Drama
沼澤さんとタカタカタカ。
あのドラマーと練習気分のフリー対談。
『Beautiful Songs』のあのドラムが、この人です。
ぼくは、沼澤さんの本の帯に、こう書きました。

手をつなぐだけで満足なの、というような恋は、
手をつなぐだけなのに、手をつなぐだけなのに、
宇宙の果てまでぶっ飛ばしてくれるような恋だ。
あのドラミングというのは、そういう恋なのだろう。

いつの間にかメールのやりとりがはじまって、
そのうち会いましょうという約束がほんとになって、
なんの打ち合わせもせずに、テープを回しました。

なお、沼澤さんライブ情報(2001年4月〜)は、こちら。

沼澤さんからのメール


「沼澤さんとタカタカタカ」の
ご愛読、ほんとうにありがとうございます。
たくさんの感想メールが到着していて、
それを沼澤さんにお届けしたところ、
返信をいただきました! きゅーきょ掲載です。

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皆さん、こんにちは。ドラムの沼澤尚です。
この度僭越ながら、
糸井さんとほぼ日スタッフの多大なるご配慮のおかげで
「ほぼ日」に登場するという
本当に幸運な機会を頂きました。
ありがとうございました。

普段インターネットを見る時間など
まず見つけようともしなかった自分ですが、
その自分でさえも毎日「今日のダーリン」だけでも
最低は目を通すというのが日課になってしまっています。

今回はこの場を借りて
どうしても皆さんに御礼が言いたくて、
ほぼ日のスタッフにお願いして
再度の登場をさせてもらいました。

皆さんから送られたメール、
すべて受け取って大事に保存してあります。
それはそれは暖かいメールの数々、
本当にありがとうございました。
心から感謝の気持ちでいっぱいです。
こんなにみんな真剣に読んでくれて、
そして何かを感じてくれていたのかということが
分かっただけでも大感激なのに、
そのひとつひとつが
とてもシンプルに直接僕の心に響いてきました。

自分のしていることもまんざらではないのかなぁ、と。
その反面責任重大だなぁ、とも。

もっとガンバラなきゃ、というか、
こんな応援してくれる人達がいるなら、
そのおかげで、もっともっと頑張れるなぁ、と。
僕の目指している事が、
何人かの人には確実に伝わっているのが
改めてはっきり分かりましたから。
こんな嬉しい事は無いです、はっきり言って。

皆さんの中には自分がいつから聴き始めたとか、
ファン歴が浅いとかと言う事を
気にしている方もいらっしゃるようですが、
そんな事まったく関係無いです。

大切なのはその「気持ちと姿勢」だと思いますので。

僕が世に出てきた頃から聴いていて
未だに興味をもってくれている奇特な方でも、
まだ見た事も聴いたこともない方でも。

我々人間は常に流行廃り、趣味志向の変化、
気持ちの変化などと言う事を認識しつつ、
その時その時に自分の心に耳を傾けて
日々暮らしているのだと思います。

ですからこの一週間だけでも
「〜タカタカタカ」に興味を持ってもらえて
本当に嬉しいです。

そしてこんな機会を作ってくれた
糸井さん、福嶋さん、木村くん、西本くん、
他のほぼ日のスタッフの皆さん、
本当にありがとうございました。
またお邪魔することもあるかと思いますが、
その時はよろしくお願いします。

あ、そうだ、クリスマス・イヴでしたっけ。
カホーン持って必ず参上しますので。

また山崎くんに
「カホーン持って、明日はどこへ。」
って言われるのかなぁ。

ではまた。

沼澤 尚
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とゆうわけで、クリスマスイブの夜には、
なんと、沼澤さんが「ほぼ日」に登場か?!
みなさん、ひそかに、たのしみにしていてね。
とゆーか、俺らほぼ日スタッフが、楽しみだよお!

