糸井 | サンドウィッチマンさんはいま、 個人事務所でやられているんですか。 |
伊達 | 個人事務所というか、 一応後輩が25組ぐらいいるんですけど。 |
糸井 | すごい。 |
伊達 | グレープカンパニーという お笑い芸能事務所ですね。 |
糸井 | 自分たちで設立したんですか。 |
富澤 | そうですね、マネージャーや お世話になっている方などに相談して。 |
糸井 | ということは、 ある程度は自分たちの意思が反映できる。 |
伊達 | まあ、そうですね。 |
糸井 | いいですね、そういう立場は。 乱暴なことを考えても、 自分たちでやるからって言えるじゃないですか。 |
伊達 | そうですね。 そこは事務所のマネージャー含め 社長もわかってくれてるんで、 自分たちで決めるかわりに、 ぼくらはそれを一所懸命やろうと。 |
糸井 | 東北での活動に関しては、 やっぱり番組を通しての形が多いんでしょうか。 |
伊達 | ええ、番組ですね。 あとは義援金口座は、いまも開設してるので。 |
糸井 | すごくたくさんのお金が集まったそうで。 |
伊達 | はい。4億円近く。 |
糸井 | そういう単位なんですか。 すごいですね。 |
伊達 | ぼくらなりに各県に配分を考えて、 お渡ししています。 いまは震災孤児とか震災遺児の子どもたちに 使ってもらおうと。 各県に直接お届けするというのが約束なんです。 |
糸井 | ああ、いいですね。 |
伊達 | 行って、お会いして、手でお渡しする。 |
糸井 | お金は大事ですよね。 |
伊達 | はい。 気仙沼の安波山に避難したあの日、 ひとりのおばあちゃんが 「財布も通帳もぜんぶおきっぱなしだ」 って言ってたんです。 そうか‥‥この人たちはぜんぶ流されたんだ‥‥。 そういう人はたくさんいるんだろうな、と。 だから、お金がすべてじゃないけど、 それが役に立つこともきっとあるはずだ、と。 |
糸井 | そうだと思います。 すごいですよ。 サンドウィッチマンだからできることです。 ぼくらにはできないかたちの応援ですから、 ほんとにすごいと思います。 |
伊達 | いや‥‥ありがとうございます。 でも、ぼくたちふたりというより、 やっぱり番組のスタッフとか、 多くの協力でできていることなので。 |
糸井 | なるほど‥‥。 ぼくらも思うんですけど、 「仕事」っていうことで行けたのは、 よかったなぁと。 |
伊達 | はい。それはぼくらも感じてます。 |
糸井 | 仕事にかこつけてね(笑)。 |
富澤 | かこつけて(笑)。 |
伊達 | 役に立ちたいんだけど、 なにができるのかもわからないし、 行きづらいっていう人は、 確かにいらっしゃいますからね。 |
糸井 | 自分だけの心の判断で、 「行こうかどうしようか」と 立ったり座ったりしてると、 やっぱり行動するのが難しいんだと思います。 |
伊達 | むずかしいですね。行きづらい。 |
糸井 | 行きづらいのはふつうのことだし、 誰からも責められることじゃないんです。 スッと行ける日がきたら行けばいいんだから。 |
伊達 | ええ、ええ。 |
糸井 | サンドウィッチマンさんに番組があったように、 ぼくには「ほぼ日のコンテンツにする」 という気持ちがありました。 だからたまたますぐに行くことができた。 いまでも気仙沼でなにかをするときには、 「開発の練習になる」 という言い方をしています。 「何もないところから 仕事をつくることの練習になる」と。 これもやっぱり、 仕事にかこつけた言い方なんです。 でも実際にね、ほんとうにそうなんですよ。 仕事の練習になったし、鍛えられました。 たとえば、最初の「気仙沼さんま寄席」。 |
伊達 | ああー、はい。 |
糸井 | 震災後、まだ1年のころのイベントです。 そこで「これは慰問ではありません」って言うのは、 正直こわくもありました。 「日本中から気仙沼にお客さんを呼んで お金をつかってもらいましょう」 という催しが、ほんとうにできるのか。 |
伊達 | それもまた発想がすごい。 |
糸井 | いちばんのキーは、 立川志の輔さんが引き受けてくれるかどうかでした。 志の輔さんの落語じゃないとだめなんです。 志の輔さんの噺なら、 遠くからでもお客さんは来てくれます。 |
伊達 | 行きます。ぼく大ファンなんです。 |
糸井 | いいですよね、志の輔さん。 |
伊達 | 最高です。 |
糸井 | で、その志の輔さんが、 「よくぞ私に声を掛けてくださいました」 と出演を引き受けてくれた。 しびれました、格好良かったです。 |
伊達 | すごい。 |
糸井 | そして本番。 稀代の名演でした。 あれは、ほんとにすごかったです。 |
伊達 | うわぁ‥‥ぼく、師匠のDVD、 集めているんです。 |
糸井 | パルコのやつとか。 |
伊達 | はい、大好きで。 |
糸井 | すばらしかったですよ、 気仙沼での噺も、ほんとうに。 |
伊達 | 観たかったなぁ‥‥。 |
糸井 | 2013年の秋にも、 「第2回気仙沼さんま寄席」を開催しました。 2回目ですからラクになりそうなものですけど、 公演の数を増やしたんです。 ワークショップもやったし、朝市もあって‥‥。 鍛えられたし、できることも増えたと思います。 だから、やっぱり開発なんですよ。 勉強になってますよね。 肉体的にはヘトヘトになるんですけど。 |
伊達 | そうでしょうねぇ。 いやぁ、すごいお話が聞けてうれしいです。 |
糸井 | ‥‥‥‥。 ゲストで来てもらってるのに、 ずっとぼくがしゃべってる(笑)。 |
伊達 | いや、もうきょうは 糸井さんの話を聞きたくて来たんで。 |
糸井 | すみません、おふたりに取材をさせてますよね。 |
富澤 | じゃあ、これを載せる日は 「ほぼ日刊サンドウィッチマン新聞」 にしといてください。 |
一同 | (笑) (最終回につづきます) |
2014-03-19-WED |
伊達みきお(だて みきお)さんと、
富澤たけし(とみざわ たけし)さんによるお笑いコンビ。
ふたりとも、1974年生まれで宮城県仙台市出身です。
1998年にコンビ結成。
2005年、『エンタの神様』へ初出演。
2007年、『M-1グランプリ』の王者に輝き、
一躍人気者に。
宮城県仙台市の出身で、東北との関わりは深く、
現在は下記の役職をつとめています。
・みなと気仙沼大使
・みやぎ絆大使
・東北楽天ゴールデンイーグルス応援大使
・ベガルタ仙台仙台市民後援会名誉会員
・喜久福親善大使
・宮城ラグビー親善大使
・松島町観光親善大使
サンドイッチマンのテレビ出演情報などは、
おふたりの事務所、
「グレープカンパニー」のサイトでご確認を!
伊達みきおさんのブログ
「もういいぜ!」
富澤たけしさんのブログ
「名前だけでも覚えて帰ってください」