もくじ
第1回おもしろいのか。 2019-02-26-Tue
第2回決める 2019-02-26-Tue
第3回TPOのはなし 2019-02-26-Tue
第4回スカート 2019-02-26-Tue
第5回紺色 2019-02-26-Tue
第6回クリムトのガウン 2019-02-26-Tue
第7回つくる 2019-02-26-Tue

ほぼ日の塾5期生のみきみきです。本名です。
古着とアクセサリーが好きで、いささか派手めです。
普段はコーチングをするコーチという仕事をしています。

わたしの好きなもの</br>装い

わたしの好きなもの
装い

担当・三木未希(みきみき)

第7回 つくる

マダムがおっしゃった。
「それは、あの横尾さん、だからよね‥‥」
あの横尾さん、とは、あの横尾忠則さんのことである。
それ、とは
横尾さんがTwitterでつぶやかれた言葉のことである。

自分で買った洋服なら、いちいち組合せなど考えなくていい。
同根の意識で選んだんだからデタラメに着ても統一性がある。

マダムの言うとおり、あの横尾さんだからこその言葉である。
でもわたしは、このつぶやきがタイムラインに流れてきた時
自分の装い方はこれかと
まるで、お医者さんが不調の原因を突き止めるかのように
横尾さんが、わたしに言葉をくださったと感じたのだ。

わたしには数年来、いや、始まりは20年以上前になる、
ひとつの解決したい課題がある。
学生時代に古着屋で出会った、
ショッキングピンクのレースでできた
古い映画の衣装のような形の小ぶりなワンピースを
どうにかすることである。
ぐずぐずぐずと仕舞ったままにしていたが、
解体して、よし、スカートにしようと決めた。これが2年ほど前。
上半身のレースを継ぎたそうか、どうしようかと
またぐずぐずしていた。

ようやく最近、決めたのである。
季節に1回くらい参加している、
アトリエシムラのワークショップで織った裂を組み合わせて
あのレースでフレアスカートを作るのだ。

「今日織った裂はスカートにする」と皆に宣言したけれど
色や柄を計算して織ることができるほど習熟はしていない。
いつも通り、
ひらめいたまま、糸の、色の声を感じながら織った。
これでたぶん、わたしに似合ういいスカートができるはずだ。
先人の方々の言葉を借りていうと
色が、模様が、
同根の意識で収まるべきところに収まるはずだからである。

織った裂は、まだ機にかかっているはずだ。
あたたかくなる頃には届くだろう。