「ほぼ日の健康手帳」が ニンテンドーDSi用のソフトになりました。  自分の健康について 考える道具。 岩田聡(任天堂社長)×本田美和子(医師)×糸井重里
お医者さんの本田美和子さんといっしょにつくった
「Dear DoctorS ほぼ日の健康手帳」が
ニンテンドーDSiウェアになりました。
「健康手帳」のコンセプトはそのままに、
ゲーム機に慣れ親しんでないひとにも使いやすく、
(もちろんDSiならではの工夫を凝らして)
しかも無料でダウンロードできるソフトです。

ダウンロード開始の日を前に、
任天堂の岩田聡社長、
監修者の本田美和子さん、
そして、糸井重里が、
それぞれの思いを語り合いました。
そこで見えてきたものは‥‥
全8回でお送りします。

岩田聡さんプロフィールはこちら 本田美和子さんプロフィールはこちら
ニンテンドーDSi用ソフト「ほぼ日の健康手帳」 4月21日(水)より無料ダウンロード開始!
「ニンテンドーDSiウェア」ってなに? というかたはこちらへ  ほぼ日手帳にはさんで使える冊子版 「Dear DoctorS ほぼ日の健康手帳 2010」はこちらへ
「持ち歩く」というキーワード。 2010-04-16
意識とからだのコミュニケーション。 2010-04-19
ある日突然。<岩田聡さんの場合> 2010-04-20
これ、みんながやるのか。<糸井重里の場合> 2010-04-21
気づいてなかったけど。<本田美和子さんの場合> 2010-04-22
理解してもらえるものにする。 2010-04-23
健康って、なんだろう。 2010-04-26
ゲーム機と社会の新しい関係。 2010-04-27

糸井 本田さん、岩田さんとは
はじめてですよね。
本田 ええ、はじめてです。
岩田 はじめまして、岩田と申します。
本田 本田と申します。
お目にかかるのをたのしみにしていました。
よろしくお願いいたします。
岩田 こちらこそ、よろしくお願いします。
糸井 それでは。
‥‥えー、本日は、お集まりいただきまして。
岩田 ご挨拶だ(笑)。
めずらしいですね。
糸井 いやいや、ついに公式スタートですからね。
きょうは、このDSiウェア版「ほぼ日の健康手帳」の
テープカットみたいな日です。
本田 はい(笑)。
糸井 このプロジェクトについては
ここではじめてお伝えすることになるので、
まずは、その経緯から話していきましょうか。
岩田 はい。
糸井 経緯といってもはじまりは簡単な話で、
あれはもう、一昨年のことになるのかな。
「いま『ほぼ日の健康手帳』というものを
 つくっているんだけど、
 岩田さんがこれを世の中に広めるとしたら、
 どんな方法があると思う?」って、
ぼくが岩田さんに相談したんですよね。
岩田 ええ。
糸井 純粋に第三者として相談したんですよ。
ぼくらの「健康手帳」も
岩田さんたちの「ニンテンドーDSi」も、
まだどちらも世の中に出ていなかった頃で。
本田 そうでしたか。
糸井 岩田さんとぼくは、
もう、ずいぶん長いつき合いなんですが、
岩田さんって、あらゆる問題を
その場で「当事者として」考えてくれる人なので、
会うと、ぼくは、いろんなことについて
「どう思う?」って相談しちゃうんですよ。
「健康手帳」についてもそうでした。
あのとき、すぐにニンテンドーDSiと
つながったわけじゃなかったですよね。
岩田 ええ、違いますね。
糸井 岩田さん、「健康手帳」のコンセプトを聞いたとき、
まずはどう思いました?
岩田 すぐにピンときたというよりも、
じわじわと意味がわかってきた感じだったと思います。
糸井 うん。
岩田 わたしはお医者さんじゃないですし、
一瞬で理解できたわけじゃないんですよ。
まぁ、子どものころは、
よくお医者さんにかかってたんですけどね。
本田 そうなんですか。
糸井 岩田さんとぼくは、喘息友だちなんです。
岩田 そうなんです。
本田 ああ、おふたりとも。
岩田 喘息友だちは、
こういうとき苦しいんだよねっていうところを
わかりあえるので、
妙に連帯感があるんですよ。
糸井 そうそう(笑)。
本田 (笑)
岩田 まぁ、幸いにして
最近は、お医者さんにかかることも
それほどなくなってきたので、
たとえばこの健康手帳があることで
お医者さんが患者さんのことを
短時間で適確に理解できることとかが
すぐにはピンとこなかった。
でも、知れば知るほど、
「これは合理的な道具だ」って思えたんです。
本田 ええ、ええ。
岩田 まず、それがひとつ。
あとは、糸井さんにうかがった、
「健康手帳」があの薄い冊子に
まとまるまでの歴史が
すごく興味深く感じられたんです。
なんでも、最初に本田さんが提案されたときは、
「分厚いバインダー」のような状態だったとか。
本田 はい(笑)。
岩田 それが、だんだん削ぎ落とされて
いまの冊子のかたちになったんですよね。
つまり、「熱意のこもった分厚いバインダー」を
「小さな冊子」にすることで、
いろんな敷居がさがって可能性が広がったわけです。
それって、じつは、
ゲームをつくるときの流れとよく似てるんです。
糸井 ああ、なるほど。
岩田 このDSiウェア版の「健康手帳」をつくるときも
まさにそうだったんですが、
やっぱり最初は、あれもこれもと欲張るんですよ。
糸井 入れたいものが、いっぱいあるからね。
岩田 そうなんです。
でも、ただ欲張って、
多くの機能を入れることがいいわけじゃなくて、
「ほんとうに必要なものはなにか」
ということを突き詰めていくと、
それによって可能性が広がったりもするんです。
つまり、あれもこれもと欲張って入れるより、
「削ることがクリエイティブ」になる
みたいなところがある。
健康手帳をつくる過程の話をうかがっていると、
そのあたりが、ゲームづくりと
似てるなと思ったんですよ。
糸井 そうか、そうか。
岩田 そして、ちょうどその頃、
私たちが考えはじめていたテーマが
「ニンテンドーDSって
 どうしたら、ひとり1台
 持って歩いてもらえるものになるんだろう」
ということだったんです。
そこではじめて、DSiと健康手帳がつながるんです。
糸井 「持って歩く」というキーワードが
健康手帳と重なったわけですね。
岩田 そうなんです。

(つづきます)


2010-04-16-FRI