樋口可南子さんと、
ブイヨンの日々。
写真家ブルース・ウェバーさん
に『Say Hello!』を
渡しました!
ある保育園の卒園式に
おじゃましました。
『Say Hello!』を
結婚式の引き出物に
選んでくださった
おふたりをご紹介します。
写真家ブルース・ウェバーさんに
『Say Hello!』を渡しました!
ほぼにちわ。ちょっとびっくりなタイトルですが、
ほんとうなんです。
じつはぼくたちも、その事実を知らなかったのです。
それは2004年の秋のこと、
こんなメールが届いて、ぼくたちもそのことを知りました。
=
初めてメールします。
今、朝のニュースを見て気づいたことがあり、
思わずメールしました。
ついさっき、フジで
ブルース・ウェバーの特集をしていたのですが、
そこで一瞬だけ『Say Hello!』が写ったじゃないですか!
あの大きさ、形、なによりあの
ジャックラッセルの写真は間違いありません!
おそらくインタビューしていた
佐々木恭子アナがウェバーに
プレゼントしたのだと思いますが、
あのウェバーが手にする姿が見られるなんて、
ワンコ達もワールドワイドになったもんだと
感慨に耽ってしまいました。
(神奈川県 しゃら)
=
ほぼ日の皆さま、こんにちは
とくダネの「とくダネ特捜部」のコーナーで
ブルース・ウェバーという写真家の方が
出演されていたのですが
『Say Hello! あのこによろしく。』の
本を手にされたいたような気がしました!
番組では、『Say Hello! あのこによろしく。』の
話題には触れる場面は無くて・・・
気になって仕方ありません
(徳島県 なな)
ブルース・ウェバーさんが
テレビで『Say Hello!』を?!
ブルース・ウェバーさんといったら、
アメリカの有名な写真家です。
「カルバン・クライン」のアンダーウエアの広告写真とか
「
Abercrombie and Fitch
」の広告写真で
はじけるような裸体を撮ってきた人です。
若き日のブラッド・ピットやリバー・フェニックス、
キアヌ・リーブスも撮っていますし、
マドンナやヒクソン・グレイシーのポートレイトにも
すばらしい作品があります。
ジャズ・ミュージシャンのチェット・ベイカーの
ドキュメンタリー映画「レッツ・ゲット・ロスト」を
つくったり、最近では愛犬との暮らしを映画にした
「
トゥルーへの手紙
」をつくったりもしています。
はっきり、このかた、大御所です。
(ちなみに
ウェバーさんのホームページはこちらです
)
こちらがウェバーさんです。
ですけどなぜそのウェバーさんが
『Say Hello!』を‥‥?!?!
たしかに「犬好き」でしょうから
見たら喜んでくれるとは思うんです。
じつはぼくらも、この本が誕生したとき、
著者のイワサキユキオさんと
「ブルース・ウェバーに、見てもらいたいよね!」
なんて話していたこともありました。
でも‥‥渡すすべがない! ということで
あきらめていたんです。
それを、いつのまにか、
フジテレビがやってくれたんですか?!
──というわけで、
『Say Hello!』がウェバーさんの
手に渡ることになった仕掛け人である
フジテレビの「
とくダネ!
」の担当ディレクター、
東島由幸さんに、
そのときのことを、くわしく聞いてみました!!
フジテレビの東島さんです。
──「ほ
ぼ日」の読者のかたが
みつけてくださったシーンは、
コマーシャル明けの提供カットって言われる、
いわゆる「どこどこ提供です」っていう画ですね。
一瞬うつっただけなんですが、すごいです、
見つけてくださってうれしいです。
はい、たしかにそれは、
ウェバーさんに佐々木恭子アナウンサーが
『Say Hello!』をプレゼントした時のようすです。
じつは、あのインタビューで
ウェバーさんに『Say Hello!』を渡したのには、
ある理由がありました。
ウェバーさんというかたは、
ほんとに取材のハードルがものすごく高い人なんです。
今回の、10日間の来日のあいだに、
テレビ局の取材は、ぼくらを入れて2つだけ。
それも「インタビューのみ」っていうことで、
やっとOKをもらっていたんです。
でも、ぼくらは、初来日だし、
ウェバーさんは、きっと写真を撮るだろうと。
だったらそこにぜひ一緒に行きたいと思いました。
ブルース・ウェバーという写真家は、
日本ではまだ広くは知られていない人ですし、
雑誌の取材は受けても、なかなかテレビには出ない人です。
そもそも「密着取材」というのが無茶なことで、
ずっとNOって言われ続けていたんですよ。
テレビカメラがいると、
じぶんと被写体とのあいだの空気が壊れちゃうから
“僕の写真じゃなくなる”ということで‥‥。
そして、密着取材のOKがでないままに、
約束のインタビューの日が来ました。
佐々木恭子アナウンサーをインタビュアーとして、
でかけたんですけれど、その時に、何とか、
密着取材をオーケーしてもらえるような
きっかけをつくりたかったんです。
そのためには僕らがどんな人間か、
