おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson1064
一緒に悪口を言ってあげる、は良いことか?

ひどい目にあった友だちを、
元気づけようとして、

「一緒になって悪口を言ってあげる。」

これはいいことなんだろうか?

例えば、

友だちが、
「恋人に浮気をされた。
あげく、恋人は向こうの女にとられ、
捨てられてしまった。」
と泣きついてきたような時、

ドラマなどでよくこんなシーンを見て育った。

失恋した友だちを元気づけようと、
仲良しグループが集まってくる。

落ち込んで閉口している友だちに代わって、
元恋人の悪口を言ってあげる。

「あんな奴ろくな人生にならないぞー!」
「初めて会った時から頭わるそーと思ってたけど、
ここまでアホのアホ星人とは!」
「顔が子泣き爺そっくりだぞー、
子泣き爺ひろった女も呪われるぞー!」

すると、落ち込んでいた友だちは、吹き出す。

笑って、そこからは全員で、
かわるがわる悪口を言いながら、
どんどん元気になって、しまいにはスッキリする。

とても感動的に、音楽なども加わって、
こういうシーンが描かれるものだから、

「一緒になって悪口を言ってくれる友はありがたい」

という刷り込みが、若い頃の私にもあったように思う。

けど、現実に
「悪口で友だちを励ます」をやった人の中には、
こんな人もいるかもしれない。

悪口を言ったそばからイヤーな気分に襲われた。

耳が拒否、聞きづらい、
悪口言い合っているこの空間にいるのがたえられない。

友だちは、
最初元気になったように見えたが、
悪口がエスカレートするうち、
どんどん引いていって、しまいには、
「元カレはそこまで悪人じゃない。
いくらなんでもそこまで言わなくても!!!」
と怒った。

友だちと元カレのヨリがもどった。
と思ったら、今度はカップルで、
なぜか自分を敵視するようになった。
「どうせ彼氏は子泣き爺ですから」、
などとチクチクと。

というように、ドラマのようにスッキリしない。
逆にモヤモヤが溜まった人はいないだろうか。

悪口は「紛れた」だけで「昇華された」のではない。

悪口を言うと快楽物質が脳に出て、
一時的に気が紛れた感じになる。

でもこれは、たとえば、便秘に苦しんでる人が、
お酒を飲んで脳内に快楽物質が出て
一時的に便秘を忘れ楽しくなった。
でも「紛れた」だけ、「ちゃんと出す」まで
本当のスッキリはおとずれない、そんな感じだ。

そして、悪口の快楽物質は、
次はもっとひどい悪口でないと、
おなじ快感が味わえない。よって、

悪口はエスカレートする。

そして、言葉は、
だれが、だれに、向けたものであれ、
受けた時に自分に言われたような感覚がある。

例えば、
同僚が、隣の席で、上司にガミガミ怒られていると、
決して自分に言われているのでないと
言い聞かせても、なぜか、
自分も無能と言われているような感覚になってくる。

試合前の友だちに、
「きっと大丈夫! 自己ベストが出る!」
と励ませば、人に言ったと承知していても、
なぜか自分も強められている。
つまり、

悪口は言った本人も食らう。

「だから悪口は自分のために言わない。」

私はそれがベストだと思っている。
もちろん人それぞれでいいし、正解はない、
人に押しつけるつもりもない。
そう言うと、

「自分のためでない、人のためだ!」

と思う人もいるだろう。
友だちを励ますために、あえて悪者になって、
悪口を言ってあげているんじゃないか、と。
共感する。若い頃の自分もそうだった。
出発点は、「相手のために」。

そこで、こんな例を見てみよう。

「親友が、
彼氏に浮気をされてしまった。
最終的に、彼氏は浮気相手のもとに行った。」

こんなケースで、
親友と一緒になって悪口を言わなかった人がいる。

「淳ちゃん」。

淳ちゃんは、『NANA』の主人公「ハチ」の親友だ。
映画化やアニメ化もされている人気マンガで
知ってる人も多いと思う。

ハチがショックで落ち込んでる間、
淳ちゃんは、ハチに親身になって支える。

でも、ハチが元カレの悪口を言っても、
淳ちゃんは、一緒になって悪口を言ってはくれない。

それどころか、
元カレがハチの気づかない苦労をしていたことや、
ハチにもいたらぬ点があったことを、
冷静に、公平に、中立的に、諭(さと)す。
一見冷たいように思えるけれど、実は、

「親友の被害者感情を増幅させない」

という点では、とても優れた対応ではと私は思う。

もし、元カレの悪口を一緒になって言ったとしよう。
悪口はエスカレートして、元カレは極悪人になる。
すると、

「ハチは、もともと性根の腐った極悪人に、
まんまと引っかかって、騙され、傷つけられ、
ただツラい想いを食らわされただけの、被害者」

という見方になってしまう。

元カレをどんどん黒(=悪)に、
親友をどんどん白(=善)に、
すればするほど、親友の被害感情も濃くなる。

これは先週の、
「自分を可哀想に思わないためのレッスン」
でも言った。これだと、

「親友は可哀想」になってしまう。

しかし、元カレにも隠された良い所があり、
ハチにもいたらぬ所があったと諭(さと)すことで、

「親友は、ひとりの人間として、
ちゃんと出逢って、ちゃんと元カレと恋愛をした。
ツラい結末でも、本当に想い合った事実はあった。
そして自分たちの意志で別れる選択した。」

という見方になってくる。
これだとずいぶん「親友は可哀想」感は減る。

淳ちゃんは、
甘ったれでいつまでたっても世話のやけるハチが、
独り立ちできるよう、自由に羽ばたけるよう、
願っていたのではないか、と私は思う。つまり、

「自立を励ます。」

だから目先の気を紛らすだけの
甘い飴のような「悪口」は、
ハチに与えなかったのかなと思う。

もちろん、
被害感情そのものが悪いわけではない。
世の中には被害感情を持って当然のケースや、
本人は全く悪くない場合もたくさんあると
私は承知している。
そういうケースにはここまでの話はあてはまらないし、
安易に他のケースにあてはめるつもりも全くない。
そこは誤解のないよう言っておく。

ただ、ケンカ両成敗のことも多い、
白黒はっきりつけられないも多い、
人間関係で、

いっそくとびに悪口を言ってあげる、その前に、
できることはあるかもなあ。

白にも黒にもどっちにも持っていきようのない
友だちの言葉にならない「想い」を
じっと聴いたり。

傷ついて自分が揺らいでいるだろう友だちに、
その友達が本来持っている
「かけがえのないいい所」を、
見失うことがないよう、ちゃんと言葉にして伝えたり。

一日一回の温かな声かけをずっと続けたり。

即効性はないかもだけど、
じわじわ、ほっこり、長い目でみたら、
できることは他に見つかるかもしれない。

そして、

「一緒になって悪口を言ってくれない人」

を大事にしたい、と私は思う。

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★出演情報などお知らせのあるときは
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『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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