最初はこの、布の部分、扇面を、
あまり扇子っぽくない感じにしようかと、
そういうふうに考えました。
たとえば思いきってデニムにするとか。
デニムっぽくじゃなくて、
ほんとにデニムの生地で扇子をはりつけて。
使いこむほどに味が出る扇子、とか。
でもずっと考えているうちに、
この部分に作り手の思いを凝縮させすぎるのは
どうなんだろう? と思うようになったんです。
なんというか‥‥
扇の柄は極力オーソドックスで、
無地っぽいもののほうが、自分は使うなと思いました。
それで、こういう布の部分がすくないタイプを選びました。
ぱっと見るとおとなしい扇子なんだけど、
この竹の部分、扇骨をよく見ると
ハッピーな柄が隠れているような、
そんな方向性でデザインしていくことにしたんです。
いちばん上に「星」があって、
「波」があり、「船」が浮かんでいて、
海底には船の「いかり」、アンカーが沈んでる。
そういうストーリーみたいなものを、
扇骨の穴で表現していただきました。
これはすごい技術だと思います。
よくこんな細かい柄を竹に‥‥。
繊細な細工ですので、
購入された方はぜひていねいに扱ってあげてください。
「the other side of marine」というのは、
もちろん海をイメージしてつけた名前です。
なにかこう、マリンリゾートとか
そういうたのしげな雰囲気で。
発想としては、ほぼ日さんでやった
「シャツ受注展示会」のボーダープリントみたいな、
あれに近いかもしれません。
ボーダーシャツをボロボロにして、
それをスキャンして白いTシャツに転写したやつ。
つまり、「マリン」というすこし気恥ずかしいイメージを
和の技術で扇子に転写したような。
よく見ると凝っているけど、
落ち着いた扇子になったと思います。
いろんな方にいろんなシーンで使っていただきたいですね。 |