それから数日後、以前3人で長い時間を過ごしていた、
新宿の喫茶店に集まりました。
すこし緊張していた私は、2人より遅れて到着したのですが、
その姿が目に入った瞬間、思わず大笑いしてしまいました。
ここからは、3人の会話でお読みください。
(以下、バイトちゃん=ちゃん、バイトくん=くん)
↑3年ぶりの、3ショット。左から、バイトちゃん、店主、バイトくん。
- 店主
- え!バイトくん!ロン毛!どうしたんですか!(笑)
- ちゃん
- ふふふふふふ
- くん
-
あえてそうしたわけじゃないんですよ。
いつの間にかこうなったんです。
- 店主
-
しょっぱなから笑ってすみません・・・(笑)
お元気そうで良かったです。
ところで今、何やってるんですか?
- くん
-
今は、プログラミングの勉強をしに学校に通ってます。
WEBの仕事してた時に、もっと勉強したいなと思ったから。
ていうか、店主って呼んでいいんですか?
もう辞めてるし、どう呼んでいいかわからないんだけど・・・笑
- 店主
-
いいですよ、店主で。嫌じゃなければ。笑
今は本のことはやってないんですか?
- くん
-
古本はまた買うようになりました。
それこそ今、ネットの勉強をしてるから、
それを活かしたネット販売をやろうかなって。
いかに、広告みたいなのじゃなくて、
読み物として楽しいものを作ってものを売るか?を、
試しながらやろうかと思ってるんだけど、
古本とか古着とか、種類ごとじゃつまんないから、
別の面白いカテゴリー分けをして売ろうかなって考えてます。
- 店主
- すごいなぁ・・・。
- くん
- 全然すごくないと思う(笑)
- 店主
-
いや、ものすごく色々考えてるんだなぁ、
いか文庫は何にも考えてないなぁと思って。
- くん
- え。僕がいた頃、だいぶ貢献してたつもりですけど。
- 店主
-
いやいやいや、そういうことじゃなくて!
十分貢献してもらってましたよ!
だってバイトくん、いか文庫の発起人その2、
みたいな人だったわけじゃないですか。
そもそも、「バイトくん」「バイトちゃん」ってネーミングを
編み出したのもバイトくんだし。
- くん
-
そうね(笑)
だから今は、いか文庫としてじゃなくて、
自分で色々考えてやってるって感じですね。
やってることは、あんまり変わってないかもね。
- 店主
-
これからは、本とか、それに限らず色々なモノを、
色々な形で扱ってみよう、ってことですか?
- くん
-
いか文庫だと、本に縛られるじゃないですか。
でも本当はそれだけじゃなく、
何でもいいんじゃないかなって思うんです。
いか文庫を辞めた頃は、僕、
古着の本を作るために古着を集めてたし。
- 店主
- 本だけに縛られるのが嫌だったってことなんですよね?
- くん
-
僕もそんなに器用じゃないから、古着も見つつ、本も買って、
さらにいか文庫もやるっていうのがちょっと難しかった。
何かしら諦めないとできないことってあるじゃないですか。
- 店主
- 確かに、全てやるのは無理ですもんね。
- くん
- それに、居場所も無いような感じだったと思うし。
- ちゃん
- んんー?
- くん
-
遅かれ早かれ、辞めることになるだろうなとは思ってたけど、
でも、自分から辞めたいっていうよりも、
ここにいてもしょうがないかなって感じだった気がする。
あのまま居ても、店主がかわいそうだなと思ったし。
- 店主
- ええ!?
- くん
-
店主に対して、全然悪いイメージないですもん。
楽しくなけりゃ、やめりゃいいやってのがずっとあったから。
楽しかったから居たし、だから楽しい思い出しかないです。
- 店主
- すごい反省してます。
- くん
- え!何を反省するの?それ聞きたい(笑)
- 店主
-
私は「本屋」ってことにこだわり過ぎてたかなと思ったんです。
今思えば、もう少し頭をやわらかくして
考えるべきだったよなって。
意固地になってすみませんって、思ってます・・・。
- くん
-
いえいえ。
ところで今日は、バイトちゃんメインで質問するんですよね?
- 店主
-
そうです、そうです。
じゃ、バイトちゃんの質問タイムに移りましょうか。
さっそくだけど、いか文庫での一番の思い出って、何ですか?
- ちゃん
-
おぉ、さっそく・・・(笑)
一番の思い出は・・・フェス、じゃないですかねぇ。
- 店主
-
「本音のフェス」ねぇ。そうだよねぇ。
何度も言ってるけど、あの頃の記憶がないんだよね、私。
- くん
- どういうこと?
