「銀座に行こうと思う」
銀座を敬遠していると公言していたわたしが、
そんなことを言い出したときに、
びっくりした、と連絡をくれた友人が2人いる。
東京ではじめて友だちになった
しおりと島田くんだ。
ふたりとも、生まれも育ちも東京都心で、
ちいさい頃から銀座を知っている。
銀座・初心者のわたしにとって、
ふたりはもう、銀座のプロのように思える。
ちょうど、タイミングがあって、
ふたりと会えることになったので、
銀座のおすすめの場所やお店を
教えてもらうことにした。
- こまり
- ついに、銀座に行くことを決めました。
- しおり
- うんうん。おめでとう、でいいのかな?
- 島田くん
- ようやくかあ・・・。
- こまり
- そこで、銀座のプロのおふたりに、
おすすめの場所とかを教えてもらおうと思って。
- 島田くん
- 銀座のプロって。(笑)
- しおり
- なんかちょっと、しょぼいね。(笑)
- こまり
- しょぼくないから!
銀座のことは右も左もわかりません。
教えてください。
- しおり
- うん。それはいいんだけど、
ちょっとおもしろいこと思いついたから、
提案してもいい?
- こまり
- あ、はい。どうぞ。
- しおり
- わたしと島田くんで、
あなたのための銀座プランを練る。
- 島田くん
- おお。
- しおり
- でも、こまりには教えない。
- こまり
- え!?
なんで、教えてよ。
- しおり
- 最後まで聞いて。
こまりには当日教える。
ひとつひとつ、メールで。
- こまり
- ・・・・・・どういうこと?
- 島田くん
- ああ!
あれだ、司令みたいに
「次は、◯◯にいけ」みたいに
指示案内するわけだ。
- しおり
- そういうこと。
『遠隔案内』されてまわる、
はじめての銀座。
普通に1人でまわるより
ずっとおもしろいと思わない?
- こまり
- おもしろそう!やって!!
こうして、わたしの初・銀座は、
ふたりに『遠隔案内』してもらうことが決まった。
ゲームみたいで、楽しそうだ。
それから、たわいもない話していると、ふたりして、
共通の銀座の思い出みたいなものがあると判明した。
それは、お母さんがいつもより
念入りに化粧をし、洋服をえらび、
お父さんが革靴を磨いているのを見て、
きょうは家族で銀座に行く日だって気がついて、
ソワソワした、という思い出だった。
ソワソワ。
ふたりと別れてから、
銀座に行くと決めた日までの3日間。
わたしは、たぶん、
お母さんとお父さんのようすにソワソワしていた
子どもだった彼女たちと同じぐらいに、
ソワソワしていた。
そしてとうとう、
銀座にはじめて出かける日。
白いシャツに紺色のスカート、というのは、
緊張しているときにわたしが選んでしまう
コーディネート。いつもより、きちんと化粧をし、
お気に入りの革のブーツを磨いて、
スマートホンをにぎりしめ、いざ!
わたしは、はじめての『銀ブラ』へ出発した。