- ほぼ日
- 野村先生は120匹以上のいきものと
いっしょに暮らしているそうですね。 - 野村
- 地下に温室があって、
熱帯動物もいっぱいいます。 - ほぼ日
- 温室が。
- 野村
- そこには人工太陽光線灯をつけて、
オオトカゲ、ニシキヘビ、
オオナマズ、肺魚もいます。
それからサイレン、アンヒューマなどの、
ちょっと変わった両生類もいる。
この建物の水槽は全部パイプでつながっていて、
地下に濾過槽があり、
循環してきれいにしています。
25トンの水量を3万ワットのモーターで
回しているんですよ。 - ほぼ日
- ‥‥すごいですね。
この病院自体も、すごい建物です。 - 野村
- この建物は、
僕が建てる6つめの建物なんですが、
おおまかなエクステリアやインテリアは
僕がデザインしました。 - ほぼ日
- 図面を引かれたんですか?
- 野村
- 特に、内装はそうですね。
それを力学計算してもらって、
法律と照らし合わせながら
現実のものにしてもらいました。
いちばん最初、僕は
ナゾータワーのような建物の
図面を描いたんです。
知ってる? ナゾータワーって。
『黄金バット』に出てくるんだけど。 - ほぼ日
- お‥‥黄金バット。
- 野村
- 地球征服を目的とした
ナゾ−という敵キャラが
ナゾータワーという
秘密基地に住んでいるんです。
そのタワーは、
ドリルの格好をしているんです。 - ほぼ日
- ‥‥‥‥それを建てようと?
- 野村
- いきなり町に現れるんですよ。
「ロ〜ンブロ〜ゾ〜〜」とか
「ナゾ〜」とか言いながら
地下を掘り進み、
ズドドドーン!‥‥と出てくるタワーなの。 - ほぼ日
- 地下から出てくるんですか。
- 野村
- うん。ドリルになっていて
斜めに出てくるんですよ。
そのナゾータワーを建てたいと言ったんです。
そうしたら、どうしても法律的に無理だと。 - ほぼ日
- 建ぺい率とか、いろんな、その‥‥
いろんな、問題がありますもんね。 - 野村
- うちね、実はナゾーなんですよ。
- ほぼ日
- え?
- 野村
- ほんとうの名前はですね、
「野村アニマルゾーンオフィス」、
略して「NAZO(ナゾー)」なんです。 - ほぼ日
- そう‥‥そうなんですか。
- 野村
- うん。だけど表向きは
「株式会社 野村Vセンター」なんです。
はははははは。 - ほぼ日
- はははは。
- 野村
- ははははははは。
- ほぼ日
- ‥‥あの、
もうひとつ伺いたいんですが、
VセンターのVって、何のVなんですか? - 野村
- お、いいところに気づきましたね。
Vは、まず、『コンバトラーV』。 - ほぼ日
- 全部そっちにいきますね(笑)。
- 野村
- それからやっぱり『仮面ライダーV3』。
つまり、Vってカッコいいんですよ。
なにもないところをグワーッと進む、
このとんがりさ加減が、いいんでしょう。 - ほぼ日
- Vの文字自体、かっこいいですね。
- 野村
- さらに、ベタリナリー(Veterinary)。
つまり、獣医のVです。 - ほぼ日
- なるほど、それがいちばんですね。
- 野村
- ビクトリー(Victory)のV。
それから僕の愛犬、ヴィオラちゃんのV。
- ほぼ日
- いっぱい出てきますね。
- 野村
- Vってね、上広がりだし
とにかく僕にとってカッコいい文字なんです。
でも、ここまでカッコいいものを、
あからさまにこの商売で、
使う人間はいないんです。 - ほぼ日
- お医者さんで。
- 野村
- 僕じゃないと、ちょっと使えないんじゃないかな?
「○×犬猫病院V」とかいっても、
「何?」って思われちゃうかもしれないでしょ?
でも僕ってね、
けっこう相手が納得してくれるんですよ。 - ほぼ日
- そういえば、「野村獣医科Vセンター」は
違和感がないですね。 - 野村
- ごく普通に思えるでしょう。
このように、Vが似合う男である、と。 - ほぼ日
- しかも、この病院は本当に
内装も外観も豪華で美しく、
驚きました。 - 野村
- ‥‥あ、言っておきますが、
ここに来る患者さんたちは
みんながお金持ちのお家の人ってわけじゃ
ないですよ。
僕は「金持ちと貧乏」という以前に、
動物も人間も平等に見ています。
だからこの病院の中では
ハエもカも殺しちゃいけないことに
なってるんですよ。 - ほぼ日
- おっと、それは気をつけないと。
- 野村
-
必ず、外に逃がすんです。
このように、動物と人間を差別しない僕が、
人間を差別するわけありません。動物も人間も、相手を
尊重しているんであればいい。
それだけができていれば、
いいんですよ。