おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson1114
コミュニティで問題が起こったとき
何を大事にするか?

趣味の仲間、友人、職場、学校のクラスなど、
人の集まりを広くここで「コミュニティ」と呼ぶとして、

「コミュニティで問題が起こったら、
何を目指して、何を大事にするか?」

正解のない問いだ。

どんな問題が起こったか、にもよる。

趣味の集まりで陰湿ないじめが起きたのか、
職場でパワハラが続いていることが発覚したのか、
教室に恐い親御さんが何度ものりこんでくるのか。

けど、それが職場なら、
こんなふうに思うリーダーは多いんじゃないだろうか。

「一日も早く、社員が安心して働ける
もとの職場を取り戻すことを目指す。
それまでは少なくとも、
お客さんにだけは迷惑をかけないように、
業務に支障をきたさないことを最優先する!」

それが学校なら、
こんなふうに思う先生も少なくないんじゃなかろうか。

「生徒が安心安全に教育を受けられる日常を、
一日も早く取り戻すことを目指す。
それまでは少なくとも、
生徒の学力に大きな遅れや低下を出さないよう、
授業だけはなんとしてでも質を保ってやり続ける!」

私も、かつて、そう思っていた。

けれど、そうじゃないかも、と
気づくことがあったので、お伝えしたい。
プライバシー保護のため設定に改変を加えて伝える。

かつて私が働いていた職場に、
恐い人が何度ものりこんできたことがある。
仮にAさんとする。

Aさんは、クレームと称しているが、
「言いがかり」としか言いようがない。

一度来たら最低でも2時間は帰ってくれない。

いまの時代なら、クレーム対策が整備されつつあるし、
そもそも受付が無人で、内線電話のみなど、
人が入ってこられない仕組みも作られつつあるが、

当時の、あまりにも、のどかな地方で、
性善説に立ったセキュリティでは、
Aさんに、穏便に、丁重に、お帰りいただくのみだった。

Aさんの攻撃的な言葉は、
言いがかりとわかっていてもカラダをえぐる。

私もメンバーも、はたが見る以上に傷つき、
腹立たしさ・悔しさ・怒り・不安・恐怖に
疲弊していくばかりだった。

リーダーである私は、

「顧客にだけは迷惑がかからないように」

「だから仕事だけは質を落とさずやりきる」

を大事にして対応していった。

だけど、その貴重な仕事時間が、
Aさんがひとたび来ると、みるみる奪われる。
私はAさんの件を報告書に書いて、
毎回しかるべき部署に出さねばならず、
さらにAさんの対応を会社と話し合ったり、
その方針をメンバーに伝えたり、

「なんでこんなことに
貴重な時間を奪われなきゃならないのか」

理不尽に思えてならなかった。

そんなある日、
会社が、こういう問題に詳しい有識者を複数招いて、
相談の場を設けてくれた。

私は経緯を説明したあと、こう問うた。

「どうすれば平穏な仕事の日常が取り戻せるのか?
解決にあたって何を目指し何を大事にすればいいのか?」

すると、ある先生が、

「とても残酷なことを言うようだけど、
警察は何か事件が起こらないと動いてくれない。
スッキリ問題が解決する方法はないし、
スッキリ問題が解決すると思わない方がいい」

と言った。その先生は、
酷いクレームを直接受けたことも何度もあるし、
一度は「さしころす」まで言われた。
とにかく実体験・経験が豊富な方だ。

そんな恐ろしい思いをしても、先生は、
そうせずにはいられない人々のために、
仕事を通して関わり続けている。

先生は、本当に差別や偏見がない人なのだと、
話を聞いているうちに心が打たれた。

先生は言う、

「そうやって文句を言ってくる人は、それまでに、
あちこちのコミュニティで嫌われ、排除され、
もう他にどこも行き場がなくて、しかたなく、
ここに来ている可能性がある」

