決して競争するわけではないけれど、
その背中に負けないように頑張ろうと思える人がいること。
年齢の近い人が社会で活躍する姿をみると、
そんな「うれしい」を感じることがあります。
最後に登場していただくのは、僕にとってはそんな存在である、
デザインを軸にした会社、文鳥社代表の牧野圭太さんです。
《牧野圭太(まきの・けいた)プロフィール》
株式会社文鳥社代表
2009年に博報堂に入社し、コピーライターに配属。
その後、HAKUHODO THE DAYなどを経て、
2015年7月、デザインを軸とした会社「文鳥社」を設立。
自身が運営するFacebookコミュニティ
「コピーライターの目のつけどころ」は、
6万人以上が「いいね!」している。
http://bunchosha.com
牧野さんとは、共通の知人を通じて話したのが最初の出会いで、
その時に見せてもらった「文鳥文庫」というプロダクトに、
一目惚れしてしました。
「文鳥文庫」とは、短編の名作小説を蛇腹に折りたたんだ文庫で、
それぞれがカードのように独立しています。
一冊の本を読み通せなくても、これなら手に取ることができる。
忙しいけど本を読みたい人にとって、「うれしい」ものだと思います。
牧野さんは、いままでにないものをつくったり、
デザインという手法を通じて、「うれしい」をつくっています。
牧野さん、「うれしい」について教えて下さい。
《「うれしい」についての3つの質問》
文鳥社代表 牧野圭太
1.あなたはどんな時に「うれしい」と感じますか?
例えば、最近あった「うれしい 」を教えてください。
僕の場合は、他者との関係性よりも、
自分の成長を実感するときがいちばんうれしいです。
例えば4年ほどまえにボクシングをはじめました。
28歳の頃からのスタートですが、週に三日以上通い続け4年もたつと、
目に見えて上達しています。
そして体も衰えるどころか、強くなっていっているのがわかります。
「いくつになっても成長できるんだ」と
思えることは本当にうれしいことです。
肉体というのは成長が実感しやすいものです。(衰えもしかりですが)
仕事(スキルや頭脳)になるとわかりづらいものです。
だけど、仕事でも「前よりいい文章が書けた」
「前にはできなかった挑戦が実を結んだ」という
瞬間はやはりうれしく思います。
2.「うれしい」に出会う、または「うれしい」をつくるために、
ふだんから意識されていることはありますか?
毎日自分の全力を出し切る、
ということになってしまいます。
こういったとき、スポーツをしていると経験的に実感できるのですが、
どうやっても「成長へのショートカット」はありません。
120%の負荷をかけつづけることで、少しずつ成長していきます。
それ以外はありません。
それはきっと仕事でも同じことだと思います。
いきなりできるようになるなんてありません。
毎日、自分のもてる力を100%出し切るしかないのだと思います。
(ただそれもとても難しいことなのでやっかいですが・・・)
3.「うれしい」を言葉で表すと、どんなふうになりますか?
パッと浮かんだ単語でも、文章でも結構です。
「生の実感」ですかね。
それが唯一といっていいほど
「生きていてよかった」と思う瞬間な気がしたので。
「いくつになっても成長できる」ことを実感するために全力を出し切る。
それが難しいと自覚した上で、それでもやるんだ、ということ。
他者との関係性の中ではなく、ご自身のなかに基準をおく、
というのも、ご自身のパーソナリティーを表す回答なのかもしれません。
他人と競争するのではなく、比べる対象は自分である。
そして、それらが「生の実感」につながっていく。
肩をポンと叩いてくれるような、熱量のある言葉だと思います。
次回はいよいよ最終回。
「うれしい」について、いま、考えられることを書いていきます。
《第7回に続きます》