陶器作家の鹿児島睦さんによる、 |
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「ほぼ日」さんから扇子デザインのご依頼をいただいて、
どんなものにしたらいいだろうと考えまして‥‥
夏に使うものですから
やっぱり涼しい感じがいいと思いました。
涼しい感じというと、
私の中では金属のイメージだったんです。
銀箔っぽい質感。
触るとひんやりしているような肌触り。
扇子自体も、クールでシャープで美しい物体ですよね。
ですからまず、
質感としては金属のようなシャープな感じにしたいと。
それと、私にご依頼してくださるということは、
やはりこう、
ちょっとおもしろおかしくてかわいい感じを
期待してくださっているのかなぁと思いました。
クールでシャープな質感に
おもしろくてかわいい感じを合わせたら、
ミスマッチでおもしろいかもしれない。
その発想が、この扇子のスタートです。
このクマたちは、切り絵です。
私は紙を切るのが好きで、切り絵はよく使う手法なんですが
今回のクマは‥‥
ほら、折り紙でつくる、手をつないだ人形がありますよね。
折り紙をたたんで切って、ぱたぱたと開くと、
つながった人形があらわれる。
あれのイメージなんです。
扇子も、たたまれた紙ですから、
それをぱたぱたと開いたら
手をつないだクマがあらわれる
っていうのは、なんだかたのしいなぁ、と。
この扇子がどういうお洋服に合うかについては、
実はあまりイメージがないんです。
私は、器の場合でもそうなんですが、
使う方が自由に使ってくださればいいと思っているので
「このお皿は何をのせたらいいですか?」
という質問にお答えするのが
いつもとてもむずかしいんです。
申しわけないくらい、お答えできなくて。
「いかようにでもお使いください」と思うんですよ。
とはいえ、そうですね、たとえば‥‥
おじいちゃんがこの扇子を使っていたり、
かっこいい男の方がスーツからスッと出されても
お茶目でかわいいんじゃないかと思います。
あとは、夏祭りで、
浴衣を着てお出かけの方が
ちょっと持ってくださったりしたら、うれしいですねぇ。
良い意味でおもっちゃっぽいかわいさがある
扇子だと思いますので、
いろいろな方にたのしく使っていただきたいです。