おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson1053
そこから先は、相手の自由

人間関係で妙に疲れるとき、
自分のチカラでどうにもならないことを、
自分のチカラでどうにかしようとしてないだろうか?

つい先日まで、
私は、誤解を解こうと切羽詰まっていた。

朝起きて、コーヒーを入れようとするも、

「どうすれば相手にわかってもらえるか」

伝え方を必死で模索しだす私がいる。
説明の言葉を、ぼそぼそと独り言のように
つぶやいてみては、

「ああ! これじゃ全然伝わらない」

と首を大きく振って、いちから考え直す。
そうこうするうちに手がおろそかになり、
湯が沸騰しすぎたり、
コーヒーをカップに注ぎこぼしたり。

この数カ月は、そんな調子で、
来る日も来る日も、気がついたら私は、
伝わる言葉を模索していた。

けど、誤解されている時は、
何を言っても、裏目、裏目に出て、
悪く、悪く取られてしまうことがある。

例をあげると、
SNSで炎上している有名人が、
何を言っても、どんな伝え方をしても、
伝わらないどころか、
言えば言うほど悪化し、
すべての言葉が、

「炎上の燃料」

になってしまう、あの感じだ。

時を待つしかない。

でも1日でも早く誤解を払拭したい、
いてもたってもいられない私もいる。

そうして私は、気づくとまた、
伝わる言葉を模索して、
そのたびなぜか、へとへとになった。

私の場合、疲労困憊すると背中が痛む。

「自分はなぜこんなに疲れているんだろう?」

たしかにツラい模索にはちがいない。
でも、ここまでヘトヘトになるのは、
なにかチカラの向け方がおかしいんじゃないか。

答えがでないまま、その日も、

「2年くらいが冷静になるのに必要と聞いた」
「いや、そんなに間をあけたら説明を放棄して
逃げたと思われるんじゃないか」
「そんなの嫌だ、だったら少しでも早く伝えないと‥‥」

と独り相撲で考えていた。

「こんな伝え方じゃ理解してもらえない」
「理解されなかったら私の尊厳は木っ端みじんだ」
「どうすれば理解してもらえるのか!」

緊張が張り詰めたとき、
私の中からぽこっ、とこの言葉が湧いて出た。

「理解するかどうかは、相手の課題。」

あっ、そうか!

その瞬間、カラダに張り詰めていた緊張が、
スーッとやわらいだ。

ああ、ああ!
私は疲労困憊の原因がわかった。

「本来できないことをやろうとしていた」

”馬を水辺に連れて行くことはできても、
水を飲ませることはできない”

