もくじ
第1回(プロローグ)偏食なのに 2016-06-28-Tue
第2回バターロールとカラス 2016-06-28-Tue
第3回ピザを注文したいだけ 2016-06-28-Tue
第4回うみたてたまごと、しお 2016-06-28-Tue
第5回青いうみたてたまご 2016-06-28-Tue
第6回「クッキー」にまつわる、にくい話 2016-06-28-Tue
第7回2ドルの「しお」と、良心 2016-06-28-Tue
第8回グルメ旅行のお土産品 2016-06-28-Tue
第9回ポーキーとプリン 2016-06-28-Tue
第10回(エピローグ)プレイ日記と食べ物日記 2016-06-28-Tue

ライター、ルポエッセイスト/著書『「ぼっち」の歩き方』、『ひとりっ子の頭ん中』/Twitter @moyomoyomoyo

『MOTHER2』グルメの旅

担当・朝井麻由美

第5回 青いうみたてたまご

 もう今度は間違えないぞ、と意気込んで、
「ハッピーハッピー村」で「うみたてたまご」を買った。
「ツーソン」から長い長い谷を越えて、
ようやく辿り着く不気味な集落が
「ハッピーハッピー村」である。
この村では、なんでもかんでも「ブルーブルー」と
言いながら青く塗りつぶしてしまう新興宗教の信者たちと
たびたび戦うことになる。
「お前は青くないから、怪しい奴だ」と
出会いがしらに食ってかかられるのだ。
建物も青い、人も青い、牛も青い。
泊まった宿のシーツも青い。
この青い村で過ごすにあたって、
回復アイテムはできる限り多く持っておきたい。
そう思って「うみたてたまご」を購入して、
ふと手が止まった。
……青いかもしれない。
この卵も、青いかもしれない。
いかんせん、牛の体の本来白い模様の部分が、
青く塗りつぶされていたのだ。
牛が青いなら、にわとりだって青いだろう。
にわとりが青ければ、その卵も青いに違いない。
「うみたてたまご」は文字でしか表現されないため
色までは確認しきれないが、
この村で買った「うみたてたまご」は、きっと青い。
結局、買った「うみたてたまご」は
なんとなく手がつける気になれないまま孵化し、
にわとりへと成長した。
たぶん、青いにわとりが産まれたのだと思う。

(続きます。次は「「クッキー」にまつわる、にくい話」)

第6回 「クッキー」にまつわる、にくい話