意外と、いや意外なのかどうかはわからないけれど
わたしはデパートの子供服を着て育った。
もちろん、今のデパートの子供服ではない。
30年くらい前の子供服(女児)売り場を、思い出してほしい。
仕立ての良いプリーツスカートに、リボン。
真っ白なコットンのブラウスの襟に、ケミカルなレース。
上等な生地のトレーナーに、過度な刺繍やアップリケ。
ピカピカエナメルの靴に、お花の飾り。
当時、母と一緒にチョイスした子供服は、子供心にも
なんだか装飾過剰で、はっきりいうと少し野暮ったかった。
でも、他の選択肢があるなんて、思ってもいなかった。
そんな服を着て、ちょっと遠くの学校に通った。
当時の少女は、だいたい12、13歳の頃が
子供服からお姉さんの服に変わるタイミングだったと思う。
その学校の少女たちも、
入学式のブレザーにチェックのスカートや
紺色に白い縁取りのワンピース、
入学にあたって揃えたデパートの子供服から
ひらり、ひらりとお姉さんに変わっていった。
そんな同級生の姿を、
わたしはしばらくぼんやりと見ていたように思う。
わたしが自分で洋服を選ぶようになったのは
だいたいその1年後。
友達と学校帰りの寄り道中に(校則違反です)見つけた
くすんだ桜の色のスカートからだ。
実物はもうないけれど、
当時はやっていた膝上丈の、台形をしたそのスカートは
今でもなにかを決断する時に、ふと、頭に浮かんでくる。