もくじ
第1回「うれしい」ってなんだろう? 2016-06-28-Tue
第2回遠山正道の「うれしい」。 2016-06-28-Tue
第3回狩野岳朗の「うれしい」。 2016-06-28-Tue
第4回伊藤信吾の「うれしい」。 2016-06-28-Tue
第5回内沼晋太郎の「うれしい」。 2016-06-28-Tue
第6回牧野圭太の「うれしい」。 2016-06-28-Tue
第7回「うれしい」が教えてくれること。 2016-06-28-Tue

1987年生まれ。
茨城県出身、
東京都在住。

散歩、長風呂、
同じ本を繰り返し
読むのが好き。

第3回 狩野岳朗の「うれしい」。

絵はあまり詳しくないのですが、
「これは!」と直感で良いと感じた展示会には
なるべく足を運ぶようにしています。

そのなかでも特に心に残っているのは、
イラストレーター安西水丸さんの描く小粋で軽いタッチと、
イタリアの画家ジョルジョ・モランディの静かな空気感でした。

絵が持つ効用のひとつとして、
気持ちを現実からすっと引き離すことがあると思います。

狩野岳朗さん。
彼が描く絵も、見ていて気持ちがすっと動くような感覚がしました。


《狩野岳朗(かのう・たけろう)プロフィール》

画家。
主な仕事に、本の装画『晴れたり曇ったり』(川上弘美 著)、
『哲学散歩』(木田 元 著)、
アパレルブランド「sneeuw」とのコラボレーション。
古道具屋「IONIO&ETNA」を運営。
http://www.sktec.org/

狩野さんの作品との出会いは最近。
ツイッターでたまたま知ったのがきっかけで、
その後、渋谷のギャラリーで、
初めて狩野さんの実物の絵を見る機会に恵まれました。

ギャラリーの窓から刺すやわらかい光が、
絵の中の明るい線や四角と重なっていき、
見ているとだんだんと気分が軽くなっていきます。

このとき初めて、「絵が欲しい」と強く思いました。
きっと、体調や気分によって、絵の見え方は毎日異なるはず。
そんな「定点観測」になる絵が欲しい、と思ったのを覚えています。

「絵」を用いて表現をされている狩野さんは、
どう「うれしい」を捉えているのか、聞いてみます。


《「うれしい」についての3つの質問》
画家 狩野岳朗

1.あなたはどんな時に「うれしい」と感じますか?
例えば、最近あった「うれしい 」を教えてください。

友達となにかを共感した時。
最近では海岸で拾い物をしに行って探していた
石や不思議な物などに出会った時。

2.「うれしい」に出会う、または「うれしい」をつくるために、
ふだんから意識されていることはありますか?

楽しそうなことに身を投じる。

3.「うれしい」を言葉で表すと、どんなふうになりますか?
パッと浮かんだ単語でも、文章でも結構です。

やったー。

海岸で拾い物をするように、
狩野さんの言葉をひとつ、手にとってみます。

「うれしい」に出会うために、楽しそうなことに身を投じる。
そして、他者と共感できた時に「うれしい」と感じる、
と狩野さんは言います。

受け取るだけで受け身の姿勢になってしまうと、
少しずつ、気持ちがやせていってしまうのかもしれません。

たしかに、言われたことをただやるだけよりも、
自分なりの工夫やアイデアをもって取り組み、
それが誰かに喜んでもらえたときって、
とても「うれしい」よなぁ。

頭でっかちに考え込むのではなく、
まずはひょいっと飛び込む軽さ。
これも、「うれしい」をつくるヒントになりそうです。

次回は、どんな「うれしい」に出会えるのでしょうか。
この調子でいってみましょう。


《第3回に続きます》

第4回 伊藤信吾の「うれしい」。