おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson1054
自分に優しいカタチ

人から“負”の感情を向けられるの、
ほんとうにツラいよね。

嫌われたり、
ディスられたり、
無視されたり、
ハブられたり、
攻撃されたり、

夜眠れない。
食べられない。
ムリして食べても胃や腸が受け付けず‥‥、

かつて私も、決して死にたくはなかったが、
このまま弱ってしんだらどうしよう、
と追い詰められた時期があった。

「どうにか、少しでも、心が安まる方法はないか?」

わらをもすがる思いで、
「苦痛」「人間関係」「癒し」など
ネットにキーワードを入れ必死で検索した
仏教の和尚さんのYouTubeが出てきて、

「自分を攻撃する相手の幸せを祈りなさい」と。

ひっくりかえりそうになったのを今も覚えている。
当時の私には、あまりにもハードルが高く、
とうていできないことだった。

けど、日に日に、眠れなく、
体調悪くなっていき、追い詰められて、

ある日、

洗濯を干していた最中、
「エイヤー!」 と、カタチだけ、
手を合わせて言ってみた、

“〇〇さんが幸せでありますように。”

「あれ?!」

わるくない。

わるくない気分だ、っていうか、
みぞおちの奥のあたりが、すっ、と落ち着いた。

1週間ほど続けると心もこもってきた。

いまから考えると、そこが、
「考えるベクトルを変える」きっかけだったように思う。

それで救われたらいいが、そうはいかず、

「我慢して溜め込むと、
いずれよくないカタチで出るんじゃないか?
適度に、外へ出した方がいいんじゃないか?」

と編み出して試してみたのが、
“幼稚な悪口ひとり声に出して言う”作戦。

方法はいたってカンタン。

誰も聞いていない、
ひとりっきりのスペース(自室など)にいく。

できるだけ幼稚な、まるで5歳児のような悪口を、
その場かぎり、声に出して言う。

考えたんだけど、
この方法なら、相手にも、まわりにも、
だれひとり迷惑をかけない。

それに子どもの悪口なら、
大人の言葉で言うより罪がない気がした。

「頭がピーマンなんじゃー!」

と、めちゃめちゃ幼稚な悪口を、
真剣に、純粋に、大声を出して、
思いつく限り言ってみた。
さぞスッキリするかと思いきや、

あれっ、スッキリしない。

その後も、怒りの手前で、
通算3回試してみたが、スッキリしない。

なんか、みじめっていうか、
自分のことを好きになれないっていうか、
心の悪玉菌ふやしてるっていうか、

安らぎとはほど遠い、やな感じ、だった。

人から自分に向けられた“負”の感情、
負のまま出しても癒されない。

だから、くるっ、と方向を変えて出してみる。

「自分と同じことで苦しんでいる人のために、
なにかチカラになれないか」

プラスの方向へ。

「憎むべきは、誤解やすれ違いであって、
人ではない。それを少しでも減らすには」

“人”に向けず、“現象”へ。

そして、

「本来自分のやりたかった道に進む、
そこに注ぎ込む」

受けた負をプラスに向ける変換器が習慣づけば、
すべては、進む「燃料」にできる。

そんなある日、
また苦痛が押し寄せ、
怒りになるとしんどいので、
どうにかかわそうとしていた時、
ぽこん、と、この言葉が湧いて出た。

「なにかきっと事情があるにちがいない。」

いまの自分にはわかれないけれど、
相手には相手なりの何か深い事情があるんだ。

私はじっと相手の事情をイメージした。

すると、すーっ、と心身ラクになる感じがした。

その後も私は、
苦痛の波が湧きあがるごとに、

「なにかきっと事情があるにちがいない。」

とりあえず1回そう心の中でつぶやいてみた。
腹を立てたり失望したりする前に、とりあえず1回。

そのたび、すっ、とラクになる、体は正直だ。

「なにかきっと事情があるにちがいない。」

は、あくまで自分の想像の域は出ない。
だけど、「憶測」や「決めつけ」とは違う。

「あの人は、ああだ」「この人はこう」と
決めつけていることが人と人との対立を深める。
「何か事情が…」は、その決めつけを、
ゆるめる言葉だ。

「思いやり」に近い。

そして、相手を思いやった時が、
自分の体調がいちばんよかった。

言葉の第一読者は「自分」だ。

自分の放った言葉は、
それが誰に向けた言葉であろうと、
口で言おうと、文字に書こうと、
脳内、最初に受け取るのは自分。

以前、人間は、
自分に言われた言葉じゃないとわかっていても、
心で無自覚に、自分に言われたように受け取ってしまう
ということをここに書いた。

例えば、文章表現教室で、
親が子を想って書いた手紙を朗読すると、
聴いているほとんどの人が、
「自分に言われているのでないとわかっていても」
愛を受け取って、満たされていく。

さらに、文章表現において、

「相手を大切にした文章は、自分も大切にしている。」

例えば、以前、息子さんに謝りたいというお母さんがいた。

息子が仕事も結婚生活もうまくいかないのは、
自分の子育てが間違っていたせいだ、謝りたい、と。

でも、息子さんのことを、大切に、大切に、
考えていくうちに、

“謝ったら、息子の人間性を否定したことになる”

と気づいて、謝らない、と決めた。

最終的に、母は自分の道で頑張る、
そういう母の背中を息子に見せる、
という方向に文章の舵を大きく切り換えた。
息子さんへのメッセージは、

“一緒に次の景色を見よう!”

