春と秋の年2回、
連ドラがはじまるころに掲載される。
ほぼ日名物「連ドラチェック」です!
ほぼ日刊イトイ新聞が誇る、
超弩級テレビッ子、あややが
脚本家、森下佳子さんと
マンガ家、荒井清和さんといっしょに
今季の連続ドラマについて熱く語ります。
ときに本質をえぐり、しばしば昔話に花を咲かせ、
しょっちゅう脱線する、たいへん自由な雑談。
例によって長くなると思いますので、
どうぞのんびりおたのしみください。
進行は、ドラマのことはまったくの素人、
「ほぼ日」の永田が担当します。
味わい深いイラストは、
「沼のハナヨメ」でお馴染み、
「気仙沼のほぼ日」のサユミが担当。
それでは、はじめますよー!

>ドラマ好きの3人を紹介します。

ほぼ日刊イトイ新聞随一のテレビッ子。
どんなに忙しくても録画したドラマは必ずチェック。
毎週発表される視聴率なども無意味に把握。
幼少期から蓄積されたテレビの知識は無尽蔵。

 

漫画家・イラストレーター。高品質な似顔絵には定評が。
ドラマ、スポーツ、バラエティー番組などが好き。
キャラクターデザインを手がけた
『伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠』
Nintendo Switch、PS4、Steamで配信中。

脚本家。『JIN-仁-』『白夜行』『義母と娘のブルース』
大河ドラマ『おんな城主 直虎』など、数々の名作を生みだす。
NHK朝ドラ『ごちそうさん』で向田邦子賞を受賞。
新作の『だから私は推しました』も大好評。

前へ目次ページへ次へ

第4回 12年ぶりの新シリーズ、50周年の記念作、そして、贔屓の役者さんを熱く語る。

あやや
ああ、これこれ!
『時効警察』がひさびさにありますよー。
おもしろかったですねー。
森下
わー、三日月さんだ!
──
『時効警察』って、このコンテンツで
よく語られてたドラマですね。
ええと、最初のシリーズは2006年。
あやや
えっ、そんな前なの?
森下
びっくりするよねー。
荒井
最初のシリーズのすぐあとに
『帰ってきた時効警察』があって、
それ以来になりますね。
『時効警察はじめました』ですか。
へんなタイトルですね、いい意味で(笑)。
──
資料によれば、その第2シリーズから
12年ぶりに復活ということらしいです。
あやや
まえにやってたのは、
ちょうど『TRICK』とかの、あの時代ですよね。
森下
そうそう、ちょっと流行ったよね、
こういう男女のバディもの。
『ケイゾク』とか。
あやや
流行りました、流行りました、
『SPEC』で終結するみたいな感じで。
森下
そう、そう。
──
なんか、今季のドラマ、
12年ぶりとか、13年ぶりとか多いですね。
荒井
完全に時代が一周してますね。