・・・では、プレゼント当選者の発表です。

【スティック】
※以下のお名前は削除いたしました。

【サングラス】
※以下のお名前は削除いたしました。

【Tシャツ】
※以下のお名前は削除いたしました。

【サインつき写真】
※以下のお名前は削除いたしました。


おめでとうございました。

2000-12-19-TUE

「沼澤さんとタカタカタカ」の
ご愛読を、ありがとうございます。
ほんとーに、大好評で、たくさんの
メールもいただき、とても嬉しいです。



じゃーん。
今日は、そんな沼澤尚さんから
「ほぼ日」読者へプレゼントをいただきました。

1・沼澤さんモデルのスティック(イベントで作ったそうです)
2・写真集でつけていたけど、壊れてしまったサングラス。
3・Tシャツ(2名のかた)
4・サインつき写真(8名のかた)

これなのだ。
ぜひぜひ、応募くださいませっ。
もう、書いてる俺(ほぼ日・木村)が申し込みたいよ。

どれに当たるかは、お楽しみ、なのですが、
プレゼントご希望のかたは、
book@1101.com
こちら宛てに、メールで、
住所・氏名・電話番号を明記して、
お送りくださいませ。お待ちしています。


応募は締め切りました!

第1回 井上陽水という、ほんとはいい人。

第2回 こういうおとなになれたらいいな。

第3回 ともだちと組むことについて。

第4回 勉強すればいいだけのものって、面白い?

第5回 相手が本当に吸収してくれると、うれしい

第6回 沼澤さん、素直だったんでしょうね。

第7回 ぼくは「誰にでも伝えたい」のかな?

第8回 ひとに伝えたい理由(補足版)。

第9回 あの人の背中のために、叩きたい。


沼澤尚さんとdarlingの対談は、
今日で、ひとまず最終回になります。
ご愛読を、どうもありがとうございます。

今回は、カタい言い方で述べるなら、
「なぜ、沼澤さんがタカタカ叩きつづけるのか?」
「なぜ、darlingがぱたぱたと書きつづけるのか?」
そのへんの微妙な間合いについてふたりで話しています。
何回か読み直したとしても楽しめる内容だと思うので、
ぜひ、「しめ」の今回を、読んでくださいませ。

おっと。対談を読んでのメールがたくさんあるので、
そのうちの一部を、対談本文前にご紹介しますね。

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>毎日わくわくしながら読んでいます。
>この対談をよんでいるとやっぱり人に対する思いやりが
>深い人なんだなぁということがすごく伝わってきます。
>ライブでいつもあんなに笑顔いっぱいで
>グルーブ感のある音が出せるのは才能はもちろんですが、
>やっぱり「優しい気持ち」があるからこそなんですね。
>音楽雑誌ではなかなか見られない素敵な対談で嬉しいです。
>MARU

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>タカさんのライブに行くたびに、
>気持ちが暖かくうれしくなり、
>自分が好きになってきて、
>明日からまたがんばろうって思えるのです。
>素直になれるのでしょうね。
>
>タカさんのライブで知り合った人と
>次のライブに行ったり、
>いろいろなことをはなしたりするようにもなり
>(こんなことは今までの自分では考えられないのです)
>人と分かりあおうとして話をすることの大切さとか
>よろこびとかに目覚めてきた気がするのです。
>もっと言葉を大事にして、
>気持ちを研ぎ澄まして生きたいなと思います。
>
>YOSHI

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>「沼澤さんとタカタカタカ。」
>毎日楽しく読ませていただいています。
>
>もちろん、沼澤さんの音楽が大好きなのですが、
>沼澤さんの言葉も以前からとても好きで。
>
>沼澤さんの話を聴いて、自分の在り方に気付いて
>心の痛いときもありますが、それが嬉しかったりもします。
>
>ライブやCDでいつも感じられる、
>ほっぺたの筋肉がつっちゃうんじゃないかと思う程の
>楽しさ、嬉しさ、気持ちよさ。
>そして何にも代えられない、幸せな気持ち。
>そんな思いをくれる音楽と
>同じ所から生まれて来ている言葉達に
>毎日新しく出会うことが出来るなんて・・・
>これからも、言葉に限らず、
>たくさんの嬉しい出会いを、
>あなた達としていけますように。
>
>ぐら

