もくじ
第1回ぼくの人生、不安しかない。 2017-05-16-Tue
第2回サウンドクリエーターのK君 2017-05-16-Tue
第3回CMプランナーのN君 2017-05-16-Tue
第4回設計事務所代表のD君 2017-05-16-Tue
第5回放送作家のT君 2017-05-16-Tue
第6回コピーライターのM君 2017-05-16-Tue
第7回5人の取材を終えて 2017-05-16-Tue

自転車と山歩きが好きなコピーライターです。40歳を前にフリーになりました!どうしましょう。

39歳フリーランス1年生、不安に向き合う。

39歳フリーランス1年生、不安に向き合う。

担当・足立 遊

コピーライターとして、
たった4人の広告制作会社に勤めて丸8年。

40歳という年齢を目前にひかえて、
これからの人生を考えてみたら、
先の見えない不安しかありませんでした。
悩み抜いた末に、
思い切って会社を辞めたものの、
不安が大きくなっただけ。

この不安のループは、どこまで続くのか。
出口を求めて、
5人の同世代フリーランスに話を聞きました。

全7回、
はたして人生の希望は見つかるのでしょうか。

第1回 ぼくの人生、不安しかない。

2017年3月31日、
僕は、8年間勤めた小さな広告制作会社を辞め、
フリーランスのコピーライターとして独立した。

独立開業。
それは僕の人生設計には存在したことのない、
まったく予期せぬ出来事だった。
会社の経営状況が悪くなったわけでも、
人間関係が悪くなったわけでもない。
休みはあまりなかったけれど、
給料に不満があったわけでもないし、
仕事が嫌になったわけでもない。
ずっとそこにいたいと思っていたし、
フリーになるつもりなんて1ミリもなかった。
自営業の両親のような苦労をするのは怖かったし、
小さいながらも組織に守られているという安心感を、
手放したくないと思っていた。

だけど、いつからか、
そこに居続けることの不安を抑えられなくなってきた。

8年間、ずっと変わらない仕事のあり方。
8年間、ずっと変わらない働き方。
ボロボロになりながらコピーを書いて、
朝、満員電車とは反対方向の電車で帰る生活。

もうすぐ、40歳か…
僕は、このまま生きていけるのだろうか。
50歳になっても、60歳になっても、
笑ってだれかと酒を酌み交わせるのだろうか。
このままだと、自分の未来に残されるのは、
「こんなはずじゃなかった」という言葉だけ。

まだ、40歳だ。
僕は、僕の人生を、きちんと手作りしたい。
70歳になっても、80歳になっても、
誰かに喜んでもらえる人間でありたい。
もう一度、社会の中での足場づくりから始めてみよう。

そうして僕は、2017年1月の仕事始めとともに、
お世話になった社長に「辞めます」と伝えた。

「辞めます」が先で、「これからどうしよう」は後。
フリーで食っていく仕事のアテは何もなかった。

「フリーは甘くないぞ」。
長年フリーランスとして働いている
先輩たちの言葉は重かった。

退職直前、関係各所に送ったメールの返信が、
僕の不安をさらに大きくした。

「独立おめでとうございます!(でいいんですよね?)」

僕の独立がおめでたいことなのかどうか、
念のため確認する気遣いに、
自分の置かれている状況がにじんでいる気がした。

会社を辞めなかったほうがよかったんじゃないか。
せめて、もっと準備をしてから辞めるべきだったのかも。

人に会えば会うほど不安は膨らみ、気分は沈んだ。
このままじゃダメだ。

いまフリーランスとして働いている同世代は、
どうやって仕事をしているんだろう。
これからのことをどう考えているんだろう。

僕の頭の中に、5人の友人の顔が浮かんだ。
それぞれ立派にフリーランスの道を歩んでいる。
彼らの歩みの中に、何かヒントはないだろうか。

僕は、「ほぼ日の塾」の課題であることを口実に、
5人の友人に取材を申し込んだ。

第2回 サウンドクリエーターのK君