最も息子さんを大切にした文章が、
最も自分の人生も大切にしていた。

「文章は相似形」

相手を大切にすれば、自分も大切にしているし、

相手を決めつければ、自分も決めつけるし、

相手を自由に解き放った言葉が、
結局、自分をも解放し自由にしている。

「なにかきっと事情があるにちがいない。」

優しい言葉を口にすると、
自分の中から優しい感情が引き出され、
それが相手だけでなく、
自分をもいたわっていく。

「人に優しいカタチが、自分にも優しい。」

負の感情を向けられた時、
それでも一回、相手を思いやってみる。

それが現時点で見つけた、
自分のカラダに優しいカタチだ。

ツイートするFacebookでシェアする

………………………………………………………………………

「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.com までメールでお送りくださいね。
★仕事のご依頼はここに送らないでください。
山田ズーニーtwitter( @zoonieyamada )へお願いします。
または山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をおたずねください。


お申込みはこちらから
https://www.kinjo-gakuin.net/event/open/

お問い合せ 金城学院大学 入試広報部
TEL:0120-33-1791 Mail:nyushi@kinjo-u.ac.jp


お申込みはこちらから
https://001.webexpo.jp/exhibition/USS
●お問い合わせは
株式会社ウチダシステムズ フェア事務局
TEL:03-3537-0888
e-mail:ussfair2021@uchida-systems.co.jp
*「ほぼ日」に問い合わせないようお願いします。


お申込みはこちらから
http://www.kinjo-gakuin.net/event/open/202107/
お問い合せ 金城学院大学 入試広報部
TEL:0120-33-1791  Mail:nyushi@kinjo-u.ac.jp


お申込みURL:https://forms.gle/CWB7PorRGe9BJkYx6 
お問い合せ先:北日本新聞就職情報センター(kinet) 
メールアドレス:kitanippon.kinet@gmail.com 
電話:076-445-3337(平日9:00〜17:00)「とやま就活」まで


【満員御礼!】この講座は満席になりました。
キャンセル待ちも締め切りました。
たくさんのお申込みありがとうございました。

宣伝会議 表現力養成コース

編集・ライター養成講座20周年記念講座

山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く

山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
大学・高校生から
ビジネスマン・プロのライターから作家まで
幅広い層に、数えきれないほど表現講座を開いてきました。
その原型が生まれたのが、
宣伝会議の編集・ライター養成講座でした。
現在も講師をつとめており、毎回、
受講者に次のような声をいただき手ごたえを感じています。

 

・自分の想いの根幹を探るという経験を
こんなにじっくりと時間をかけてやったことはなかった、
得難い経験でした。

・終了したとき、この講義の意図が
身体にしみわたるように理解できた。
コミュニケ―ションが苦手だったが、
非常に楽しく有意義に受講できた。

・自己開示が苦手だったが、一気に開くことができた。

・現実の出来事を多角的に見て、表現のヒントを探すことは
全ての実務に活かせると思います。

・自分の可能性を信じようと思えた。
自分はつまらない人間ではない。

今回20周年を記念して、ご担当者の、
「この先を行く特別な講座をひらきたい。
表現力をつけたい気持ちはあるものの、
そもそも自分に伝えたいことはあるのか、
と悩む人も多く、その人たちに、
自分を貫くテーマを発見したり、
相手の心に響くように伝えるコミュニケーション力を
つけたりできる場を提供したい。」
という志に共感しました。
2時間×12コマで、
文章表現の本格的な基礎づくりから始まって、
相手に伝わる表現、社会に説得力を持って書く、
さらに、自分にしか書けない主題を発見して書く!
までを責任を持ってサポートします。
ひとりでは気づけない自分の潜在力も、
多彩な仲間とともに引き出しあえるから開花します!
表現を通して他の受講者と心底通じ合える
「感動」の授業です。
心を揺さぶる文章を書きに、ぜひ、来てください。

あなたには書く力がある。

●詳細・お申し込み・お問い合わせは、すべて
こちらのページから
(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。


表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
河出文庫

会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
無職のおばさんと見ることだった。

それまで仕事をがんばって経験を積んできた
他ならぬ私をわかってほしい。

この発想・考え・想い・感性が、
かけがえなく必要とされたい。

理解という名の愛がほしい。

「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。

 

●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=699

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

 

ワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

――3回で一生ものの書く力・話す力が育つ

書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
意志が芽生える。

さらに、

言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。

あなたには表現力がある。

山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



関連コンテンツ

今日のおすすめコンテンツ

「ほぼ日刊イトイ新聞」をフォローする