とよく言われる。
これになぞらえると、
自分で水を飲ませるまでをやらなきゃと、
焦って自分を追い込んでいた。

正直に、相手のことを想いやって、
理解しやすい説明をするまでが私の課題。

けど、そこから先、
相手が理解するかどうかは、相手の課題。
もっと言えば、

「相手の自由。」

自分でどうこうしようにも、
どうにもならない人の想いを、
無自覚に自分でどうこうしようとしているとき、
いつもの何倍も疲れる。

私には誤解を解くための説明をすることはできる。

でもその先、相手がどう反応するか、
理解するかしないか、
理解したとしても受け入れるか受け入れないか、

それは、相手の課題。
相手が生きてきた人生や環境、
価値観にかかわることだ。

当然、私の説明がまずくて理解されない場合もあり、
その場合は説明の工夫改良、私の努力だけど、

自己ベストの説明ができたとして、
そこから先の、相手の反応まで
どうこうするのは、もともと不可能だ。

だから伝えきったその先は、

「手放す。」

私がやるべきことは、
人道的にまっとうに、
仰いで天にはじず、俯して地にはじず、
の説明をすることだ。

自分にできる範囲を切り分けてから、
あの妙な疲労困憊に陥ることはなくなった。

そう言えば、少し前、
高齢の母に説明をして、どっと疲れた。

あれも、「馬に水を飲ませる」かのような
不可能なことをしていたと後から気づく。

手放せてなかった、執着していた。

市役所に手続きに行くという母に、
スカイプ越しに、
持ち物、手続き、を説明した。
それだけで小1時間かかった。

終わったあと疲労困憊、背中が痛んだ。

けど考えたら、
高齢の母にわかりやすい説明をするまでが
私の課題だ。

その先の母の反応、「わかる」かどうか、
「できる」かどうかは、母の課題だ。

母が育ってきた時代や、
いまの高齢の母の体力や記憶力の限界として、
わかれないこともある。
頭でわかっていてもできないことだってある。

「母がわかるまで、できるまで、私がなんとかする」

という努力は、
一見、親孝行のように見えるけど、
水辺に連れて行った馬にたとえて言えば、
飲まない・飲めない自由を認めないようなものだ。

結局、市役所の手続きは、
家族が母に付き添って行ってくれて、
無事にできた。

あとから考えると、私にできたことは、
「母が困っていると家族に知らせた」だけ、
「結果的に母と付き添ってくれる人をつないだ」だけ。

でも、それだけはできていた。

「そこから先は、相手の課題。」

手放して、
相手の自由な反応を受けとめる、
それは、

相手への「信頼」でもある、

相手を「尊重」することでもある、

自分のカラダも軽くなる、

と私は思う。

ツイートするFacebookでシェアする

………………………………………………………………………

「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.com までメールでお送りくださいね。
★仕事のご依頼はここに送らないでください。
山田ズーニーtwitter( @zoonieyamada )へお願いします。
または山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をおたずねください。


お申込みはこちらから
https://www.kinjo-gakuin.net/event/open/

お問い合せ 金城学院大学 入試広報部
TEL:0120-33-1791 Mail:nyushi@kinjo-u.ac.jp


お申込みはこちらから
https://001.webexpo.jp/exhibition/USS
●お問い合わせは
株式会社ウチダシステムズ フェア事務局
TEL:03-3537-0888
e-mail:ussfair2021@uchida-systems.co.jp
*「ほぼ日」に問い合わせないようお願いします。


お申込みはこちらから
http://www.kinjo-gakuin.net/event/open/202107/
お問い合せ 金城学院大学 入試広報部
TEL:0120-33-1791  Mail:nyushi@kinjo-u.ac.jp


お申込みURL:https://forms.gle/CWB7PorRGe9BJkYx6 
お問い合せ先:北日本新聞就職情報センター(kinet) 
メールアドレス:kitanippon.kinet@gmail.com 
電話:076-445-3337(平日9:00〜17:00)「とやま就活」まで


【満員御礼!】この講座は満席になりました。
キャンセル待ちも締め切りました。
たくさんのお申込みありがとうございました。

宣伝会議 表現力養成コース

編集・ライター養成講座20周年記念講座

山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く

山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
大学・高校生から
ビジネスマン・プロのライターから作家まで
幅広い層に、数えきれないほど表現講座を開いてきました。
その原型が生まれたのが、
宣伝会議の編集・ライター養成講座でした。
現在も講師をつとめており、毎回、
受講者に次のような声をいただき手ごたえを感じています。

 

・自分の想いの根幹を探るという経験を
こんなにじっくりと時間をかけてやったことはなかった、
得難い経験でした。

・終了したとき、この講義の意図が
身体にしみわたるように理解できた。
コミュニケ―ションが苦手だったが、
非常に楽しく有意義に受講できた。

・自己開示が苦手だったが、一気に開くことができた。

・現実の出来事を多角的に見て、表現のヒントを探すことは
全ての実務に活かせると思います。

・自分の可能性を信じようと思えた。
自分はつまらない人間ではない。

今回20周年を記念して、ご担当者の、
「この先を行く特別な講座をひらきたい。
表現力をつけたい気持ちはあるものの、
そもそも自分に伝えたいことはあるのか、
と悩む人も多く、その人たちに、
自分を貫くテーマを発見したり、
相手の心に響くように伝えるコミュニケーション力を
つけたりできる場を提供したい。」
という志に共感しました。
2時間×12コマで、
文章表現の本格的な基礎づくりから始まって、
相手に伝わる表現、社会に説得力を持って書く、
さらに、自分にしか書けない主題を発見して書く!
までを責任を持ってサポートします。
ひとりでは気づけない自分の潜在力も、
多彩な仲間とともに引き出しあえるから開花します!
表現を通して他の受講者と心底通じ合える
「感動」の授業です。
心を揺さぶる文章を書きに、ぜひ、来てください。

あなたには書く力がある。

●詳細・お申し込み・お問い合わせは、すべて
こちらのページから
(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。


表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
河出文庫

会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
無職のおばさんと見ることだった。

それまで仕事をがんばって経験を積んできた
他ならぬ私をわかってほしい。

この発想・考え・想い・感性が、
かけがえなく必要とされたい。

理解という名の愛がほしい。

「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。

 

●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=699

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

 

ワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

――3回で一生ものの書く力・話す力が育つ

書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
意志が芽生える。

さらに、

言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。

あなたには表現力がある。

山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



関連コンテンツ

今日のおすすめコンテンツ

「ほぼ日刊イトイ新聞」をフォローする