もくじ
第1回「うれしい」ってなんだろう? 2016-06-28-Tue
第2回遠山正道の「うれしい」。 2016-06-28-Tue
第3回狩野岳朗の「うれしい」。 2016-06-28-Tue
第4回伊藤信吾の「うれしい」。 2016-06-28-Tue
第5回内沼晋太郎の「うれしい」。 2016-06-28-Tue
第6回牧野圭太の「うれしい」。 2016-06-28-Tue
第7回「うれしい」が教えてくれること。 2016-06-28-Tue

1987年生まれ。
茨城県出身、
東京都在住。

散歩、長風呂、
同じ本を繰り返し
読むのが好き。

第5回 内沼晋太郎の「うれしい」。

本をめぐる環境は、いま、大きく動いています。
出版の売り上げは年々下がっていき、
廃業する本屋も少なくありません。

暗いニュースになりがちな「本」の世界で、
自らの手で、そして、仲間と手を取り合い、
独自の切り口で「本屋」をつくっている人がいます。

ブック・コーディネーターの内沼晋太郎さんです。


《内沼晋太郎(うちぬま・しんたろう)プロフィール》

numabooks代表。
ブック・コーディネーター、クリエイティブ・ディレクター。
2012年東京下北沢にビールが飲める書店「B&B」を開業。
そのほか、店舗や読書用品のプロデュースなど、
本にまつわるさまざまな事業を行う。
著書に『本の逆襲』(朝日出版社)など。
http://numabooks.com

内沼さんが講師を務める「これからの本屋講座」で、
挨拶はこのようにはじまります。

”「飲食業界の未来」と「食の未来」、
「アパレル業界の未来」と「ファッションの未来」とが別であるように、
「出版業界の未来」と「本の未来」とは、別のものです。

この講座は、これから広い意味での「本」を扱う人=「本屋」を
目指す人のための講座です。”

この文章を読んでワクワクした僕は、
2015年、この講座に参加しました。

出版のこと、本のこと、自身の手がけたビジネスのこと、
内沼さんは、それらを出し惜しみすることなく話してくれました。

その姿勢は受講生にも伝わり、
講座は活発な意見の飛び交う、熱気のある場になっていきました。

僕はそんな内沼さんの姿勢がとても「うれしかった」。
自分がなにか伝えられる立場になったら、
きっと出し惜しみしないようにしよう。

そんな思いがあり、内沼さんに聞いてみました。

(ちなみに、質問1にある「染谷さんからのメール」というのは、
依頼をするメールに「出し惜しみしない」ということについて、
お話をさせていただいたことがきっかけになっています。)


《「うれしい」についての3つの質問》
ブック・コーディネーター 内沼晋太郎

1.あなたはどんな時に「うれしい」と感じますか?
例えば、最近あった「うれしい 」を教えてください。

染谷さんからいただいた今回のメールに
「本屋講座に参加して、まず驚いたのは、
この方は出し惜しみしない、ということでした。」という一文があり、
それがうれしかった。

いろんな「うれしい」があるのだと思いますが、
たとえばこの「うれしい」は、
「(受け取ってもらえて)うれしい」なのだと思います。
もしこれが「この方は出し惜しみする、ということでした。」という
メールだったとしたら、それは「うれしくない」。

それは、ぼくが「出し惜しみしない」講座であることが一番大事だと思い、
「出し惜しみしない」講座であろうと心がけてやっているからです。

2.「うれしい」に出会う、または「うれしい」をつくるために、
ふだんから意識されていることはありますか?

どんな仕事もどこかで誰かの
「うれしい」をつくるものだと思います。
できるだけ関わるすべての人が
「うれしい」仕事になるといいですよね。

だからどのようにしたら誰にとっても
「うれしい」仕事になるかはひたすら考えます。

意識していることがあるとしたら、
当たり前のことですが、
それをひたすら考えることくらいです。

世の中で常識だとされていることは
「あきらめ」からできている
「うれしくない」ものであることも多くて、
それをあきらめずに「うれしい」に変えられるか、
まず一度最初から考えてみることでしょうか。

3.「うれしい」を言葉で表すと、どんなふうになりますか?
パッと浮かんだ単語でも、文章でも結構です。

「しあわせ」と「うれしい」は似ていると思いますが、
「しあわせ」が線だとしたら「うれしい」は点のイメージ。

よく「失ってはじめて気づくしあわせ」という言い方をしますが、
「しあわせ」は線だからこそ気づきにくいもので、
失わずしてその「しあわせ」を気づかせてくれる点が
「うれしい」である気がする。

あるいは「しあわせ」という線は
「うれしい」という点の集合で構成されている気がする。
そんなようなイメージです。

「しあわせ」は線、「うれしい」は点。
点の集合で構成されたものが、線になっていく。
点が多ければ多いほど、線は太く強くなっていく。

点を増やすために、「あきらめ」からできている
「うれしくないもの」を、あきらめずに「うれしい」に変えていく。
出し惜しみせずに、いつでも最初からやり直す覚悟で進める。

内沼さんの「うれしい」には、覚悟を伴った思いを感じます。

それにしても、「しあわせ」は線、「うれしい」は点、
というイメージ、はじめて聞いたなぁ。
いろんな場面で役に立ちそうな実用性のある言葉です。

それではいよいよ、最後の方にお話を伺っていきます。

《第6回に続きます》

第6回 牧野圭太の「うれしい」。