ガンジーさんが来た日。
・・・鼠穴では、テープが回っていた。
これは、ある種の「ひょうたんからコマ」企画です。
ガンジーさんが鼠穴に訪れた日、
「対談再録の鬼」と化したメリー木村が、
いちおう、とか言いつつテープを回していたんです。
それはそれで、コンテンツにしないでいいや、と
思っていたんだけれど、
「文字にしてみたら、やっぱりおもしろいんですけど」と、
メリー・鬼・木村が言ってきて、さ。
読んだら、やっぱりおもしろいや、ってことで。

お気楽に、ひとつ、3時のおやつでもいただきながら、
読んでみてくださいな。

第1回 失礼ですが、最初は好奇心からです。

第2回 死が、同情にまきこまれてしまうのかな。

第3回 縁と言うか、勘と言うか。

第4回 ご本人を目の前にして、ぬけぬけと。

第5回 ハンディを、力に変える人なので。

第6回 若い時の借金を返しているような気が。


(※しばらく、ガンジーさんが
  これまでに手がけてきた事業の話がありました)
糸井 しんどい仕事を一緒にしてきた友達って、
戦地をくぐった人どうし、みたいになりますよね。
苦しい時に逃げちゃうヤツなのか、
足をふんばるヤツなのかがわかりますから。
ガンジー 私の場合は、今まで、どういうわけか、
逃げたいという気持ちはほとんどなかったですが、
逃げるっていうのは、よくありませんよね?
糸井 それはそのまま、ぜんぶ心に借金が残りますから。
ガンジー ひとつの事業が失敗しても、
どこかでほとぼりが冷めて、
法律の責任がないというところがあるから、
そこでまた出てきてやっているという例は
あるようですけど。
糸井 そっちのほうが、
社会から見ると「上手」な人なんでしょうね。
でも、その「上手さ」というのは、
一生から見たら、
あんまりいいことではないでしょうね。

ぼく、40歳に成り立てくらいの時から、
20歳代の借金を返しているような
気がしましたから。

実際の借金があったわけじゃないけど、
粗末にしてきた人だとか、女の子だとか、
いろんな不義をしてきましたよね。
それは、40歳くらいになると、
借金のような気がしはじめるんですよ。

それを
「うわあ・・・!
 昔のことも、ぜんぶ残るんだ」
と思って、嫌だったですね。

20歳代って、わけわかんないですから。
自分のことしか考えてないですから。
実際には、45くらいになって、やっと、
返済をはじめられるような気がしだす・・・。
ガンジー 私は、まだそれが。
糸井 (笑)借金、たまってますよね。
ぼくの実際の感覚としては、
年を取ってからのほうが、
ずっとおもしろいですんですけど。
ガンジー そうですね。

・・・あ、ところで、
ほぼ日のおさるさんは、何ですか?
糸井 これは、ほぼ日がはじまる前に
1か月くらいかけて、
デザイナー(アッキィ画伯)と一緒に考えたものです。
何かシンボルマークがあるといいな、
と思って・・・おさるというのは、
人間になる手前だから、ということで。
耳をでかくしたのは、
しゃべることよりも聴くことを
たくさんできるように、で。
ガンジー おさるから、教わろうと。
糸井 出ましたねえ、ガンジーさん。
(笑)おさるわろう、教わろう。
ガンジー (笑)おさる、かわいいですね。
ガンジーのやつも、つくっていただいて。
糸井 いやいや、他のアイコンでは表現できないときは、
オリジナルになるんです。

『親戚新聞』って、基本的に、毎日ですよね?
身内に向けた『親戚新聞』の段階で毎日なのは
わかるのですが、ほぼ日上での毎日は、
並大抵のことではないと思います。

時々思うんですけど、
ネタがない時に、こういうのを
ガンジーさんに拾って欲しい、
というのがあるんです。
ガンジー へえ、何ですか?
糸井 長く生きてきたかたが、
最初に何かを見た時、というのを、
たまに書いたりするじゃないですか。
「もの」だとか「こと」だとかを。
昔はこうだった、という話を、
ガンジーさんもしてくれますが、
あれ、たまに読みたいですね。

コンピュータが人の家に
だんだん入っていってるのが今ですが、
テレビだって、昔は親が反対したんですよね。
テレビって、今は「あるもん」ですが、
家族会議みたいなことをやって、
買ってくれ買ってくれ、って子どもが言ってて。

