糸井 |
しんどい仕事を一緒にしてきた友達って、
戦地をくぐった人どうし、みたいになりますよね。
苦しい時に逃げちゃうヤツなのか、
足をふんばるヤツなのかがわかりますから。 |
ガンジー |
私の場合は、今まで、どういうわけか、
逃げたいという気持ちはほとんどなかったですが、
逃げるっていうのは、よくありませんよね? |
糸井 |
それはそのまま、ぜんぶ心に借金が残りますから。 |
ガンジー |
ひとつの事業が失敗しても、
どこかでほとぼりが冷めて、
法律の責任がないというところがあるから、
そこでまた出てきてやっているという例は
あるようですけど。 |
糸井 |
そっちのほうが、
社会から見ると「上手」な人なんでしょうね。
でも、その「上手さ」というのは、
一生から見たら、
あんまりいいことではないでしょうね。
ぼく、40歳に成り立てくらいの時から、
20歳代の借金を返しているような
気がしましたから。
実際の借金があったわけじゃないけど、
粗末にしてきた人だとか、女の子だとか、
いろんな不義をしてきましたよね。
それは、40歳くらいになると、
借金のような気がしはじめるんですよ。
それを
「うわあ・・・!
昔のことも、ぜんぶ残るんだ」
と思って、嫌だったですね。
20歳代って、わけわかんないですから。
自分のことしか考えてないですから。
実際には、45くらいになって、やっと、
返済をはじめられるような気がしだす・・・。 |
ガンジー |
私は、まだそれが。 |
糸井 |
(笑)借金、たまってますよね。
ぼくの実際の感覚としては、
年を取ってからのほうが、
ずっとおもしろいですんですけど。 |
ガンジー |
そうですね。
・・・あ、ところで、
ほぼ日のおさるさんは、何ですか? |
糸井 |
これは、ほぼ日がはじまる前に
1か月くらいかけて、
デザイナー(アッキィ画伯)と一緒に考えたものです。
何かシンボルマークがあるといいな、
と思って・・・おさるというのは、
人間になる手前だから、ということで。
耳をでかくしたのは、
しゃべることよりも聴くことを
たくさんできるように、で。 |
ガンジー |
おさるから、教わろうと。 |
糸井 |
出ましたねえ、ガンジーさん。
(笑)おさるわろう、教わろう。 |
ガンジー |
(笑)おさる、かわいいですね。
ガンジーのやつも、つくっていただいて。 |
糸井 |
いやいや、他のアイコンでは表現できないときは、
オリジナルになるんです。
『親戚新聞』って、基本的に、毎日ですよね?
身内に向けた『親戚新聞』の段階で毎日なのは
わかるのですが、ほぼ日上での毎日は、
並大抵のことではないと思います。
時々思うんですけど、
ネタがない時に、こういうのを
ガンジーさんに拾って欲しい、
というのがあるんです。 |
ガンジー |
へえ、何ですか? |
糸井 |
長く生きてきたかたが、
最初に何かを見た時、というのを、
たまに書いたりするじゃないですか。
「もの」だとか「こと」だとかを。
昔はこうだった、という話を、
ガンジーさんもしてくれますが、
あれ、たまに読みたいですね。
コンピュータが人の家に
だんだん入っていってるのが今ですが、
テレビだって、昔は親が反対したんですよね。
テレビって、今は「あるもん」ですが、
家族会議みたいなことをやって、
買ってくれ買ってくれ、って子どもが言ってて。
「みんなの家にある」とか言って。
「どこの家にあるんだ?
ええ?誰と誰と誰の家だ?
