(リモコンの停止ボタンを押す) ‥‥‥‥‥‥という作品でして。 |
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‥‥‥‥‥‥。 |
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‥‥‥‥スン。 |
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‥‥スン‥‥スン。 |
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スンスン‥‥ズズズズ。 |
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‥‥‥‥みなさん、鼻をすすってますが。 ええと‥‥まいりましたね(笑)。 じゃあまず、そもそもの話をしますと、 ちょっと前のことなんですが、 「アヌシー国際アニメーション映画祭」 というフランスの権威ある映画祭で、 日本の10分のアニメーション作品が 最高賞をとったと聞きまして‥‥。 で、そのあとに文化庁メディア芸術祭の アニメーション部門でもその作品が 大賞を獲得したと耳に入り、 それはどんなアニメーションなんだろうと、 この前、観させていただいたんですよね? |
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ええ、ぼくと‥‥ |
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わたしと、 |
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あっしも。 |
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そしたら、もう、すばらしくて。 |
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「10分のアニメーションを観ますよ」 って言われて、気軽に観たんですが、 ちょっとね、あなどってましたよね。 |
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あなどってました‥‥スン。 セリフのないアニメーションでこんなに‥‥。 |
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うん‥‥ズズズ。 10分だし、軽い作品を想像してた。 |
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びっくりしてしまったので、 今日はみなさんをお呼び立てしまして、 10分で観られる作品ですし、 せっかくなのでいっしょに観ましょうと。 |
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で、いま、観終わったところで、 みんなが鼻をすすっている。 |
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(笑) |
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そう、そう、ごあいさつがまだでした。 いまさらですが、こんにちは、感激団です。 |
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よろしくお願いしまーす。 |
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スン。 |
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さて、今回の感激団には、最年長乗組員、 コギーこと、小木曽さんにも 参加していただきました。 |
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いやいや、あのね、 すごいね、身につまされたわけ。 |
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いきなり感想がきました(笑)。 |
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小木曽さんは、そうだったんですね。 |
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うん。なんていうか、 いま、五木寛之さんの本を読んでてね、 人生を25年ごとに区切って 100年で考えると、もう後半の25年だけど その25年は、まだまだこれからだ! というようなことを彼は書いているんですよ。 |
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はい。 |
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私もね、これからだと思ってるんだけど、 いま観た作品では、 「で、どうするの?」ていうところで 終わっちゃうじゃないですか。 |
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主人公が昔にさかのぼって‥‥。 それで終わっちゃうじゃないですか。 「じゃあ、これからどうするの?」 っていうところが見つけられなくてね、 どーんと、こう、身につまされたわけ。 |
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そうかあ、希望がない感じがしたんですね。 |
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どうすりゃいいんだと。 |
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なるほど、 小木曽さんは、かなり重い受け止め方を。 |
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身につまされるっていうのはすごいなぁ。 |
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きょうはみんなと年代が違う 小木曽さんがいらっしゃるから、 これを観たときにどう感じるんだろうって、 すごく気になってたんです。 |
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私はね、そんなふうに思ったの。 |
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たぶんぼくらには気づかない視点なので、 ありがたいですよね、その感想は。 |
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うんうん。 |
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スガノはどうでしたか? |
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ええ〜? あのう‥‥スン‥‥ |
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泣いてますね。 |
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もう、最初の、 おばあさんが出てきたところからずっと。 |
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あ、ぼくもあそこです。 |
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ですねぇ。 |
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う〜ん。いろいろ考えるポイントがあって、 どれからしゃべればいいのかと 思っているところですが。 う〜んと‥‥ 小木曽さんのおっしゃる寂しさも感じてたので 最後におじいさんがちょっと笑ったように 見えたのが救いでしたね。 |
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ああ・・・・。 |
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いまの生活を楽しんでるっていうのが、 なんとなくわかったっていうのが、 ちょっと救いだったかなあと。 |
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希望がないかも? っていうのは スガノもすこし感じたんだね。 |
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うん。だから、 「いまもおじいちゃんは エンジョイしているんだって」 自分に言い聞かせてた気がする(笑)。 |
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あの‥‥ぼくは小木曽さんに言われるまで、 身につまされるようなエンディングだとは まったく思わなかったんですよ。 |
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うそ!? |
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え、え? なんでですか? |
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山下さん、すぐ身につまされそうじゃない? なにごとにおいても。 |
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ねえ、心配しそう(笑)。 |
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いや、それよりもその、 過去の積み重ねほうに気持ちが行ったので。 おじいさんはひとりなんだけど、 足もとにある過去はすごく豊かなもので、 人からは寂しく見えるかもしれないけれど 自分はその思い出といっしょに しずかに過ごしていくんだろうなぁ、 そういうのって、いいなあっていう。 |
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うん、あたしもそっち。 どっちかというと、豊かに感じた。 |
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ぼくもじつは救われたほうで。 このおじいさんは、 思い出という蓄えみたいなものが ものすごくたくさんある人ですよね? で、それで、十分生きていけるんだ っていう希望みたいなものを感じました。 |
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うん、そうあってほしいと思うよ。 でも、楽しいんだろうなって思い込まないと 「もう本当に救いがない」とも思ったの。 だから、絵本の最後を確認して、 自分でそこをすごい補ったんです、もう。 |
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アニメと絵本はちょっと違う点もあって 絵本のラストでは、 はっきりとおじいさんが笑ってるんだよね。 |
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うん、だからそれにすがって(笑)。 |
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うーん‥‥でもそれでも僕は、 希望がね、ほしかったんで‥‥。 |
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わたしは、両方わかるっていうか、 両方そうだなって、すっごい思います。 なんかこのおじさんが自分にも思えるし、 親にも思えるし、子どももこうなるしって、 結局みんなこうなるじゃないですか。 |
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そうね。 |
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そうなんですよね。 だから、さっき山下さんが言ってたみたいに、 不安や孤独もあるだろうけど、 自分の足もとにすてきな思い出が たくさんある人っていうのはやっぱり‥‥ |
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豊か。 |
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うん。 |
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自分も、 それがあるようになりたいと思いました。 |
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でも、みんなあるよ? いい思い出。 |
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みんなあるんだよ。そう、みんなあるの。 |
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そうか、そうですね、ないわけがないですね。 |
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それぞれにね。 |
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はい。で、もちろんこの物語の、 おじいさんの周りの人たちにも 思い出はみんなあったわけで。 |
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うんうん。 |
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町はどんどん水没していって、 人々はよその場所に移るじゃないですか。 |
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はい、そういう描写もありました。 |
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ということは、 最後まで残っているおじいさんは、 とくに思い出をだいじにしてるようにも‥‥。 |
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ああ、そうかあ、そうだよね。 たいせつなんだよね。 |
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もしくは、このおじいさん、 ちょっと頑固なのかもしれないですが。 |
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いずれにしてもおじいさんは いまの暮らしを捨てちゃっていい とは思ってない。 |
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うん、だいじにしてると思う。 |
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うーん、でもなあ‥‥。 |
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(笑) |
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のっけから白熱ですね。 しかもほとんどのみなさんが、これ、 鼻をすすりながらしゃべってますからね。 |
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半泣き(笑)。 |
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10分の、たった10分のアニメーションで、 ‥‥ねえ(笑)。 |
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こんな深い話に。 |
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すごいと思う。 |
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みなさんまだ、 ぜんぜん話し足りないですよね? |
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もちろん! |
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(つづきます!) |
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2008-12-19-FRI | |
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