※この記事の取材は2015年におこなったものです。
▲まだ、冬の雪深い日、取材に伺いました。
木工業が盛んな山形県天童市にある、家具メーカー。
1940年の創業当時には、軍で使用する弾薬箱や、
基地におとりとして置いておく
戦闘機を木工で作ったり(!)していました。
戦後には、ちゃぶ台や戸棚などの家財道具を
作っていたそうです。
その後、1947年からは、北欧でうまれた成形合板という
手法を日本でいち早く取り入れ、
じょうぶで、長くいっしょに暮らすことができる家具を
今でもつくり続けています。
イスに座った時に、無意識で手に触れる裏側まで、
なめらかな手ざわりになるように、
職人さんがひとつひとつていねいに作っています。
▲天童木工の工場には、会社の歴史を紹介するパネルや、歴代の家具が展示されていました。
▲ショールームもあります
▲上から見える作業現場。広い工場は、「組立班」「成形・接着班」など、工程ごとに分かれています。
一般的に、家具に使われる木は、
ブナやナラなどの広葉樹ですが、
天童木工が現在、力を入れて取り組んでいるのは、
日本に増えすぎてしまった針葉樹である
スギを使った家具。
スギは日本に古来よりある品種で、どんどん育ち、
生産性が高く、日本全国で植林が推奨されてきましたが、
使わなければ、増えるいっぽう。
現在は、国の面積の約12%がスギ林。
スギの使い道として、天童木工は研究を重ねて、
スライスしたスギを圧縮してから、
合板にすることにより、
強度を得る、というやり方に行き着いたそうです。
ほぼ日のティーテーブル
天童木工バージョンは
こんなふうに作られています。
洗浄
屋外にある五右衛門風呂のような熱いお湯で、
煮沸して、やわらかくします。
▲燃料は、木を切るときに出た、端(木っ端と呼ぶそうです)を、燃やして、
有効活用しているそうです。
単板製作
製材し、乾燥した木材を
厚さ1~1.5mmにスライス。
▲角材を機械に通すと。
▲かんなのように、スライスされた板が、
下から出てきます。
▲かなり薄い!
接着
スライスして出来た単板に接着剤を塗り、重ねあわせる。
▲機械に通して、単板の両面に接着剤を塗ります。
成形
(今回のティーテーブルでは、この工程はありません)
重ねあわせた単板を型に入れて
加圧成形し、熱を加えて接着剤を硬化させる。
▲ゆっくり型が近づいてきて。
▲型ではさんで曲げて、熱でかためます。
加工
ティーテーブルの形に、丸くカットする。
▲接着して固められた合板を。
▲機械が一枚ずつ、カット。
▲真ん中に穴を開けて。
組立て
裏面に、三脚にとりつける部分を、くっつけます。
焼き印
1枚1枚、手作業で表と裏の2か所に焼き印を施す。
表面は長い文章なので、力を均等に入れるのが、むずかしい作業です。
▲一点一点、手作業のため、風合いがちがいます。
塗装
一点一点、手で職人さんが塗装と研磨を繰り返し、仕上げます。
(提供:天童木工)
調整、検査、完成
面をなめらかにしたり、微調整をして、完成です。
機械を使ってると言っても、
ほとんど職人さんの手作業の元に、できています。
一枚一枚、木目の出方もちがって、
まったく同じものは、ひとつもありません。
(→それぞれの特徴は【知っておいてほしいこと】をご確認ください)
使っていくうちに、経年変化していくので、どんどん育ててくださいね。