- 店主
-
忙し過ぎて、何をどうこなして当日を迎えたのか、
その記憶が、すっぽり抜けてるんです。
- ちゃん
-
私も同じで、ちゃんと職場には通ってたけど、
何を食べてたとか、仕事のこととか、
どうやって生活してたのか全て覚えてないんです。
寝ることにも罪悪感を感じてました・・・。
- 店主
-
あぁ!私も感じてた!
やってもやっても、全然終わらないんだよね。
- ちゃん
-
それに、出て欲しいアーティスト断られ続けるうちに
辛くなって行って、そしてついに、
店主が音信不通になっちゃって・・・。
- 店主
- そうそう(笑)
- ちゃん
-
でもそのあと復活して、また頑張っての繰り返しでした。
バイトくんが関わらなくなった後すぐに
クラウドファンディングが始まったんですけど、
その時点でもまだアーティストが決まってなくて、
ものすごくプレッシャーを感じながら進めていたので、
余計辛かったですね。
- くん
-
へえ。そんな感じだったんですね。
でもフェス当日は僕、お客さんとして行ったけど、
楽しかったですよ。
- 店主
-
ほんとですか!!!!
良かった〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
でも私も当日、めちゃくちゃしんどいはずなのに、
ずーっと笑ってて、頬骨あたりが痛くなりました。
- ちゃん
- そうそう。私たちの写真も、笑顔の写真しかないんですよね。
↑徹夜明けだったはずなのに、笑顔。
- 店主
-
裏でバタバタしてたから、ライブも全く見れなかったのにね。
そして終わった後、灰になりました。
生きる気力がなくなってしまった。
- くん
-
それはしょうがないよね、やりきった感だよね。
さて、じゃあ次の質問は?
- 店主
- いか文庫をやっていて、良かったなぁと思う時はどんな時?
- ちゃん
-
この2年くらいで、好きなものが繋がっていくってことが
沢山あったことですかね。
本以外に、「イカ」の仕事がよく来るようになったんです。
今やってる連載でも、「イカ特集」をやらせてもらえることに
なったし、ラジオ局の偉い人たちに配る冊子に、いか文庫が
ラジオにまつわる本を選ぶコーナーを載せてもらったり、
そういう仕事が来るようになったのが嬉しいです。
- くん
-
なるほど。
本屋に入ったのに、最終的に好きなこともできているのが、
良かったってことですね。
- 店主
-
じゃあバイトちゃん、どんどん行きますよ。次の質問です。
バイトくんが辞めるとなった時の気持ちをお聞かせください。
- ちゃん
- 本人を目の前にして・・・(笑)
- くん
- 気にせずどうぞ(笑)
- ちゃん
-
本当はずっと3人でやりたいと思っていたので、
2人が対立していた時は、何で私より一回り上の大人の人たちが
理解し合えないんだろうって思ってました。
- 店主
-
ぎゃー!恥ずかしい!
悲しませてたと思ってたけど、呆れてたのかー!(笑)
- ちゃん
-
その原因の1つは、私がJ-WAVEにフェスの企画書を送って、
大きい仕事を持ってきちゃったからなんじゃないかなぁっても
思って・・・。
- くん
- いやいや、そうじゃ無いよ。僕らが大人気なかったってことです。
- 店主
- うんうん、本当に。
- ちゃん
- でも、だから、今日はこういう場が持てて良かったです。
- くん
- 2人の時は仲良くやってたんですか?
- 店主
-
喧嘩するの?ってたまに聞かれるけど、
喧嘩っていう喧嘩はしてないよね。
- ちゃん
-
しないですね。
でも2人だとどうしても、どっちかが譲る部分も出て来るから、
3人の方がやりやすかったかも。
バイトくんが辞める前までのいか文庫は、
バイトくんの発想に助けられたことがたくさんあったので
辞めるのは残念だったし、
その後2人で何ができるんだろうって、不安でしたね。
- 店主
- 考えても考えても、アイデアが出てこないこともあるよね。
- ちゃん
- ありますね。企画を考えるのは大変です。
- 店主
-
本当に。
さて、バイトちゃん、次の質問行っちゃいますね。
いか文庫に入って、人生変わったって思う?
- ちゃん
-
変わった・・・変わったかな。
あ、「いらっしゃいませ」って発する職業に絶対につかないって
決めてたのに、言わなきゃいけなくなったこと、ですかね。
- 店主
- えぇ!そこ!?