あやや
なんか、おもしろいですね。
人気ドラマの続編なんて
安易な企画はやらないぞと思ってた人たちが、
「12年ぶりなら、そろそろいいか!」
とか思ったりするのかな。
荒井
「いまやったらおもしろいんじゃない?」
みたいなノリかもしれませんね。
森下
そういう話でいうと、
『平成夫婦茶碗』がもう19年前なんだけど。
あやや
お、森下さんの脚本家デビュー作。
森下
そうそう(笑)。
で、このあいだプロデューサーと話したとき、
『令和夫婦茶碗』ってどうよって話が出て。
あやや
あー、「平成」が「令和」に(笑)!
いいじゃないですか。
森下
「あのラーメン屋が時代の波を
泳ぎ切れたわけがない」って、
それは与太話で終わったんだけど(笑)。
ちょっとそういうノリもあるのかもね。
あやや
時は流れてますねぇ。
──
で、12年振りに『時効警察』です。
あやや
私、ホームページ見て知ったんですけど、
前のシリーズのとき、
園子温さんとか、ケラさんとかが、
脚本、監督をされてたんですって。
岩松了さんは出演もされながら、
制作にも関わってたみたいです。
森下
ああ、そうだった、そうだった。
あやや
だから、『時効警察』って、
その人がドラマやテレビの仕事を
してるかどうかに関わらず、
実力のある人をどんどん抜擢する
シリーズでもあるわけですよ。
で、今回も、若くて才能のある人たちを
積極的に起用していくみたいです。
荒井
そういう方針はとてもいいですよね。
森下
大賛成です。
あやや
話は変わりますけど、
「時効」っていま廃止されてないんですか?
森下
重大犯罪の時効は廃止されてるはずだよ。
──
ええと、調べてみたところ、
殺人など凶悪犯罪に対する時効の廃止や
延長を盛り込んだ改正刑事訴訟法が
2010年4月に成立して即日施行されてます。
あやや
つまり?
──
現在、殺人とかは時効なし、です。
あやや
じゃあ『時効警察』はどうするんですか。
森下
あ、でも、公式ページに
ちゃんと書いてあるね。
時効がなくなった時代の『時効警察』、だって。
「殺人事件の時効は廃止されましたが、
それ以前に時効が成立した事件は、
山ほど残っているのです」
荒井
そうか、もともとこのドラマって、
過去に時効が成立した事件を
「趣味で」掘り起こすわけだから、
同じコンセプトのままで行けるんですよ。
あやや
そっか。
森下
時効がない事件を捜査しちゃうと
『時効警察』にならないから、
過去に時効で逃げ切った人を捜査するんだね。
だって、時効成立してない人捕まえたら、
『時効警察』じゃないもん。
──
ふつうの『警察』だ。
森下
ドラマ『警察』になっちゃう(笑)。
荒井
『警察』(笑)。
あやや
おもしろい(笑)。
──
ていうか、
だいたいの刑事ドラマは『警察』です。
荒井
ははははは、なんなんだ。
──
探偵ドラマは『探偵』ですし、
医療ドラマは『医者』ですし、
学園ドラマは『教師』です。
あやや
なに言ってるんですか。
──
よくわからなくなってきた‥‥。
森下
(笑)
あやや
キャストの話をしましょう。
主演のオダギリジョーさんと
麻生久美子さんは健在!
おふたりとも芸達者ですよねー。
ここはもう、安定、絶対品質。
荒井
新人刑事で吉岡里帆さんが出るんですね。
あやや
おっと、これはくせ者ですよ。
吉岡里帆さん、男性には大人気な一方で、
女性視聴者には引かれることもありますからね。
荒井
独特のあざとさが見えちゃう、みたいな?
でも、そのへんも含めて個性ですよね。
あやや
この子はね、なかなかね、やりよりますよ。
ふっふっふっ‥‥フッフッフッ‥‥。
──
怖いよ。
あやや
いや、吉岡里帆さんはおもしろいです。
ウォッチしていきたいです。
一時期、どんなドラマでも
センターにいましたけど、
最近はちゃんとそのあたり調整してますよね。
森下
でも、なんだろう、
わりと女性っぽさが少ないこのドラマの
キャストのなかにいると、
吉岡里帆ちゃん、いいですね。
あやや
ほー、なるほど、なるほど。
森下
男っぽい並びのなかに入って、
あえて女性っぽくいるっていうのは、
本人も活きる感じがするんですよね。
役割がはっきりしていて、いい感じなんですよ。
並びって大事だなあって思いません?
あやや
するどいですよ、それは。
荒井
たしかに、この位置にいるのはいいですね。
あやや
やっぱり女優さんは、真ん中だけじゃなくて、
いかに脇をこなすかですよね。
荒井
両方行ったり来たりできる人が
うまいんでしょうね。
あやや
そう思います。
森下
‥‥ん、なにこれ?
新シリーズ開始の前に、
復活スペシャルドラマやるらしいんだけど、
「メインゲストは武田真治!
71歳にして40代の肉体を持つ男に変身!」
「美魔女の男性版、美魔王」だって(笑)。
あやや
美魔王? なにそれー!
荒井
はははははは。
森下
おもしろい!
あやや
おもしろーい!
武田真治さん、すごいですよね。
『凪のお暇』のスナックのママ役、
最高でした。
──
あれ、ちらっと見たけどすごかった。
森下
美魔王はスペシャルのときだけなのかな。
ずっと出てほしいけどね、美魔王。
あやや
美魔王すごい。
本編もたのしみにしてます!

