ほぼ日のいい扇子2012
 
井上有一「花」4,200円(税込・配送手数料別)

昨年に引き続き、今年も書家・井上有一さんの扇子を。
生前に書かれた数多くの「花」の文字の中から、
このひとつを選び、扇子の中に落とし込みました。
大胆で、力強く、
それでいて「花」の文字からは繊細な印象も受けます。
男女を問わず、お使いいただきたいデザインに
なりました。

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知っておいてほしいこと
 
 

2営業日以降

大きさ:約22cm(扇骨)
    約11cm(扇面)
重さ:22g
材料:竹 和紙
※紙扇子にはシクラメンの香りがついています。

   
花(井上有一・書)について、 海上雅臣さんにうかがいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(海上雅臣さんプロフィール)
(井上有一さんプロフィール)

とてもいい仕上がりじゃないですか。
竹と紙で、姿がよく、質素で。
いい扇子です。
高級すぎるのは有一らしくないですからね。

有一のカタログレゾネの中には、
「花」という字だけで600点入ってるんです。
(※カタログレゾネ=その画家の作品総目録)
その「花」という字で展覧会を開くとね、
作品の前で「この花は、桜かしら」
などとおっしゃってるかたもおられますが、
それはちょっと違うんです。
有一が書いたのは、そういう花じゃない。
どんな花を書いたかというとね、法華経なんです。
有一の処女作、「自我偈(じがげ)」も
法華経の一節を書いたものなのですけれど、
その「自我偈」の中に、

 此の土上が焼け尽きる時には、
 天人天鼓をうち、曼陀羅華降りそそぐ

とある。
つまり、お釈迦様を信ずる人は、
亡くなるとき空中に音楽と花が満ちて
魂をむかえられる、ということです。
有一が書いたのは、その「花」なんです。
天上から降る、花。
人を迎える儀式として永遠に降りそそぐ花々を
有一はいくつも書にしたんです。

有一は東京大空襲のときに一度死んでいます。
勤務先だった国民学校(※職業は教師でした)の校庭で、
亡くなった8時間後に同僚の人工呼吸で蘇生しました。
そのときに、
降りそそぐ花を見たのかもしれないですね。

有一の最初の作品集は、僕と組んで一緒につくりました。
『花の書帖(しょじょう)』といって、
「花」一文字だけを書いた作品をおさめた作品集です。

詩人の西脇順三郎さんに書いていただいた詩を
冒頭に序詩としました。
装幀は、デザイナーの福田繁雄さん。
書名も著者名も無い、思いきった表紙です。
しかもこの作品集には、
有一が実際に書いた「花」が、一枚入ってる。
ほんとうに、作品がひとつ入ってるんです。

そういうこともあって、
有一にとって「花」はすこし特別な字かもしれない。
それが扇子に入っている姿は、とてもいいと思います。
「貧」や「夢」など、
代表的な字はいくつもありますが、
「花」というのが、いい。
扇子に入る大きさとして、ちょうどいいじゃないですか。

糸井さんは、
NHKの番組で有一にインタビューしてるんですよね。
あれは傑作だった。
ぼくらも、すごく勉強になった。
糸井さんはNHKが用意した台本をぜんぜん無視して、
質問と会話を重ねていくんですよ。
その、糸井さんの当意即妙。
とてもいい顔で、あどけない質問をされる。
これがほんとうに、おもしろかった。
あれはすばらしい番組でしたねぇ。

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