おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson1055
愛の目減り

「さみしい」、

おとなになるとなかなか言えない、
けど、こじらすとやっかいなのが、

「さみしい」という感情だ。

愛情に恵まれてる人恵まれない人、
いろいろいるけれど、
いま、多いか、少ないか、ではなくて、

愛情は、減ってく時が要注意!

減ってく時期をうまくのりきることが
大事ではないだろうか。

……………………

コロナ禍、
外出自粛で人に逢えない時、
みんなどうのりきったんだろうか?

私も一時は、コロナ自粛で、
予定していた講座や講演などが全部なくなり、
孤独と不安にひとりじっと耐える日々だった。

しばらくして表現講座がオンライン化でき、
仕事の希望はひろがった。
しかし、外出自粛で人に逢えず、
対面で人に逢えるようになったのは、2022年春以降だ。

その間、心の支えだったのが、
故郷の家族とスカイプで晩ごはん、だった。

毎晩、7時から9時まで、
オンラインで一緒にご飯を食べ、話し、
動画を共有して見て笑ったりした。

その2時間で一日分の孤独を解消してた。

ところが家族が忙しくなった。

趣味のスポーツ観戦がシーズンに入り、
「この日も、この日も、できたらこの日も、
スカイプできそうにない」と。

私は、こころよくうけあった。

いい歳をして一人でごはんが食べられない
なんてことはない。
ひとりぼっちには自信があった。

「私のことは気にしないで、楽しんで。
1週間でも、2週間でも、
スカイプしなくても平気だから」

その言葉に嘘はなかった。

私は、そこから誰とも会わず、誰とも話さず、
ひとりごはんを食べる日々になったが、
なに、期間限定のことだ。

「さみしい」ともなんとも思わない。

ネットフリックスなどで、
目当ての連続ドラマの1つも見つかれば、
あっという間に一日は終わってしまう、
‥‥はずだった。

寝つけない。

しばらくすると、なかなか夜、寝つけなくて。
あれこれ試してとうとう、
聞こえないくらい小さい音で
テレビをつけたまま、
電気もつけたまま、寝るようになった。

「あれ、昔もこういうことがあったよな」

昔、会社を辞めた時も、
気がつくと3週間と、
人に会えず、誰とも話さず、
ひとりものを書く生活だった。
たったひとりでごはんを食べていた。

あの時も、テレビをつけたまま、
電気をつけたまま、でないと、
どうにも寂しくて眠れなかった。

「さみしいのかな? 私」

そんなばかな、
先が見えなかったあの頃より、
いまのほうがずっと恵まれている。
当時はスカイプなんてできなかった。
いまはその気になればオンラインで
家族にも会える。

でも、たまにスカイプできても、
妙に家族とギクシャクする、
なんか「トゲを出してる自分」がいた。

そんなある日、

うちの街の真上を、
航空ショーが通ることになった。

虹色のスモークを出しながら、
飛行機のチームが、アクロバット飛行で、
空に美しい模様を描いていく。

マンションの屋上に出て待っていたら、

ご近所の屋上にも、
向こうのホテルの屋上にも、
あっちのオフィスビルのベランダにも、

皆、ご家族や、職場仲間と、連れだって出ていた。

航空ショーは頭の真上、大、大、大迫力で、
私は歓声をあげて見入った。

終わって、我にかえって、まわりを見渡すと、

隣の建物のご家族も、
むこうのホテルの従業員たちも、
皆、それぞれの連れと感動を温めあっていた。

私は、しゅん、と一瞬で心の陽が暮れた。

さっきあんなスゴイものを見て、
あんなに感動したのに、
その想いを共有する人が、私にはいない。

その時、私は、はっきりと自覚した。

「さみしい。」

でも、ヘンだ。
フリーランスになってから、
ひとりぼっちは筋金入りだ。

それに、会社を辞めて5年間ぐらいは、
もっともっと人の温もりに飢えていた。
それに長年たえて鍛えられてきた。
あの頃に比べたら、今の方が、
ぜんぜん恵まれてる。

「あっ、愛とごはん。」

愛に飢えるのは、お腹がすくのと似ている。

以前、母に、戦中の食生活を聞いたことがあるが、
食べ物のない、とんでもなく厳しい環境でも、
人間には適応力があり、慣れていけば生き抜ける。

愛情もそうで、以前、ここで、
幼い頃から親の愛に恵まれなかった読者の方が、
本などの作品からコツコツ愛をチャージし、
それを人に分配し、循環させ、
やりくりして生きてきたことをとりあげた。