──
どんどん行きましょう。
あやや
『少年寅次郎』、どうでしょう?
森下
あ、これ、びっくりしたよね。
ちょっと見たいなと思ってます。
──
ええと、寅さん?
『男はつらいよ』の寅さん?
森下
そうそう。
あやや
寅さんの少年時代をNHKが
ドラマ化したということですよね。
荒井
へーー。誰が寅さん演るんですか?
あやや
少年時代の寅さんだから、
子役の男の子がやるみたい。
荒井
あ、そうか。
そういう意味では主役は寅さんではなくて。
あやや
寅さんのお母さんですよね。
演じるのは私の大好きな、井上真央ちゃん!
荒井
原作が山田洋次さんで、
脚本が岡田惠和さん。
あやや
うーーん、これはよさそう。
森下
すごくいい企画なんだろうな、
という感じがすでにありますね。
よすぎ。よすぎて、悪く言っちゃいそう。

あやや
なんですか、それ(笑)。
森下
だって、そろいすぎじゃないですか、いろいろ。
どこをとっても良質。
はーー、私もこういうのやってみたい。
──
なにを言ってるんですか。
森下
私、どっちかっていうと、
「さあ! この崖を登れ!」みたいな
企画が渡されがちな気がする‥‥。
それとも単に私がヘタレだから、
塀が崖に見えてるだけ? ひがみ?
あやや
登ればいいじゃないですか、崖を!
いつも見事に登ってるじゃないですか!
森下
いっつも落ちそうでハラハラしてんだけど!
穏やかな気持ちで
初回を迎えたことが一度もないんだけど!
あやや
クリエイターというのはそういうもんです!
常に落ちそうな場所でふんばるのが作り手です!
──
そういう話は酒場でやっていただくとして、
資料によれば、今年は寅さん50周年。
50作目となる新作映画も公開されるそうです。
『男はつらいよ お帰り 寅さん』。
荒井
映画が? 新作の?
森下
どうやって撮るの?
あやや
吉岡秀隆くんとか、
後藤久美子さんも出るんですよね。
もちろん寅さんは出られないから、
過去の映像を編集するんでしょうか。
──
あ、そうですね。
デジタル処理した過去の映像が
現在の映像と交錯、
というふうに資料にあります。
荒井
ああ、なるほど。
あやや
50周年なので、いろいろ企画されてるなかで、
このドラマもあるのかな。
森下
まず山田洋次さんの小説があって、
それを原作として、岡田さんが書くんですね。
荒井
なるほど、わかってきた。
つまり『寅さん』のエピソードゼロなんだ。
──
はい、そういうことみたいです。
あやや
あの、私、びっくりしたんですけど、
寅次郎と妹のさくらって、
血がつながってないんですか?
森下
そうなの、そうなのよ。
荒井
へぇーーー。
森下
私もはじめて聞いたときびっくりした。
荒井
ちょっと気になってきました、
『寅さん』のエピソードゼロ。
──
公式サイトによると‥‥。
「寅次郎出生の秘密から、
戦争をはさんだ悪ガキ時代、
そして最愛の妹さくらに見送られて
葛飾柴又の駅から旅立つ14歳までの物語。
なさぬ仲の育ての母は寅次郎のアキレス腱。
母を悲しませないためだけに、
悪の道を何とか踏みとどまって14年生きてきた。
そして、さくらへの無垢な愛情。
この二人への感情が、
寅次郎という人間の骨組みを作ってきた」。
あやや
わーーー。
荒井
これはまずい。
あやや
絶対、泣いちゃうじゃないですか。
すっごくいい話じゃないですか。
しかもこれを岡田惠和さんが書くっていう!
森下
私にもこういう企画‥‥。
あやや
大丈夫、森下さんは、大丈夫ですよ!
人は人です!
──
なんで励ましてるの。
森下
そうだよね、人は人だよね‥‥。
──
なんで励まされてんの。
森下
でも原作山田洋次さんって、
それはそれでなんか、
もんのすごい崖な気もして来た!
やっぱいいや! 地道にボルダリングするわ!
あやや
おにぎり持って行きます!
──
で、このドラマは。
荒井
まあ、しかし、
おもしろいでしょうね、これは。
森下
きっと、いいと思います。
あややは見るよね、井上真央ちゃんだし。
あやや
見ますよー!
井上真央ちゃんはね、私の贔屓女優なんですよ。
贔屓女優は井上真央ちゃんで、
井上真央ちゃんは贔屓女優なんですよ。
──
同じこと言ってるぞ。
あやや
もうね、家に井上真央ちゃんがいたら
いいなぁと思って。
──
家で待ってる井上真央さんの
気持ちも考えなさい。
あやや
そうなったらもう、すぐ帰るね、家!
森下
私、憶えてるよー。
朝ドラの『おひさま』のとき、あややが
「真央ちゃんが自転車を漕いで行くシーンを見ると
私も今日一日がんばろうと思う」って言ったの。
それ聞いて、そんな反応してくれる人、
世の中にほんとにいるんだなーって、びっくりした。
荒井
ははははは。
あやや
いや、思うでしょう、ふつう。
森下
もちろん願うことではあるんですよ、
ドラマをつくる側が、
「見た人が元気になるように」って。
でも、私なんか、ほら根がひねくれもんだから、
とはいえ実際はそんなことはないでしょお、
って思ってた。
あやや
ダメダメダメ、それはダメですよ。
私なんて、どれだけ『おひさま』の
井上真央ちゃんに心を打たれ、
「今日もがんばろう!」と思ったことか。
私は、もうほんとに真央ちゃん好きですね。
森下
ポジポジだよね、あややの好みって。
明るい人が好きだよね。
あやや
ちょっとなんですかその
「太陽好きだよねー」みたいな言い方ー。
晴れてればいいんでしょ、みたいなー。