どういうふうにブルース・ウェバーのことを考えていて、
何であなたを撮りたいと思っているのかっていうのを
伝えなきゃいけないと考えたんです。
言葉で言うのはこれまでもやってきていたので、
実際に会ってどうすればいいだろうって考えて、
お土産を3つ用意しました。
初めての日本なので、
2つはすごくオーソドックスな陶器。
3つめに何にしようかというふうに思った時に、
今回、ウェバーさんは
犬の写真をメインにした展覧会をやっているし、
映画も犬がメインなので、
何か犬がらみでこちらができることはないか、
と考えたんです。
ほんものの犬を連れていくということも考えたんですけど、
なかなかそうするとインタビューが
うまくいかなかったりするかもしれない。
それはちょっと難しいだろうと思って、
パッと頭に浮いたのが『Say Hello!』だったんですよ。
長くはないインタビューの時間で
相手の心を開くのは、もうほんとに一発勝負なので、
この本に、すべてを託したんです。
まず陶器をさしげたところ、
すごく喜んではくれたんですけど、
今ひとつ食い込めていないように見えたんですね。
なら、やっぱりこれしかないぞと思って、
佐々木アナウンサーから、
『Say Hello!』をさしあげました。
そうしたら‥‥ほんとうにほんとうに
喜んでくれて、最後は佐々木アナウンサーに、
「あなたに、キスをしてもいいでしょうか」
と言ってくれるくらいに、心を開いてくださったんです。
それがきっかけで、ぼくらとウェバーさんとの間に
あたたかい関係がうまれました。
そこから、佐々木アナウンサーと連日、
夜中に毎日お願いに行って、
ウェバーさんにとっても世界初の
「テレビによる密着取材」が、OKになったんです。
『Say Hello!』、ほんとうにうれしそうに見ていました。
ウェバーさんは、自分の写真は
あんまりスタジオとか家とかには
飾ってらっしゃらないそうなんですね。
でも、人の写真は飾る人で、
『Say Hello!』もすごく気に入ってくれて、
今回映画の主人公になっている、
自分の犬たちにも見せるよ、
というようなことをおっしゃってましたよ。
インタビュー中もけっこう合間合間に、
通訳さんがしゃべってる時なんかに、
パラパラパラパラずっと見てたんですよ。
「これいいね、あれいいね」って。
ウェバーさんって、やっぱりカメラをとてもとても
愛してる人なんです。
佐々木アナウンサーにも
デジカメを持って行かせてたんですけど、
それを見るなり、
「写真を撮ってね、撮ってね」って。
「僕の写真を撮ってくれるだけじゃなくて、
すごくいろんなものを思った通りに撮ると、
いろんな世界が開けてくるから、
それをみんなにも番組を通して伝えてね」
っていうようなことを。
そういうわけで、ぼくらからも『Say Hello!』には
とても感謝しています。
実は佐々木アナウンサーが
今回いろいろ撮った写真を、
お互いに送ろうねと、
ウェバーさんと約束をしているんですが、
その時に一緒に、『Say Hello!』のカレンダーも
お送りするつもりなんですよ!
──うわぁ、東島さん、ほんとうに、
どうもありがとうございました!
ウェバーさんが言う
「いろんなものを思った通りに撮ると、
いろんな世界が開けてくる」って、
そうだよなあ、
『Say Hello!』もそういうことだったんだなあと、
思いましたよ!
そうそう、ちょっと面白い話をききましたので
最後におひろめします。
来日中、東島さんたちの密着取材とは別に、
国技館に相撲の取組を見に行ったウェバーさんが
“フリーズ”した瞬間があったんだそうです。
彼の目線の先を追っていくと一人の若者がいた。
「彼を撮りたい」っていうその力士は、
越ノ龍関といって、武蔵川部屋の三段目でした。
まだ付け人で、とくに目立つ力士というふうには
まわりの人はだれも思わなかったそうです。
でもウェバーさんは
「彼を撮りたい。彼を撮らないと
僕はアメリカには帰れない」と。
ウェバーさんがそういうふうに
「撮りたい」と思って撮影した無名の人物が、
みんなその後、めきめきと
スターになっていくという伝説があります。
リバー・フェニックスもブラッド・ピットも
キアヌ・リーブスも、レオナルド・ディカプリオも、
まだ無名時代に、ウェバーさんが発掘しているんです。
その熱意が通り、
ウェバーさんは越ノ龍関を撮影しました。
そして‥‥その越ノ龍関は
ウェバーさんの撮影後、全勝!
フジテレビのみなさんは、
越ノ龍関の2年後3年後が楽しみだねと言っているそうです。
ひょっとして横綱になるかもね? って。
そしてウェバーさんが喜んでくれた『Say Hello!』も
もっともっと、いろんな人のところに
はばたいてくれたらいいなあと思いながら、
ご報告を終えたいと思います。
*本文中の画像はフジテレビさんのご厚意により
使用を許諾していただきました。
転載、流用などはなさいませんようお願いいたします。
2005-10-28-FRI
(「ほぼ日ニュース」より再構成)