- くん
- そんな言う機会ないでしょ、いか文庫で。
- ちゃん
-
いや、あるんです。
グッズ販売の時とか、本を売ったりする時とか。
本当に言ったことないから、今も恥ずかしくて言えないです。
- 店主
- そういう意味では、人生変わった、と。
- ちゃん
-
自分がこんなに本屋さんと関わると思ってなかったのも、
そうですね。
イカに関してはずっと自分で何かやろうって思ってたから、
いか文庫に入らなくてもやってたと思うけど、
そこに本屋が関わって来るとは思ってなかったですね。
- 店主
-
なるほどなぁ。
じゃぁ、次は・・・
バイトちゃんは、これからもいか文庫を続けて大丈夫ですか?
- くん
- 辞める必要もないよね。
- ちゃん
- うん、自由な働き方ができる限りは続けるかな。
- 店主
-
よかった!
じゃあ次は、私が最も聞きづらい質問です。
店主をどう思ってますか?
- ちゃん
-
おぉぉ・・・。
えーっと、3人でやってた時は、仲間感があったんですけど、
2人になってからは、職場の上司って感じです。
- 店主
- ええー!そうなの!?
- ちゃん
-
上下関係がはっきりしたというか、
別に偉そうにしてるとかじゃないんですけど、
私は本のことが全くわからないから、
教えてもらってる感覚なんです。
だから上司って感じです。
- 店主
- 上司であることは、良いのでしょうか?悪いのでしょうか?
- ちゃん
-
良い悪いというより、
会社っぽく感じて来たのかもしれないです。
いか文庫自体が変わって来たのかなって思います。
- 店主
- あ、サークルみたいな感じだったのが、会社になったと。
- ちゃん
-
そうなのかもしれないです。
あと最近、前ほど遊んだりもしないじゃないですか。
店主がプライベートで何してるかもよくわからないし。
その辺もすごく、会社っぽいなって。
- くん
-
僕がいた時は、世間話ばっかりしてたからね。
あれ?僕が乱してたってこと?
- 店主
-
いやいやいや乱してはいないです。
その雑談の中で生まれるものもあったわけだから。
- ちゃん
-
店主と2人で会議をやってた時も、最初は、
あれ?何も決まってないけど、話してて終わっちゃった・・・
ってことがあったけど、最近は集まり自体も
少なくなっちゃったし。
- 店主
-
バイトちゃんの職場が都内じゃ無くなったから、
わざわざ出てきてもらうのも何だなぁと思って、
遠慮しちゃってるところはあります。
でも、じゃあ、もっと誘おうかな。
あ、ていうかプライベートでもあんまり、
遊んでないんだよな・・・。
- ちゃん
-
あ、それだ。
店主に言いたいことは、「もっと遊んで欲しい。」
- 店主
- わははははは!
- ちゃん
-
前から仕事は忙しそうだったけど、
それでもちゃんと遊んでたと思うんです。
そこでいろんな人と出会ったり、
仕事のきっかけを持ってきてたと思うんですけど、
それが無くなった気がします。
- 店主
-
わかりました!もっと遊びます!!
他には何かありますか?
- ちゃん
- 他には・・・?(笑)
- くん
-
それ以外に店主にそんなに不満はないの?
今なら素直に聞い入れてくれるかもよ。
- 店主
- いやいや、いつでも受け入れますけど。
- ちゃん
-
うーん。
あ、もっと自信持って欲しい。
ワークショップの時とか、途中から自信ない感じになって
来ることが結構あるので、そういうの全然気にしないで、
どーんとやってほしいです。
- くん
- それはそうだね、自信なさそうな店主とかって嫌だもんね。
- 店主
-
そうですね(笑)
自信・・・持ちます!
- くん
-
持ってください。店主なんだし(笑)
でも、今日は会えてよかったです。
- 店主
-
わ!先に言われてしまった!
こちらこそ、ありがとうございました!
- くん
-
また何かあれば集まりましょう。
あ、3人で遊びに行く?
- ちゃん
-
良いですね、どこ行きましょうね。
ほんの2週間前までは、自ら会うことは
もう絶対ないだろうと思っていたバイトくんですが、
会ってみたら、3年前のいざこざ以前と全く変わらない雰囲気で、
楽しくおしゃべりできてしまったこの日。
3人で活動していた当時、
「いか文庫はバランスが取れてるよね。」
と良く言われていましたが、
今になって、あぁ、こういうことか・・・と、
理解することができました。
記念日、とまでは言わないものの、
なかなか読み進められなかった本を、
やっと最後まで読み終えた時の清々しさのような、
そんな気持ちに満たされたような気もしました。
そのきっかけを与えてくれたのは、やっぱり、バイトちゃん。
最後に、そんなバイトちゃんと自分との関係について、
もう少しだけ、考えてみようと思います。