ほぼ日手帳2016の発売を記念して、
昨年、全国4か所のロフトを巡回した「手帳のことば展」
北陸新幹線が開通し、オープンしたばかりの金沢ロフトで、
写真家の川島小鳥さんと糸井重里が対談をしました。
川島小鳥さんが撮り歩いた
金沢の人や街の写真といっしょに、
「This is my LIFE.」のお話をお楽しみください。

  • 第1回 金沢の街で撮り歩き
  • 第2回 存在感のないカメラマン
  • 第3回 この場で撮ってもらおうよ
  • 第4回 未来ちゃんと日常写真家
  • 第5回 写真の前後に生まれる油断
  • 第6回 怖いけれど続けます

川島 小鳥 (かわしま・ことり)

写真家。1980年東京生まれ。
早稲田大学第一文学部仏文科卒業後、
沼田元氣氏に師事。
2006年、第10回新風舎平間至写真賞大賞受賞。
2007年、写真集『BABY BABY』を発売。
2011年、大ヒット作『未来ちゃん』
第42回講談社出版文化賞写真賞を受賞。
2014年、谷川俊太郎さんの詩と
コラボレーションした『おやすみ神たち』を発売。
そして2014年、3年間で30回、
台湾に通ってつくった写真集『明星』を刊行し、
第40回木村伊兵衛写真賞を受賞。

第1回 金沢の街で撮り歩き

糸井
「ほぼ日手帳」のイベントで、
金沢へ行こうと決まったときにね、
川島小鳥さんに事前に金沢入りしてもらい、
金沢の街の写真を撮ってもらってから、
お話をしようかと提案したんです。
これを聞いて「任しとけ」って思いましたか?
小鳥
あっ、思いました。
糸井
じゃあ、僕がどうして小鳥さんになら
お願いできるかと思ったかというと、
小鳥さんが台湾の街に入っていって、
台湾のふつうの人をたくさん撮った
『明星』っていう写真集がありますよね。
僕はそれを見たときに、川島小鳥という人は、
知らない人の中に入っていって、
その人たちの生活を撮るということについて
相当なテクニックを持っているし、
人と人としてコミュケーションすることが
すごく得意な人なんだなと思ったんです。
それが頭の中にあったので、
「金沢であれをやればいいじゃない」と言ったんです。
小鳥
ああ、そうだったんですね。
糸井
台湾では言葉も通じませんよね。
それなのに、どうしてできると思ったんですか。
小鳥
知らない街に入っていくことは苦手です。
糸井
あ、苦手だったんですか。
小鳥
苦手なんですけど、苦手なことほど、
やりたくなったりするじゃないですか。
人は大好きなんですけど。
糸井
台湾で撮影していた時には言葉も通じないんだけれど、
「写真を撮らせてください」とお願いしたんですよね。
その時には、何語でしゃべるんですか?
小鳥
1年ぐらいは言葉が全然しゃべれなかったので、
ちょっとくらいしゃべれるようになろうと思って、
北京語の塾に3ヶ月間通いました。
糸井
あぁ、3ヶ月も。
小鳥
日常会話くらいは話せるようになって、
日本人がちょっとでも中国語しゃべると、
台湾の人も喜んでくれるんです。
糸井
小鳥さんは、きのう金沢に来て撮影をしたんですよね。
被写体は応募してくださった人たちだから、
嫌だって言う人はいないですよね。
『明星』のときとは大きく違いませんでしたか。
小鳥
それは、そうですね。
でも、そんなに大きな違いはないかもしれないです。
糸井
そうですか。では、金沢で暮らしている人たちが、
どんな表情を見せるかを撮った写真を、
これから見ていこうと思います。
ちなみに、全部で何枚くらい撮ったの?
小鳥
全部で360枚くらいですね。
糸井
1日1枚で、ちょうど1年分くらいですね。
小鳥
あ、「ほぼ日」。
糸井
うん、「ほぼ日」ですね。
観客
(笑)
糸井
こんな写真が手帳にはさまったらいいなぁっていう
気持ちで見てくださったら、楽しいんじゃないかな。
ちょうど「This is my LIFE.」っていう言葉にも
合っていると思ってお見せします。じゃあ、どうぞ。

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    (こどもたち、ステージの脇で盛り上がる)
    糸井
    ちょうど、僕の横にいる子どもたちですね。
    では小鳥さんから背景の説明を。
    小鳥
    まず、「オヨヨ書林」っていう
    古本屋さんが、金沢に2店舗あるんですよ。
    そこの小っちゃいほう(新竪町店)に、
    すごくかわいい猫がいるっていうことで、
    猫を撮りに行ったんです。
    そうしたら、子どもたちがいた‥‥

    っていうのは、嘘で。
    糸井
    嘘か!
    小鳥
    写真のモデルに応募してくれた人たちの中に、
    たまたま、双子の男の子と3つ子の女の子がいて、
    その5人を集めたら、絶対おもしろいんじゃないかと。
    糸井
    この子たちですからねえ。
    小鳥
    「オヨヨ書林」さんで撮らせてもらったんですけど、
    子どもたちの勢いに猫もびっくりしちゃって。
    糸井
    そうだろうねぇ。猫もびっくりするよ。
    小鳥
    猫はずっと窓際に隠れていて、
    それを、「ほぼ日」の細井さんが抱っこして、
    外に連れ出したりしていました。
    糸井
    そう、うちのスタッフが写ってるんですよね(笑)。
    小鳥
    最初は撮らないようにしていたんですけど、
    すごくいい被写体だなぁと思って。
    糸井
    でも、同じふうに見えるこどもたちが、
    2人、3人といるっていう姿は、
    自然に見えますけど、すごく珍しいですよね。
    小鳥
    そうですよね。3つ子さんは初めて見ました。
    (こどもたち、ステージの脇で大騒ぎ)
    糸井
    この子たちの写真を撮るって、かなり大変なことだよね。
    小鳥
    ちょっと、本屋に閉じ込めて(笑)。
    糸井
    この子たちのお父さんかお母さん、
    いま会場にいらっしゃっていますか?
    お母さん
    はい。
    糸井
    ふだんは、この子たちの写真を
    撮っていらっしゃるんですよね。
    お母さん
    撮ります。いつもこんな感じで落ち着きがないです。
    糸井
    この2人と3人は、まるで同じ家にいるみたいですね。
    お母さん
    すごく仲良しになったみたいで。
    糸井
    男の子はまた、特に大変ですよね。
    お母さん
    はい、大変です(笑)。
    糸井
    ふふふ、聞いているとおもしろくて
    この子たちでずっと時間を取られそうなんで、
    ほどほどにしておきましょう。
    さあ、次のスライドに移ります。