人は素晴らしい適応力で、愛に干されても、
慣れればそうして生き抜いていける。

けど一方で、人にはもろい面もある。

きのうまで、毎日、毎日、朝・昼・晩、3食、
家族が手づくりした温かいおいしいごはんを
食べていた人が、

「急に今日から1日1食、菓子パン1個です。」

となった時、
菓子パンはおいしいし、母の戦中からすれば
夢のように恵まれているにもかかわらず、

わびしい、ひもじい、渇望する気持ちになる。

「そうか、愛情もそうだ!
ずっと有った状態から、急に干される、
その状態には、人は、もろいんだ。」

私はさっそく、その話を家族にした。

きのうまで3食あったものが、今日は1食、
次の日はナシ、次はいつ食べられるかわからない、
そういう状況はキビシイと。

慣れれば平気になるから、
慣れるまでは協力してほしいと。

「さみしい」は、こじらせるとやっかいだ。

すると家族は、こころよく時間をやりくりして、
ここで小1時間、休日はスカイプでランチ、
など工夫してくれた。

考えたら、もともと家族はそうしようか
と言ってくれてたのだ、私が勝手に、
「いらない。子どもじゃないんだから」
と却下してしまっていた。

「これからは、もっと早く、
“さみしい”を自覚できるようになろう。」

掃除と愛情はためておけない、といわれる。

一日一日にしたらささやかでも、
睡眠負債が、やがて、おおごとになるように、
食習慣が、やがて、生活習慣病を引き起こすように。

愛情も、小さいうちにちゃんと不足に気づいて、
早めに人に頼ったり、
本や映画など作品に求めたり、
こまこま摂取できるようになりたい。

私はこれを、子どもっぽいとは思わない。

昔の自分なら、
いい歳をして甘ったれて、
と思ったろう。でも今は、

“さみしい”をちゃんと自覚できて、
ちゃんと人に頼れる、
それも自立心であり、

「さみしいが言えたら一人前のおとな」

と、私は思う。

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「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
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TEL:0120-33-1791 Mail:nyushi@kinjo-u.ac.jp


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【満員御礼!】この講座は満席になりました。
キャンセル待ちも締め切りました。
たくさんのお申込みありがとうございました。

宣伝会議 表現力養成コース

編集・ライター養成講座20周年記念講座

山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く

山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
大学・高校生から
ビジネスマン・プロのライターから作家まで
幅広い層に、数えきれないほど表現講座を開いてきました。
その原型が生まれたのが、
宣伝会議の編集・ライター養成講座でした。
現在も講師をつとめており、毎回、
受講者に次のような声をいただき手ごたえを感じています。

 

・自分の想いの根幹を探るという経験を
こんなにじっくりと時間をかけてやったことはなかった、
得難い経験でした。

・終了したとき、この講義の意図が
身体にしみわたるように理解できた。
コミュニケ―ションが苦手だったが、
非常に楽しく有意義に受講できた。

・自己開示が苦手だったが、一気に開くことができた。

・現実の出来事を多角的に見て、表現のヒントを探すことは
全ての実務に活かせると思います。

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自分はつまらない人間ではない。

今回20周年を記念して、ご担当者の、
「この先を行く特別な講座をひらきたい。
表現力をつけたい気持ちはあるものの、
そもそも自分に伝えたいことはあるのか、
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多彩な仲間とともに引き出しあえるから開花します!
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心を揺さぶる文章を書きに、ぜひ、来てください。

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●詳細・お申し込み・お問い合わせは、すべて
こちらのページから
(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。


表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
河出文庫

会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
無職のおばさんと見ることだった。

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他ならぬ私をわかってほしい。

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かけがえなく必要とされたい。

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「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。

 

●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=699

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

 

ワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

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自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
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言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。

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山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
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題名を「山田ズーニーさんへ」として、
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注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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