みんなの家にある」とか言って。
「どこの家にあるんだ?
 ええ?誰と誰と誰の家だ?
 そんなもんは要らない。勉強しなくなる」
とか、そういう話が、
さんざん、されたじゃないですか。
あれを喋ると、みんな若い人は、
「へえ〜!」って驚くんですよね。

クラスの名簿を作る時にも、
電話が、商人の家にはあるんだけど、
勤め人の家には、意外に電話がなくて、
「(呼)」とか書いてあったとか(笑)。
ああいう話とか、知らないんですよね。
そういう、
「ああ、思えば、最初に
 ししゃもを食ったのは、いつだっけ」
とか、そういうのを、
もし思い出したら、何でもいいですから、
そういう話を混ぜてくれると楽しいかなあ。
ガンジー 姫はじめとか。
糸井 あ(笑)
ガンジー わかりました。
・・・ところで、
最近、猫とうまくいってないんですよ。
糸井 (笑)
ガンジー あんまりにもいたずらするもんですから。
あいかわらず、可愛いという顔ではないですね。
断じて可愛くはない。
糸井 (笑)「猫とうまくいってない」って!
・・・一時は、向こうのほうから
ガンジーさんに近づいてきたみたいですが。
ガンジー ええ。
でも、あんまりにもふざけてますからねえ。
糸井 (笑)ふざけてるんだ。
ガンジー やっぱり、三歩さがって師のカゲ踏まず、
じゃないですけど、わたしは雇い主なわけで。
糸井 借りてきた猫なわけですから。
ガンジー (笑)ええ。
糸井 いま、猫はフクちゃんだけですか。
ガンジー あと、パンダという、白黒のやつが。
あともうひとり。その3匹ですね。
糸井 猫は3匹。
ガンジー あと、エサだけ食いに来るやつはいますが。
一宿一飯の。
マタタビは、あげませんが。
・・・(ほぼ日スタッフに向けて)
あ、マタタビ食べたことありますか?
スタッフ ないですねー。
ガンジー あれ、木の実みたいなんですよ。
糸井 ビン詰めで売ってますよね?
ガンジー ええ、お酒にけっこう合うんですよ。
糸井 そういうの、知らないんですよ、きっと。
ガンジー 「なつめ」とか、
ああいうの食べないんでしょうねえ。
糸井 そういう、
若いヤツの知らないようなことを、
たまに混ぜてくださるといいですね。
「さすがだなあ(笑)」と言わせて。
ガンジー でも、だいたい、ぼくたちの世代は、
そういうことを若い人に言うと、
「受けないんじゃないか?」
「おもしろくないんじゃないか?」
と思って、心配になるんですよね。
糸井 で、「おもしろくない」が
ひとまわりして、今の若い人は、
「もう、いっそ知りたい」
になってきているのかもしれない。
ガンジー それはあるかもしれない。
ぼくらなんかでも、
オヤジよりおじいちゃんのほうが
仲よかったりしますから。
糸井 ガンジーさんの小さい頃って、
ラジオが、高いところに
置いてあったりとかしませんでした?
ガンジー ええ。
糸井 (笑)子どもが触らないように。
それも、おかしいですよね。
神棚のように、高いところに。
ガンジー 貴重品でしたからね。
天皇陛下の写真のところに。
スタッフ (笑)あはははは!
糸井 天皇陛下の写真も、ありましたねー。
俺らの時だと、今の天皇が結婚した時のが、
おひなさまの時のようにあった。
あれも、今の子が聞いたら、
びっくりしますよ。
そういう「・・・ウケないかも?」
というのが、おもしろいと思うんですよ。
ガンジー 受けるのは、この会社だからじゃないですか?
糸井 (笑)大丈夫大丈夫。
みんな、聞きたいですよ。

昔は、ラジオに、
アースがついてたんだから。

洗濯機がはじめて入った家に、
みんなで見にいったりもしたし(笑)。
ガンジー (笑)そうそう!そうだった。
・・・じゃあ、いろいろ思い出そっと。

(つづく)
(※この後も、雑談はとめどなく、でしたが、
  臨時の「ひょうたんからコマ」企画としては、
  このへんで、おしまいにいたしますね。
  その後も、ご歓談が続いた、ということで!
  たくさんの人のご愛読、ありがとうございます)


ガンジーさんへの激励や感想などは、
メールの表題に「ガンジーさんへ」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。
全部とどけられるとはかぎりませんが。

2001-03-17-SAT

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