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沼澤さんを好きだ、というかたたちの
メールには、ベースに、かわいさというか
優しさのようなものを感じられるものが、
とても多かったように思います。

どうもありがとうございました。
では、最終回の対談をどうぞっ。
(とは言え、明日は、沼澤さんからの
 素敵なプレゼントがありますよーっ)


糸井 沼澤さんって、いつもドラムに座って
全員を見ている位置にいて・・・野球で言えば、
キャッチャーみたいなもんだね。古田のような。
沼澤 うしろのほうから背中を見ている、
という感じですけど、これをやっていて
いちばん面白いことって、その時々に、
「誰のために演奏しているのか?」
というのがぼくの中に明確にあるところです。
「それは奥田民生の背中なのか?
 それとも他の誰の背中のためなのか?」とか。
糸井 やっぱり、それは意識するんだ?
沼澤 めちゃくちゃ、意識しますよ。
糸井 だから、気持ちがいいんだろうねえ。
「俺とお前」というんじゃなくて、
「お前の俺」というか・・・。
沼澤 そうそうっ。
糸井 「沼澤さんのことを書いてください」
と言われてぼくが思いつくのって、
そのあたりのニュアンスですもん。
「誰かのために」というところで、
ほとんど「無私」のドラムというか・・・。

敢えて誰のためにという言い方をしなければ、
「音楽そのもののため」に捧げているというか、
「アンサンブルのため」に捧げているというか。
沼澤 そうそう。
それはちょうど、ぼくがステージで、
できたらいいな、といつも思ってることです。
糸井 ぼくも実は、文章を書いていて、
そういうことを思っているんです。
何にしても、俺が書いたということも飛び超えて、
誰に通じるのかということさえも飛び超えて、
読んだ人とぼくの「あいだ」に捧げてるというか。

だから、例えば、ある時に
「あなたに通じる」ものごとがあったとしても、
「あなたに届ける」とか「あなたに捧げる」という
そういうことをぼくはしたいんじゃなくて、
たぶん、俺がいちばん好きなことは、
あなたと私の「あいだ」にある場なんだろうなあ。

そこの場所を観ながら、
「おっ。俺の文章があそこに飛んでる」
とか思うと、自分の文章に対してでさえ、
自分でそれのファンになっちゃえますもん。
それは「自分の文章力がすごいぜ」と
自慢のように感じるのとは、ちょっと違うんです。
だってその「あいだ」というのは、
あくまで、誰かに届いたその感触が
ぼくのところにかえってきたから
作られたわけで・・・。だからぼくは、
平気で自分の文章をほめられるんですよ。
その「あいだ」は、全然「俺」ではなくて、
まったく違う奴のことですから。
沼澤 文章が素晴らしいのは、
読んだ人がいてくれたおかげ、
ということが、はっきりしていますからね。
糸井 音楽も、相当似てますよね。
欲しいのは「自分の力」じゃないでしょ?
沼澤 はい。ぜんぜん違います。
奥田民生の歌とギターがあるから、
その時のぼくの居場所があると思いますから。
ただ、そのうしろに座るのが、
誰でもいいとは、まったく思わない。
「これ、今の瞬間は俺じゃないとなあ」
と、まあその時には「宇宙一だ」ぐらいに思って。
もちろん、そこにその人の音楽があるおかげ、
というのが、何よりも大前提になっているけど、
「この人の世界を見てほしい」
と紹介したい気持ちがめちゃめちゃあって、
そういうところで、
ぼくのいる意味とか楽しさがあると思います。
糸井 きっと、
「彼の背中は、嬉しいんだろうなあ」
ということさえも、後ろから見れば分かるよね?
「世界一のこの俺」からは、ねえ。
沼澤 世界一って、ある瞬間だけですけどね。
糸井 うん、すごくわかるよ。
「その瞬間の世界一の俺」って、
やっぱり、もう既に「俺」じゃないもん。
それはもう、別の誰かなんですよね。
沼澤 「彼の音楽があるおかげでいる、俺」で。
糸井 そうそう。