森下
だってそうじゃーん。
──
女子の口喧嘩みたいになってきた。
荒井
放課後感ありますね。
森下
でも、うちの娘もそうなのよ。あややと一緒。
もう、好みがポジポジで。
あやや
「ポジポジ」ってバカにしてる!
森下
してない、してない(笑)。
このあいだ学校の宿題で、
絵本をつくるっていうのがあって、
なんか苦戦してたから、
私もアイディアを出したんですよ。
──
森下さんが?
荒井
朝ドラと大河を書いてる脚本家が
宿題の絵本のプロットを(笑)。
あやや
いいなあ、お母さんが脚本家。
森下
いや、それが、いろいろ出したんだけど、
ことごとく却下で!
──
え、娘さんから?
森下
そう。
「ママの話は暗いから」って却下されるの。
荒井
はははははは!
森下
「けっきょく会えなくなったり、
最後に死んだりするから」って。
──
その批評性もすごいな。
あやや
娘さん、小さいときから、
ママにお付き合いして、
高度なネガネガドラマを見すぎたから、
その反動なんじゃないですか?
森下
いや、ほんと、そうかも。
私のドラマでいちばん好きなのはけっきょく
『義母むす』って言われた。
荒井
でも、なかなかのセンスですね。
──
うん。
あやや
私も『義母むす』、大好きですよ。
森下
娘と同じだ、ポジポジだ。
でも、そのほうが可能性あるんですよね。
だってネガネガなディズニーなんて、
誰も望まないだろうし。
ポジポジな感性の方が、
やっぱりなにかと裾野が広い気がします。
あやや
うん、やっぱ、ポジポジですよ。
井上真央ちゃん、好きです!
森下
いや、ネガポジ関係なく私も好きですよ、真央ちゃん。
井上真央ちゃんが演じた
『花より男子』の牧野つくしちゃん、
大好きだった。
あやや
よかったですよねー。
あの、ちょっとややこしいこと言いますけど、
井上真央ちゃんって、
ただの天然なポジポジじゃなくて、
自分の意思で、
ポジに持って行ってると思うんですよ。
その健気さ、わかります?
森下
あー、そうかもね。
あやや
だって子役時代からやってるんですから、
いろいろあるに決まってるんですよ。
でも、こんなにきれいに保ってる。
そんな真央ちゃんは、すごいと思います。
森下
うん、たしかに、すごみを感じるね。
なにせ『キッズ・ウォー』だもんね。
あやや
そうですよ。
──
で、まとめると『少年寅次郎』は?
荒井
しっかり、おもしろいんじゃないでしょうか。
前にNHKで黒柳徹子さんの若い頃と
テレビの黎明期をドラマにした
『トットてれび』ってありましたね。
ああいう、ちゃんとつくられたものに
なるんじゃないかと。
あやや
あと、年配の人はかならず見ますね。
『寅さん』が好きなうちの両親とか
絶対見ると思う。
森下
うん、私もきっと見るなぁ。
あやや
♪ちゃーんちゃららららー
「‥‥さくらぁ」
荒井
似てない。
森下
あいかわらず似てない。
──
まったく似てない。
あやや
似てなくても気にしません。
「‥‥さくらぁ」
森下
なんて、ポジティブ!

