絵はあまり詳しくないのですが、
「これは!」と直感で良いと感じた展示会には
なるべく足を運ぶようにしています。
そのなかでも特に心に残っているのは、
イラストレーター安西水丸さんの描く小粋で軽いタッチと、
イタリアの画家ジョルジョ・モランディの静かな空気感でした。
絵が持つ効用のひとつとして、
気持ちを現実からすっと引き離すことがあると思います。
狩野岳朗さん。
彼が描く絵も、見ていて気持ちがすっと動くような感覚がしました。
《狩野岳朗(かのう・たけろう)プロフィール》
画家。
主な仕事に、本の装画『晴れたり曇ったり』(川上弘美 著)、
『哲学散歩』(木田 元 著)、
アパレルブランド「sneeuw」とのコラボレーション。
古道具屋「IONIO&ETNA」を運営。
http://www.sktec.org/
狩野さんの作品との出会いは最近。
ツイッターでたまたま知ったのがきっかけで、
その後、渋谷のギャラリーで、
初めて狩野さんの実物の絵を見る機会に恵まれました。
ギャラリーの窓から刺すやわらかい光が、
絵の中の明るい線や四角と重なっていき、
見ているとだんだんと気分が軽くなっていきます。
このとき初めて、「絵が欲しい」と強く思いました。
きっと、体調や気分によって、絵の見え方は毎日異なるはず。
そんな「定点観測」になる絵が欲しい、と思ったのを覚えています。
「絵」を用いて表現をされている狩野さんは、
どう「うれしい」を捉えているのか、聞いてみます。
《「うれしい」についての3つの質問》
画家 狩野岳朗
1.あなたはどんな時に「うれしい」と感じますか?
例えば、最近あった「うれしい 」を教えてください。
友達となにかを共感した時。
最近では海岸で拾い物をしに行って探していた
石や不思議な物などに出会った時。
2.「うれしい」に出会う、または「うれしい」をつくるために、
ふだんから意識されていることはありますか?
楽しそうなことに身を投じる。
3.「うれしい」を言葉で表すと、どんなふうになりますか?
パッと浮かんだ単語でも、文章でも結構です。
やったー。
海岸で拾い物をするように、
狩野さんの言葉をひとつ、手にとってみます。
「うれしい」に出会うために、楽しそうなことに身を投じる。
そして、他者と共感できた時に「うれしい」と感じる、
と狩野さんは言います。
受け取るだけで受け身の姿勢になってしまうと、
少しずつ、気持ちがやせていってしまうのかもしれません。
たしかに、言われたことをただやるだけよりも、
自分なりの工夫やアイデアをもって取り組み、
それが誰かに喜んでもらえたときって、
とても「うれしい」よなぁ。
頭でっかちに考え込むのではなく、
まずはひょいっと飛び込む軽さ。
これも、「うれしい」をつくるヒントになりそうです。
次回は、どんな「うれしい」に出会えるのでしょうか。
この調子でいってみましょう。
《第3回に続きます》