コンサートを見ていると、
何人かの間にできていく
彫刻を見ているような気分があって、
いいチームだと、その彫刻の
時間ごとに移り変わっていく感じが、
ほんとうにかっこいいですよね。
ワンマンバンドの彫刻は、
それはそれで面白い形にはなるけど、
ひとつの形だけだからすぐ飽きちゃうし。
沼澤 うまいへただとかいうことさえも
目立たないままで、いい時間が過ぎるのが、
ぼくはいちばんすごいものだと思います。
だから、「うまい」と言われるよりも、
「何か分からないけど、すごくよかった」
と言われるほうが、全然嬉しいんです。
その音楽の中にいられたということが、
すごい、というようなものが最高で。
糸井 「俺も、そこにいたんだよ!」
って、言いたくなるよね、そういう時って。
沼澤 「やっぱ俺がいるとさあ、ねぇ?」とか
「今日良いのは、俺のドラムだったかな?」
ぐらいは、思います。
糸井 「もっと聴いて」とかさあ、思うでしょ?
沼澤 自分を主張するのとは別のところで、
そんな風には、確かに思いますよ〜っ。

だって、そういうのがないと、
人と一緒に音楽をやっていても、
何にも面白くないじゃないですか。
だからぼくは、そうやって思える
アーティストの後ろにいたいですし。
糸井 そう思える人って、たくさんいますか?
沼澤 いますね〜。
糸井 それはすごく素敵なことだと思う。
沼澤 スガシカオの後ろも楽しくてしょうがないし、
山崎を見てても楽しいし、
みんなの背中を見て、その人たちが
自分のに乗って歌を歌っているというのは・・・。
「ここの席、みんなうらやましいんじゃない?」
とか思うんです。
糸井 そりゃー、うらやましいですよ。
つまり、いちばんいい野球の試合がある時に、
選手として打っているわけでしょう?
沼澤 はい(笑)。
糸井 観客席にいるのは、きっと、
「2番目以下に楽しい」
という程度なんだろうな〜っ。
沼澤 まあ内容にもよりますけども。
・・・自分が「はてな?」と思って叩いても、
観ている人には、すごいよく感じられたりとか、
そういうのも、面白いです。
糸井 ライブは、
お客が作ってくれるところもあるからね。
やっぱり、お客さんの耳がよくなければ、
喋ったことでも何でも、それがぜんぶ、
どこかに飛んでいっちゃうわけで・・・。
だから、たぶん、大事になるのは、
耳なんじゃないかなあという気がする。
沼澤 それは、ぼくたちのしてることでも、一緒ですよ。
糸井 ですよね?
耳をすましているから聴こえるというか。
ヨガって、「はく」息が先なんですよ。
息をはき出してしまうと、自然に吸いこめる。
それとおんなじで、
「消費」だとか「使う」だとか「受ける」とか、
そっちが先にあるから、そこに向かって
まるで吸いこまれるように打ち出せるというか、
そんな気がします。

それでも、沼澤さんが叩く時っていうのは
その時々で、お客の耳がカタい時とか、
いろいろと偶然が絡むから、怖いだろうなあ。
沼澤 だから、肩すかしを食らう時もあったり、
「あれ?こないだはこれで『来た』じゃん?
 今日は、その時とは、違っているの?」
みたいに感じる時も、ありますよね。
そういうのって、場によって違っていて、
その感覚が今もまだよく分からないから、
だからぼくだって、こういうことを
毎日やっているんだと思います。


(※対談は、ここでおしまいにします。
  沼澤さんのまたの登場を楽しみにしていてね
  明日の沼澤さんからのかっこいいプレゼントも、
  心待ちにしていてくださいませ)


沼澤尚さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「沼澤尚さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2000-12-12-TUE

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