もくじ
第1回5代目になるかもしれない人の葛藤 2017-12-05-Tue
第2回彼女(たち)が家を継いだ理由 2017-12-05-Tue
第3回家族のために 2017-12-05-Tue
第4回時代に合わせて生きていく 2017-12-05-Tue
第5回私はどうしたいのか 2017-12-05-Tue
第6回独白 2017-12-05-Tue

東京で働いてはいるものの、岩手の紫波町というところで120年以上続く餅屋を継ぐかどうするかの瀬戸際にいます。先のことはわからないから、まずは頑張って生きます。

家族を守るための仕事

家族を守るための仕事

担当・髙橋元紀

第4回 時代に合わせて生きていく

流れといえば、おばあちゃんの(元)旦那さんがこの店をやるとかそういう話はなかったの?
3代目
ないことはなかったんだけど、そうしたら「もっと事業を大きくする」って言ったの。海外とか、いろんな販路を作ってね。でもそれで2代目のおじいちゃんは「こんな奴に家に入られたらどうなるかわからん」って、家に入れないように私を嫁に出したの。
2代目は店がどうなってれば幸せだったんだろうね?
3代目
細々とやっていけばそれでいいや、だったの。
身内だけで、細々と、ね。
3代目
そうそう。
おばあちゃんとしては僕にどうして欲しい?家のこと。
3代目
いいの、言って。
いいよ。
3代目
いいよ、言うと淳子(4代目)に怒られる。あなたのいいようにして。
またそんなことを言って……。本心でいいよ。
3代目
ダメだ。また、孫まで束縛することになったらよくない。娘だけでもう終わり。どうしてほしいとかないよ。
そんなお行儀いいようにいって……。
3代目
結婚だけ早くして。ひ孫がみたい。あとはない。あなたがどうするかはその相手の人にも寄るんじゃない。

ここをもし終わらせてしまったときに困る人っているの?
3代目
いないんじゃない?ずっと卸してるところとか注文をもらっているところはあるけれど、今はこの周りにも餅を扱っているところもできたから、そっちで代わりになるでしょう。
うーん。
3代目
うちももともと餅だけじゃなくて華菓子とか桜種とかも出してたけど、それは需要がなくなって終わってしまったからね。これからの餅だって同じかもしれない。
4代目
それであなたはどうしたいの?
どうしようかなー……。
4代目
まだ見えないよね。
3代目
生活していくうちにだんだんと見えてくるんだ。
4代目
流されるがままにやるといいかもね。今そうやって与えられた仕事があるんだから、それを大事にするのが一番じゃない?で、うちの方は必要性があればお声がかかるから(笑)
んー、でもそうやって必要性が出てきてからで間に合うのかなって。
4代目
間に合う間に合う。大丈夫だ。
3代目
その時の時代時代で、生き方変えてけばいいんだ。これを絶対こういうふうにしなければいけない、なんてことはないんだから。
それはそうなんだけどね。
3代目
お餅なくしてもいいんだし。
お餅なくしたらなにを看板にすればいいんだろうね。
3代目
喫茶だけの看板でさ。甘味処になるかもしれない。
4代目
それはもしあなたがやるんだったらあなたが考えればいいよ。それも楽しいんじゃない。あなたは私と違っていろんなところ見てるんだから。海外とかにも住んでたし。京都だって名古屋にだって住んでたんだから。これから先どんなものが流行るのかわかるでしょう。

(つづきます)

第5回 私はどうしたいのか