そんなもんは要らない。勉強しなくなる」
とか、そういう話が、
さんざん、されたじゃないですか。
あれを喋ると、みんな若い人は、
「へえ〜!」って驚くんですよね。
クラスの名簿を作る時にも、
電話が、商人の家にはあるんだけど、
勤め人の家には、意外に電話がなくて、
「(呼)」とか書いてあったとか(笑)。
ああいう話とか、知らないんですよね。
そういう、
「ああ、思えば、最初に
ししゃもを食ったのは、いつだっけ」
とか、そういうのを、
もし思い出したら、何でもいいですから、
そういう話を混ぜてくれると楽しいかなあ。 |
ガンジー |
姫はじめとか。 |
糸井 |
あ(笑) |
ガンジー |
わかりました。
・・・ところで、
最近、猫とうまくいってないんですよ。 |
糸井 |
(笑) |
ガンジー |
あんまりにもいたずらするもんですから。
あいかわらず、可愛いという顔ではないですね。
断じて可愛くはない。 |
糸井 |
(笑)「猫とうまくいってない」って!
・・・一時は、向こうのほうから
ガンジーさんに近づいてきたみたいですが。 |
ガンジー |
ええ。
でも、あんまりにもふざけてますからねえ。 |
糸井 |
(笑)ふざけてるんだ。 |
ガンジー |
やっぱり、三歩さがって師のカゲ踏まず、
じゃないですけど、わたしは雇い主なわけで。 |
糸井 |
借りてきた猫なわけですから。 |
ガンジー |
(笑)ええ。 |
糸井 |
いま、猫はフクちゃんだけですか。 |
ガンジー |
あと、パンダという、白黒のやつが。
あともうひとり。その3匹ですね。 |
糸井 |
猫は3匹。 |
ガンジー |
あと、エサだけ食いに来るやつはいますが。
一宿一飯の。
マタタビは、あげませんが。
・・・(ほぼ日スタッフに向けて)
あ、マタタビ食べたことありますか? |
スタッフ |
ないですねー。 |
ガンジー |
あれ、木の実みたいなんですよ。 |
糸井 |
ビン詰めで売ってますよね? |
ガンジー |
ええ、お酒にけっこう合うんですよ。 |
糸井 |
そういうの、知らないんですよ、きっと。 |
ガンジー |
「なつめ」とか、
ああいうの食べないんでしょうねえ。 |
糸井 |
そういう、
若いヤツの知らないようなことを、
たまに混ぜてくださるといいですね。
「さすがだなあ(笑)」と言わせて。 |
ガンジー |
でも、だいたい、ぼくたちの世代は、
そういうことを若い人に言うと、
「受けないんじゃないか?」
「おもしろくないんじゃないか?」
と思って、心配になるんですよね。 |
糸井 |
で、「おもしろくない」が
ひとまわりして、今の若い人は、
「もう、いっそ知りたい」
になってきているのかもしれない。 |
ガンジー |
それはあるかもしれない。
ぼくらなんかでも、
オヤジよりおじいちゃんのほうが
仲よかったりしますから。 |
糸井 |
ガンジーさんの小さい頃って、
ラジオが、高いところに
置いてあったりとかしませんでした? |
ガンジー |
ええ。 |
糸井 |
(笑)子どもが触らないように。
それも、おかしいですよね。
神棚のように、高いところに。 |
ガンジー |
貴重品でしたからね。
天皇陛下の写真のところに。 |
スタッフ |
(笑)あはははは! |
糸井 |
天皇陛下の写真も、ありましたねー。
俺らの時だと、今の天皇が結婚した時のが、
おひなさまの時のようにあった。
あれも、今の子が聞いたら、
びっくりしますよ。
そういう「・・・ウケないかも?」
というのが、おもしろいと思うんですよ。 |
ガンジー |
受けるのは、この会社だからじゃないですか? |
糸井 |
(笑)大丈夫大丈夫。
みんな、聞きたいですよ。
昔は、ラジオに、
アースがついてたんだから。
洗濯機がはじめて入った家に、
みんなで見にいったりもしたし(笑)。
|
ガンジー |
(笑)そうそう!そうだった。
・・・じゃあ、いろいろ思い出そっと。
(つづく) |
(※この後も、雑談はとめどなく、でしたが、