた。

無気力の無の目、ロボットの心、だった私に、
ぐわっ、と感情が、わきあがった。
うっすら涙がにじんだ。
疲れが吹っ飛ぶ想いって、まさにこれだ。

「世界観をつくっていたんだ‥‥」

生産性の無い仕事をしていた、わけじゃなかった。

意味のある仕事、いや、それどころか、
世界をつくっていた。

世界観をつくるって、
こんなに地味な作業をコツコツコツコツ
積み上げなきゃいけないんだな。

反射的に、母のコツコツコツコツとした家事を
思い出した。

ごはんのあと、お茶を持ってくるのに、
いったん茶碗をさげたり、食卓をさっぱり拭いたり、
名もなき家事をコツコツコツコツ積み上げていたことを。

お茶が入った時、居間に流れ出した楽しい時間を。

母は、生産性の無い家事をしていたのではない。
家族が安らげる空気をつくっていた。
ここが居場所とくつろげる空間を、
楽しい時間をつくっていた。

母は「家庭」をつくっていたのだ。

ディズニーランドの、ゴミを瞬時になくす清掃しかり。

世界観をつくるには、
小さなことも、おろそかにしては台無しだ。

私はそこから息を吹き返したように、
イキイキとカーテン仕事をやり通した。

薄地の透けるカーテンの繕いは、
同じ布の花の柄を1つ1つ
アップリケのように切り抜いて、
破れ目に「裁縫のり」で貼るという、
とても面倒な作業だったけど、

「なんでこんな生産性の無いことを」とは、
もう私は思わなかった。

ゴールが変われば自ずとモチベーションは湧く。

「空気をつくる、
時間の流れを変える、
思い描く一つの世界をつくっている」

そう思うと、
面倒な作業ひとつひとつの必然性が見え、
まるでアートをやってるかのように楽しかった。

「生産性の無い仕事をしているとき、
もしかしたら世界をつくっているかもしれない。」

そんな考えを、どこか頭のすみに置いておきたい、
と私は思う。

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【満員御礼!】この講座は満席になりました。
キャンセル待ちも締め切りました。
たくさんのお申込みありがとうございました。

宣伝会議 表現力養成コース

編集・ライター養成講座20周年記念講座

山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く

山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
大学・高校生から
ビジネスマン・プロのライターから作家まで
幅広い層に、数えきれないほど表現講座を開いてきました。
その原型が生まれたのが、
宣伝会議の編集・ライター養成講座でした。
現在も講師をつとめており、毎回、
受講者に次のような声をいただき手ごたえを感じています。

 

・自分の想いの根幹を探るという経験を
こんなにじっくりと時間をかけてやったことはなかった、
得難い経験でした。

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身体にしみわたるように理解できた。
コミュニケ―ションが苦手だったが、
非常に楽しく有意義に受講できた。

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・現実の出来事を多角的に見て、表現のヒントを探すことは
全ての実務に活かせると思います。

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「この先を行く特別な講座をひらきたい。
表現力をつけたい気持ちはあるものの、
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●詳細・お申し込み・お問い合わせは、すべて
こちらのページから
(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。


表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
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会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
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かけがえなく必要とされたい。

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「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。

 

●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=699

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

 

ワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

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書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
意志が芽生える。

さらに、

言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

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山田ズーニーワークショップ型実践講座、
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「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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