ことしのメンズウェアの流れには、
すこし大きい柄のネクタイをしめて、
きちんとジャケットを着て、
ちょっとだけクラシックなシャツを着る、
というトレンドが戻ってきているそう。
このシャツはコットン100%のオックスフォードですから、
そこまでクラシカルなものではないのですけれど、
その気分をちょっとだけ加味した
「かっこいい」デザインになっています。
ラウンドカラーは、比較的昔からある定番のトラッド。
アメリカン・トラッドの好きな人には
きっと、ぐっとくる衿のかたちだと思います。
‥‥なのですが、このごろあんまり見かけませんよね。
そこでことしの「白いシャツをめぐる旅。」では、
この衿型でシャツをつくってみよう、
ということになったのでした。
ドレスでしか使われてこなかった衿型ゆえに、
ネクタイをするとその印象がより強調されるのですが、
カジュアルに、洗いざらしの、ノーネクタイで着ることで、
「いつものシャツ」なのに「おしゃれなシャツ」という
かろやかな印象が出てきます。
「衿を開いて着るカジュアルとして、
ありそうでなかった提案」です。
そしてこのシャツ、なにしろ素材がいいんです。
毛羽立ちが少なく、すべすべしていて、
ほどよい光沢と弾力があり、
「白さ」が上品なコットンは、
エジプトのギザ88という稀少な超長綿を
大分で紡績にかけ、浜松で生地にしたものです。
遠州織物の伝統をもち、
高級シャツ生地の産地として名高い浜松。
そこに工場をもつフジボウさんにお願いして、
今回のシャツのための生地をつくっていただきました。
いろんなひみつがあるんですけれど、たとえば糸。
「精紡交撚糸」(せいぼうこうねんし)といって、
完全な糸になる一歩手前の状態で、
2本の粗糸を撚り合わせて1本の糸にする方法で、
より均一でむらのない、光沢のある糸をつくります。
その段階ですでに毛羽は少ないのですけれど、
さらに織った段階で「毛焼き」をおこない、
よりちくちく感をおさえています。
さらに、織ってから晒す「後晒し」という工程で、
より白度の高い、高級感のある生地をつくります。
通常は生地をより白くするために
「白で染める」ことをすることがあるのですが、
この生地は晒しの工程をしっかりすることで、
蛍光増白剤の使用は少なめになっています。
そのため、真っ白、というよりは、
ほんのりオフホワイトな仕上がりです。
そして「シルケット加工」。
収穫されたときはふわふわだったコットンボールが、
船で運ばれるときに、かちんこちんのぎゅうぎゅう詰めに。
そこから糸をつくり、布にしてゆく工程のなかで、
押しつぶされてしまっていた綿を、
いかに「リラックスさせていくか」に心をくだくフジボウ。
シルケット加工では、苛性ソーダ溶液に浸し、綿を膨張させ、
ほんらいの膨らみを取り戻した状態にもどします。
そのときシルクのような光沢がうまれるので
「シルケット加工」と呼ばれているんですね。
さらに「ダウンプルーフ加工」といって、
金属の大きな円柱に生地を巻いて、
圧力をかけて目をつぶします。
いったんリラックスさせたのにまた圧力を?
と思いますが、
こうすることで生地が平準になり、
やわらさかとともに、より光沢が出るんです。
すこし専門的な話になりましたが、
「うまれもそだちもいい」綿でつくったシャツ。
着ごこちも、ばつぐんです。
綿 100%
1〜3営業日以内出荷
男性モデル:田口トモロヲ(身長 165cm)
メンズラウンドカラーシャツ(41サイズ)
シューズ ¥54,000(税込)(サンダース/グラストンベリーショールーム)
女性モデル:藤田陽子(身長 161cm)
メンズラウンドカラーシャツ(39サイズ)
スカート ¥29,160(税込)(オネット/グラストンベリーショールーム)
バングル ¥12,960(税込)(STUDEBAKER/グラストンベリーショールーム)
シューズ ¥63,720(税込)(Wanna Maria Fiori/グラストンベリーショールーム)
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