MM 「MAYA
MAXXは、
二重まぶたにしたことを思い出したよ。
あの、なんかあったじゃん。
二重まぶたにするの。
あんなの、昔買ったよなって思い出した。
‥‥結局、二重まぶたにした自分って、
自分しか見てないのに、
やっぱりね、変なんですよ。
自分から見ても変なんだよな。
でも、あれ、なんであんなことしたんですかね。
‥‥その二重になった自分って、
すごい疲れてるんだよね」
ソブエ「うんうん、
僕も二重になりたかったよ〜」
MM 「‥‥ソブエさん、今、なってるよ」
ソブエ「‥‥ぼくはその頃、まぶたの筋肉に力いれて
二重まぶたになる練習してたんだ。
でも、今では体が疲れてくると勝手に
二重になっちゃうようになっちゃって…。
まぶたに力を入れなくても…」
MM 「MAYA MAXXは、
二重になった自分が疲れて見えたんだよね。
‥‥ソブエさんの言ってるのは、疲れると二重」
ソブエ「あぁ‥‥」
MM 「‥‥ちょっと違うよね」
ソブエ「‥‥うん。
でも、なんかね、
自分を良くしようという気持ちは、
きっと大事かもね」
MM 「そう、大事!」
イトイ「そう、そのプロセスがないと、
着る服がないから、選べないですよね」
ソブエ「そうですよね〜」
MM 「あと、やっぱり、
悲しさがちょっと理解できないかも知れない。
いろんなね」
イトイ「‥‥あとね、それを早くおさめちゃうっていうの、
俺、嫌いなんですよ」
ソブエ「??」
イトイ「つまり、俺の年齢で、
その職業の人の服装とか、買う車とか、
それが、そのジャンルあるよね、って世界に、
あの、一員になっちゃうっていうのは…」
MM 「わかる、わかる」
イトイ「あの、ソブエさんは、
絶対になんないじゃないですか。
俺も、なりそうでなんない人なのよ」
ソブエ「‥‥ぼくは、なりそうでなれない人‥‥かも」
イトイ「こないだ男性カジュアルの
セレクトショップの服を着るっていう
仕事があったんですよ。
そうすると、当然、麻のベージュの
ニットかなんか着て、…ね?
下は、ちょっとおしゃれなチノパン着て。
あのー、あれですよ、
スリッポンの素足で履く靴があって。
全部いいんですよ…」
ソブエ「ふんふん」
イトイ「‥‥で、俺じゃないよ、って思うわけ。
何でそこに行かなかったか、っていうと、その、
グループで動いてるわけじゃないんだからなのさ」
MM 「でも、ほんっとにそれはありますよ」
イトイ「あるよね」
MM 「もとは、みんなバラバラなのに、
あるところからね。‥‥もうヤバイよね」
イトイ「そうそうそうそう」
MM 「今は、だいぶなくなってきてるけども、
一時すごいあったでしょう?
‥‥あれ、何でしょうね」
イトイ「‥‥ね。で、僕らが若いときだと、
年齢が年齢なんで、アイビーなんですよ」
MM 「あー、そうだそうだ」
イトイ「で、みんなアイビーにおさまるんですよ。
で、それさえ着てれば、
いちおう後ろ指刺されない、‥‥みたいな。
で、その後ね、ヒッピーが入ったの。
あれが助けてくれたの。
こう、間抜けな絞り染めとかさ」
MM 「ベルボトムね」
イトイ「ベルボトムで。
で、自分の価値がさ、
アイビーがあって、ヒッピーがあってって、
‥‥無理じゃん。
そこで、自分で考えざるを得なくなるんです」
ソブエ「ふんふん」
イトイ「そこでだんだんと、何でもないものが自分の中に
こう、決まってくんですよ。
‥‥で、あの、ベージュのコットンセーター
みたいな世界には、やっぱり行かない。
ベージュが敵だね! 俺には」
MM 「ベージュ、嫌い嫌い嫌い」
イトイ「‥‥ねぇ。
あれはまた、似合う人は似合うんだ(笑)。
ぜんぜん批判はしない。
だけど、自分じゃないって思う(笑)」
MM 「MAYA MAXXも、
ベージュはとりあえず見ないですよね。
ぜんぜんね。
茶色も見ないな、やっぱり。うん」
イトイ「…茶色は見ちゃうな」
MM 「個人事務所やってらしても、
社員がすごく多くなって代表取締役として、
なんか偉くなってくると、
…ああなってきますよね」
イトイ「ベージュにいきますよね」
MM 「おばちゃんの服屋ってあるでしょ?まだ。
ぜんぶ柄柄のやつ。
まだ、成城学園のあたりにはいっぱいあるんですよ。
あれって、いつまでやるんだろう?
って思うんですよ。
‥‥イトイさん世代が60ぐらいになったときに、
あの服屋、行かないですよね。
っていうことは、そのとき我々は何を着るんだろう、
そして、老人会で集まったときに、何を歌うのか。
‥‥サザンオールスターズ? やっぱり?
とか、思うわけですよ。
これからって、何も決まってないですよね?」
イトイ「それについては、この前、
ちょっと考えたことがあってね。
『ふざけたふりをしてやったこと』が
安定してくんです!
‥‥こういうことです、
例えば僕が、カラオケで、
今のグループサウンズだとか歌うっていうのは、
最初はふざけて歌うんです。
で、『みんな知らないかもしれねぇけどよ、
俺たちゃ、こういうのに夢中になってた
時代があって、笑って下さい』って歌うんですよ。
…それが、
『笑って下さい抜き』になってくんですよ。
で、自然と、演歌だとか、グループサウンズだとか、
平気でそれが自分のために歌えるようになる。
‥‥だから、さっきのスロープとおんなじ」
ソブエ「テツandトモの『♪なんでだろう〜♪』も、
そうですよね」
イトイ「そうでしょう!?
『冗談なんだ』ってふりをしてることによって。
‥‥あのさ、小さいころさ、女の子好きになってさ、
好きなフリとかのつもりでいて、
それって、ホントウになるじゃないですか」
ソブエ「あ、なりますねぇ。
『なんか、好き・か・も・知れない』と思うと、
本当に好きになっちゃうようなもんですよね」
イトイ「『好きかもしれない』は、もう好きなの。
だから、本当は
『冗談めかしてること』って、なんかね、
未来なんですよ!」
ソブエ「ステキ!」
MM 「‥‥イトイさん、60になったら、
何を着るんだろ?」
ソブエ「‥‥まさか冗談でしょ? って服だよね。
きっと」
---了---
MM+ソブエ
「糸井さん、どうもありがとうございました!」 |