もくじ
第1回金魚鉢は景色がゆがむ。 2008-05-08-Thu
第2回ハエと人間、何が違うの? 2008-05-09-Fri
第3回野村V先生。 2008-05-12-Mon
第4回太陽が東から昇るように。 2008-05-13-Tue
第5回女は裏切る、男は撒く。 2008-05-14-Wed
第6回クワガタムシも笑うんだ。 2008-05-15-Thu
第7回ものを言わない動物だから。 2008-05-16-Fri
第8回いきものとして。 2008-05-19-Mon

ほぼ日
野村先生は120匹以上のいきものと
いっしょに暮らしているそうですね。
野村
地下に温室があって、
熱帯動物もいっぱいいます。
ほぼ日
温室が。
野村
そこには人工太陽光線灯をつけて、
オオトカゲ、ニシキヘビ、
オオナマズ、肺魚もいます。
それからサイレン、アンヒューマなどの、
ちょっと変わった両生類もいる。
この建物の水槽は全部パイプでつながっていて、
地下に濾過槽があり、
循環してきれいにしています。
25トンの水量を3万ワットのモーターで
回しているんですよ。
ほぼ日
‥‥すごいですね。
この病院自体も、すごい建物です。
野村
この建物は、
僕が建てる6つめの建物なんですが、
おおまかなエクステリアやインテリアは
僕がデザインしました。
ほぼ日
図面を引かれたんですか?
野村
特に、内装はそうですね。
それを力学計算してもらって、
法律と照らし合わせながら
現実のものにしてもらいました。
いちばん最初、僕は
ナゾータワーのような建物の
図面を描いたんです。
知ってる? ナゾータワーって。
『黄金バット』に出てくるんだけど。
ほぼ日
お‥‥黄金バット。
野村
地球征服を目的とした
ナゾ−という敵キャラが
ナゾータワーという
秘密基地に住んでいるんです。
そのタワーは、
ドリルの格好をしているんです。
ほぼ日
‥‥‥‥それを建てようと?
野村
いきなり町に現れるんですよ。
「ロ〜ンブロ〜ゾ〜〜」とか
「ナゾ〜」とか言いながら
地下を掘り進み、
ズドドドーン!‥‥と出てくるタワーなの。
ほぼ日
地下から出てくるんですか。
野村
うん。ドリルになっていて
斜めに出てくるんですよ。
そのナゾータワーを建てたいと言ったんです。
そうしたら、どうしても法律的に無理だと。
ほぼ日
建ぺい率とか、いろんな、その‥‥
いろんな、問題がありますもんね。
野村
うちね、実はナゾーなんですよ。
ほぼ日
え?
野村
ほんとうの名前はですね、
「野村アニマルゾーンオフィス」、
略して「NAZO(ナゾー)」なんです。
ほぼ日
そう‥‥そうなんですか。
野村
うん。だけど表向きは
「株式会社 野村Vセンター」なんです。
はははははは。
ほぼ日
はははは。
野村
ははははははは。
ほぼ日
‥‥あの、
もうひとつ伺いたいんですが、
VセンターのVって、何のVなんですか?
野村
お、いいところに気づきましたね。
Vは、まず、『コンバトラーV』。
ほぼ日
全部そっちにいきますね(笑)。
野村
それからやっぱり『仮面ライダーV3』。
つまり、Vってカッコいいんですよ。
なにもないところをグワーッと進む、
このとんがりさ加減が、いいんでしょう。
ほぼ日
Vの文字自体、かっこいいですね。
野村
さらに、ベタリナリー(Veterinary)。
つまり、獣医のVです。
ほぼ日
なるほど、それがいちばんですね。
野村
ビクトリー(Victory)のV。
それから僕の愛犬、ヴィオラちゃんのV。

ほぼ日
いっぱい出てきますね。
野村
Vってね、上広がりだし
とにかく僕にとってカッコいい文字なんです。
でも、ここまでカッコいいものを、
あからさまにこの商売で、
使う人間はいないんです。
ほぼ日
お医者さんで。
野村
僕じゃないと、ちょっと使えないんじゃないかな?
「○×犬猫病院V」とかいっても、
「何?」って思われちゃうかもしれないでしょ?
でも僕ってね、
けっこう相手が納得してくれるんですよ。
ほぼ日
そういえば、「野村獣医科Vセンター」は
違和感がないですね。
野村
ごく普通に思えるでしょう。
このように、Vが似合う男である、と。
ほぼ日
しかも、この病院は本当に
内装も外観も豪華で美しく、
驚きました。
野村
‥‥あ、言っておきますが、
ここに来る患者さんたちは
みんながお金持ちのお家の人ってわけじゃ
ないですよ。
僕は「金持ちと貧乏」という以前に、
動物も人間も平等に見ています。
だからこの病院の中では
ハエもカも殺しちゃいけないことに
なってるんですよ。
ほぼ日
おっと、それは気をつけないと。
野村
必ず、外に逃がすんです。
このように、動物と人間を差別しない僕が、
人間を差別するわけありません。

動物も人間も、相手を
尊重しているんであればいい。
それだけができていれば、
いいんですよ。

第4回 太陽が東から昇るように。