「水色風琴(みずいろふうきん)」という名前は、
イメージとしては手風琴、つまりアコーディオンです。
絵の中にも、アコーディオンを描いてますね。
扇子の折りたたまれる部分が、
アコーディオンの蛇腹に似ていると思ったんです。
どちらも、空気をこう、
押し出すような動きがあります。
アコーディオンは空気で音を奏で、
扇子は空気そのものを風にして届ける。
そういうイメージに「水色」という文字をつけて、
涼しげな雰囲気になればいいなぁと。
いつもそうなんですけど、
何を描くかはあまり考えずに描きだすんです。
今回も、描きはじめてから浮かんできたのが、
これらのモチーフでした。
うさぎとか、キンギョとか、ちょうちょとか‥‥。
全体的にはやっぱり、
夏を思いながら描いたんだと思います。
あとは描くときに、
それを使っているシーンのことは考えます。
きれいな扇子って、
見せたいんじゃないかな? と思うんですよ。
もちろん自分で使うものですけど、
自分のためだけじゃなくて、
周囲に見せて、周りの人も涼を感じるというか。
扇子って、そういう役目なんじゃないかな、と。
「涼しさの気配」というか、
扇子はそういうものを持っているような気がします。
それと、そうだ。
この扇子はたたんだときに、
ちょっといいんですよ、ほら。
ずっと開いているわけじゃないでしょ。
たたんで置いてあるときにも
きれいに見えるようにっていうのは、
わりと最初から考えて描きました。
だから、こう、
水色のラインとか、黄色や緑のかたまりとかを
意識的に描いておけば
あとでさりげない模様になるだろう、と。
それは、なかなかうまくいっていると思います。
テーブルにたたんで置いてあると、いい感じ。
今回のラインナップでは、
ぼくの扇子はやっぱり異質です(笑)。
こんな扇子は自分でも見たことがない。
でも、いろいろな場面でポイントになる
夏のあざやかなアイテムになったと思います。
お使いいただいて、
みなさんにそれぞれの
いい景色をつくってもらえるとうれしいです。 |