飯島 | ナスフライです。 ポテトフライの代わりに 向こうでつくっていたものです。 |
荻上 | あった、あった! |
糸井 | この赤いソースは? |
飯島 | ケチャップとタバスコが入ってます。 |
糸井 | はい。 いただきます。 (ほおばる) うっま。 うっま! |
荻上 | うーん、カリカリー! おいしい。 |
糸井 | なぜカリカリするの? |
飯島 | コーンスターチと小麦粉で。 |
糸井 | うっま! ナスはかならずヤケドに気をつけないとね。 (はふはふしながら) 『トイレット』は 上映館が前より多いってことはあるの? |
荻上 | いや、おなじくらいですよね。 上映館って。 |
映画 スタッフ |
そうですね。 |
糸井 | 祈りましょうか。 |
荻上 | はい。 |
── | (口々に)ヒット、祈る。祈る。 |
糸井 | こうすればひとが来るよなんていう方法、 ないもんね。 |
映画 スタッフ |
そうなんですよね。 ほんとうにそうです。 |
糸井 | ある、って嘘つくひといっぱいいますけど、 ないよね。 |
荻上 | ないと思います。 もうほんと、祈るしかない。 |
糸井 | ぼくもほんとう、およばずながら、一緒に。 いや、観たら 「いい感じ」になりますよ、やっぱり。 |
荻上 | ありがとうございます。 祈る、ってこと、しますか? |
糸井 | しますよ。 できることってあんまり多くないから、 祈るしかないな、 って言い方をするじゃないですか。 でも「しかない」って言うと ちょっと「祈る」にたいして 失礼な気がするんですよね。 案外‥‥、祈るって 「呪う」ってことですからね。 「呪い」と「祈り」はおなじですからね。 |
荻上 | ああー。 |
糸井 | ひとが呪ったら影響あるでしょ、絶対。 それくらい効くんですよ。 って、ぼくは思ってますから、 じぶんにどうしょうもないとき、 とにかく祈りますね。 |
荻上 | その「祈る」対象ってなんですか。 やっぱり神様みたいなものですか。 |
糸井 | わかんない。 祈るっていうこと自体をする、っていうか 「でありますように」って。 すごく雑に言えば 「なんとかなりますように」。 その「なんとかなりますように」っていうのは キリスト教ふうに言えば 「みむねのままに」、 仏教ふうに言えば 「南無阿弥陀仏」じゃないですか。 おんなじですよね、 「なんとかなりますように」っていうのは。 |
荻上 | わたしもすごい自分勝手な お祈りばっかりしてます。 |
糸井 | うん。 かなうものはかなうし、 かなわないものはかなわないんだから、 祈りって結局、 思ったとおりでいいんじゃないかなあ。 |
荻上 | ふふ。 |
糸井 | あんな映画がいっこずつつくれていくひとが 「もっとつくれますように」。 その祈り、ぼくは神様がいるとか いないとかじゃなくて、 かなえられると思うよー。 オレが言うことじゃないけど(笑)。 このままじゃー、もったいないもんねえ。 |
荻上 | そうです、なんか、 「やりたーい」って願ったりすることは ──バカみたいですけど、 できなかったことは実はあんまりなくて。 だから、よくインタビューとかで 「ぼくも映画監督になりたかったんですよ。 だけどぼくには才能がなくて」って聞くんですね。 でもそういうひとって、きっとその 「どうしても!」の、「どうしてもさ」が 足りないのかなって思うんです。 |
糸井 | それ、松田聖子も言ってましたね。 |
荻上 | あははは! そうなんですかー。 ほんとですかー。 |
糸井 | うん。 |
荻上 | えええええー。 |
糸井 | 松田聖子もスキスキ光線を出せって。 その、ビームを出す電池の、 電気の部分は沈黙ですからね。 ようするに、お前ひとりでいるときに なりたいなりたいって思わなかっただろう、 って疑うんですよ。 ひとに言うときに 「オレもなりたかったんですよね」 って言うけど、 ひとりのときに思ってなきゃ。 みんなひとりのときには思ってないんだよ! 監督やりたいなあ、って、ひとりのときに 心から思ってるひとりっていないんですよ。 |
荻上 | そういうものなんですかねえ。 |
糸井 | 言ってなかったんだけど実は、 って言う方がまだね。 アイドルでだれが好き、って話になれば みんな言うじゃないですか。 でも、ほんとうに好きなひとのことは だまって、思ってますよね。 言わない。重要なのは やっぱりひとりの時間なんですよ。 案外、ぼくも、そっち派ですよ。 |
荻上 | (笑) |
糸井 | ひとりでいるときの顔を 想像できないひととは あんまり友だちになりたくない、って 言い方をしてたことがあって。 |
荻上 | ええー。 |
糸井 | 集団のなかにいる顔だけが 似合うひとっていうのは 世の中にはいっぱいいるんで。 |
荻上 | そういうものですか?! |
糸井 | いますね。 ひとりになったときには ツライだろうな、って見えちゃう。 さみしいだけだろうなって見えちゃうと やっぱりそこまでにしか見えない。 さあ、ひとりになった、 っていってからの時間が彼の時間なんで。 じぶんも調子のいい人間ですけど、 じぶんなりにひとりの時間っていうのが ひとといる時間以上に大事だっていうのがあって。 そこしか自分を育ててくれないですよね。 今日のお話は、ひとり遊びの話から始まったから、 ああすごいラクだなあって、ぼくは思いました。 |
飯島 | デザートはいかがですか。 今日のデザートは、あんみつです。 |
一同 | きゃーっ(歓声)! |
飯島 | あずきも煮たんです。 あんずをいただいたのでそれも。 |
糸井 | シロップに! うわあぁぁ、いいねえ! (次回最終回につづきます!) |