- 大将
-
だいぶ前に、店に来て紹介してくれた彼女とはどうなの?
うまくいってる?
- わたし
- はい。もうすぐ付き合って4年が経ちます。
- 大将
- おお!仲良いのが一番だよ。
- わたし
-
そうですよね。ちょうど、そんなことを聞いてもらったので
大将に「結婚」とは何かを伺う時間にしたいのですが…。
- 大将
- なんだそれ(笑)仕事の話、関係ないじゃん(笑)
- わたし
- (笑)。お願いしますよ。
- 大将
-
いやあ…まあ、よくこんな男と結婚してくれたと思う。
普通はこういうところに嫁いでくれないよ?
そりゃ大変だもん。土日も休めないし、
家事もやらきゃいけないし、店の仕事もあるからね。
- わたし
-
そうですよね。色々なことやられてますもんね。
じゃあ、今まで聞いたことなかったですけど
そもそも、いつ、どこで奥さんと出会ったんですか?
- 大将
- 勘弁してくれよ(笑)
- わたし
- おねがいします!!
- 大将
-
26歳ぐらいのときだったと思うんだけど、
修行を終えて、この店に帰ってきて
親父とおふくろと仕事してたんだけど退屈だったんだよ。
そんな時に修行してた店の当時の親方から連絡がきてさ。
「お前の店、水曜日が休みだろ?今、俺は新宿のとある
うなぎ屋に務めてるんだ。暇だったら手伝いに来いよ。
お小遣いあげるから」って言われて、行ったわけ。
そうしたら、その店で嫁さんがアルバイトしてたんだ。
それで知り合った。
- わたし
- おお。なんかいいですね。
- 大将
-
偶然といえば偶然だけど、嫁さんにしてみたら
変な男にひっかかっちゃったなっていう(笑)
- わたし
- いやいや、そんなことないですよ(笑)
- 大将
-
ほんと人生はどうなるか分からないよ。
その出会った頃なんて俺はもう半分、
結婚することを諦めてた頃だったからね。
- わたし
- え、そうだったんですか?
- 大将
-
知り合いに「いい人いるから」って紹介されたりも
したんだけど、合わなかったな。
それに「はい分かりました。」って、紹介で
自分の人生に関わる大事なことを決められたくないじゃん。
- わたし
- ああ、そうだったんですね。
- 大将
-
うん。とはいえ28、29歳の頃は相当悩んだよ。
「俺、このまま独身かな。」みたいな。
山岳部の仲間はどんどん結婚するし。
- わたし
-
ああ、そうなんですか。
大将はおいくつの時、結婚されたんですか?
- 大将
-
いつだったっけな…。33歳だ。
自分の仲間のなかでは一番遅かったよ。
- わたし
- へえ。結構、長いことお付き合いされてたんですか?
- 大将
- そうでもないよ。3年ぐらいかな。
- わたし
-
平日はもちろん土日も働かれてるわけですよね。
デートする時間あるんですか?
- 大将
-
あるよ(笑)その時、彼女はまだ大学生だったから
合わせてくれるんだ。俺も忙しいとはいえ
午後8時半には閉店するから、時間は作れるよ。
少し飲みに行ったりね。
- わたし
- ああ、なるほど。
- 大将
-
そうそう。付き合って最初の頃はそんな感じだった。
それで彼女が大学を卒業して、就職して
ある程度、時が流れてそろそろかなっていうときに
結婚しようって決めた。だから時間はかかったかも。
- わたし
-
はあ。そういう経緯が。初めて会った時に
「俺、この人と結婚する気がする!」みたいな
直感を感じたりするものなんですか?
- 大将
- いやあ(笑)それはなかったよ(笑)
- わたし
-
じゃあ、どういうきっかけで
「この人と結婚しよう」って思うんですか?
期間ですか?なにか転機が訪れるとか?
- 大将
-
まず俺はとことん話さないとダメだね。
あと雰囲気。漠然としてるけど
雰囲気が合うか合わないかは大事。
食べ物の嗜好も。これもしっかり合った方がいい。
あと映画やコンサートなんかを見て一緒に
「これは面白かったね」って思えることかな。
感性が同じでないと一緒にいてもつらいよね。
- わたし
- それ、すごい分かります。
- 大将
-
そういったところの積み重ねだったかも。
意外とスムーズにはいかない(笑)
いろんな話聞くから、あくまで俺の場合だけど。
- わたし
-
そうなんですね。
じゃあ、お付き合いされていくうちに
例えば、何十回も一緒にご飯を食べて
この人と嗜好が合っているなって感じると
「この人と結婚しようかな…」みたいに思うと?
- 大将
-
うん。「そうそう。そうだよね」っていうのが
重なっていかないと心がときめかないし、
そういう気持ちにならないよ。
だって、この先ずっと生活していくんだから。
ましてや、俺はサラリーマンのように
どこかにお勤めに行くわけじゃなくて
ずっと一緒だから。
ばっちり自分と合ってると思える相手じゃないと
将来、自分がつらくなるなっていう判断が
あったのかもしれない。今、考えるとね。
- わたし
-
なるほど。そんな女将さんに出会えたのは素敵ですね。
いいなあ。
- 大将
- こんなこと聞かれるまでじっくり考えたことなかったよ(笑)
(つづきます。)