「そういう人間を、さらに徹底的に排除して、
どこにも行き場がないように孤立させてしまうと、
攻撃性を帯びる」

腑に落ちる説明だった。
どこにも居場所がなくなった人間が、
寂しさと孤立感をつのらせ「攻撃的」になる、
近年では、秋葉原連続殺傷事件とか、
映画「ジョーカー」とか。

そして、その攻撃性が募れば「殺気」を帯びる。

殺意が他人に向けば、通り魔など事件になる。
そして、殺意が本人自身に向けば‥‥と私が考えたとき、
先生が言った、

「亡くなる人は、誰にも、何も言わず、
自分ひとりでひっそり亡くなるんですよ」

世界の視野で見たとき、問題行動を起こす人を
徹底排除して孤立させてしまう国と、
できるだけ居場所や受け皿を確保したうえで
解決に向かおうとする国と、
対応に差があることも教えてくださった。

私は思った。

「私たちがAさんに命をすりへらすのも嫌だけど、
目先の仕事効率を優先するあまり、
Aさんを必要以上に排除し孤立させ、
Aさんが攻撃的になって、
社会に殺意を向ける未来も嫌だ。」

その時、私は、コミュニティで問題が起こった時、
何を大事にすべきか、はっきりわかった。

「命を守る」

だれも死なない、だれも死なせない、ようにする。

将来、問題の出口に立った時、
全員の命が守られていれば良いゴールなのだ。

もちろん、
「顧客に迷惑をかけない、業務に支障をきたさない」
ことは大事だけど、2番であって1番ではない。
命には代えられない。

それがわかって私はものすごくすっきりした。

Aさんの報告書を書く時間も、
対応について考えることも、
ひとつひとつ命にかかわる意味あることに思えてきた。

一つ一つの選択に筋が通った。

Aさんへの応対は、私やメンバーでなく、
会社の専門部署の人が複数で話を聞くことにした。

同時並行で、
会社の専門部署に、
Aさんが、もしもクレームを辞められないことに
苦しんでいるなら、悩みを相談したり、
カウンセリングを受けたりできる
地域のサポートを準備してもらった。

驚くほどぱったりAさんが来社することはなくなった。

結果的に業務に支障なく、
仕事の質をさげることもなく、
問題はスッキリ解決した。

「命を守る」とはオーバーな、と思う人もいるだろう。
もちろん、ここに書いたのは、
私のたった1つの個別のケースにしかあてはまらない、
私個人の考えだ。けど、

「何があっても業務に支障があってはならない」
と無自覚に思い込んでいるか、
「もしも誰かの命にかかわるなら、
仕事の効率が下がってもやむをえない」
と心の準備をしているか、
どちらを選ぶかで、その先の選択はずいぶん違う。

ひとりひとり答えは違うし、
ちがっていいのだけれど、

「コミュニティで問題が起こったとき、
あなたがいちばん大事にしているのはなんですか?」

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(電話03-3475-3030 山田ズーニークラス担当者まで)
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「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.com までメールでお送りくださいね。
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【満員御礼!】この講座は満席になりました。
キャンセル待ちも締め切りました。
たくさんのお申込みありがとうございました。

宣伝会議 表現力養成コース

編集・ライター養成講座20周年記念講座

山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く

山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
大学・高校生から
ビジネスマン・プロのライターから作家まで
幅広い層に、数えきれないほど表現講座を開いてきました。
その原型が生まれたのが、
宣伝会議の編集・ライター養成講座でした。
現在も講師をつとめており、毎回、
受講者に次のような声をいただき手ごたえを感じています。

 

・自分の想いの根幹を探るという経験を
こんなにじっくりと時間をかけてやったことはなかった、
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コミュニケ―ションが苦手だったが、
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(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。


表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
河出文庫

会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
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かけがえなく必要とされたい。

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「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。

 

●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=699

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
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ワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

――3回で一生ものの書く力・話す力が育つ

書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
意志が芽生える。

さらに、

言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。

あなたには表現力がある。

山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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