あやや
つぎ行きましょうー。
『俺の話は長い』。
荒井
『俺の話は長い』っていうタイトルなのか(笑)。
森下
主演は生田斗真さん。
荒井
生田斗真さんが連ドラに主演するのは
けっこう久しぶりですね。
あやや
そうですね。
しかも、ひさびさに演じる役が30代でニート、
屁理屈を言いまくるダメな男ということで、
逆にちょっとおもしろそうなんです。
荒井
たしかに、どうしてそんな役をという気がします。
森下
うん、うん、気になりますね。
あやや
ただ、ちょっと心配なのが‥‥
この、日テレの、タイトルと設定で
すごく引っ張られる感じ、
『俺のスカート、どこ行った?』と
同じ手法を感じるんですよ。
森下
ああーーー。
荒井
ああ‥‥。
あやや
私たち、まんまと釣られてるんじゃないかと。
──
ん? 『俺のスカート、どこ行った?』って、
前に、おすすめに選んだやつですよね?
あやや
ええ。つまり、やっちゃったなと。
荒井
まあ、その‥‥でしたね。
森下
期待したんだけどねー。
思ってたほどの爆発は‥‥かね。
──
おお、そうでしたか。
いや、でも、このコンテンツは
予想を当てることが目的ではありません。
森下
そうなんですけどねー。
荒井
気にしちゃいますよね、やっぱり。
──
いやいやいやいや。
だいたい、この座談会を収録してるのは、
第1話が放送される1ヵ月前ですからね。
情報もすごく少ないですし。
あやや
だから、まぁ、絶対当てよう、
というわけではないですけど、
ひとりのドラマファンとして
ふつうにおもしろいドラマを見たい、
という気持ちで言わせてもらうなら、
最近、タイトルとか設定で、
いかにも気を引く感じのドラマが
けっこう増えている気がして。
森下
あー、なるほど、ちょっとわかる。
あやや
いや、タイトルがおもしろそうなのは
ドラマにとってすごく重要なんですけど、
ちょっとマーケティング的というか、
釣ってる? 釣られてる?
と思うようなことがしばしば。
荒井
わかります。
──
ようするに、中身よりも、
おもしろく見えるかどうか、ということですね。
あやや
でも、案外、それが
ふだんドラマを見ないような視聴者を
連れてくることもあるので、
いいこともあるんだと思いますけど。
森下
そうですねー。
──
ドラマの話に戻りましょう。
公式サイトによると、主人公は31歳。
6年前から無職のニート。
しかし、口げんかだけは誰にも負けない
という特殊能力があり、屁理屈を駆使し、
自分のダメさを誤魔化し続けて生きてきた。
荒井
それで『俺の話は長い』なんですね。
森下
おもしろそうですけど、
この手のキャラクターは
そもそも先人キャラがいっぱいです。
たとえば、『デート』の長谷川博己さん。
あやや
あー、たしかに、たしかに。
森下
屁理屈タイプで。
荒井
高等遊民で。
森下
話は長い。
あやや
『デート』の長谷川さんはすばらし過ぎですよ。
荒井
あれこそ屁理屈ですね。
森下
ほかにも秀逸な屁理屈キャラは
みなさん思い浮かぶと思いますが、
ドラマオタクとしてはおニュー屁理屈キャラとして
フレッシュなインパクトを期待したい!
あやや
でも、私ね、けっこう行けると思いますよ。
生田斗真さんって
『いだてん』に出てますけど、見てます?
森下
見てます、見てます。
あやや
生田斗真さん、
コメディーやらせるとすごくいいんですよ。
ぼんぼんで、お兄ちゃんみたいに優秀じゃなくて、
五輪代表に選ばれたけど、結果を出せなくて、
挫折するし、メンタル弱いし、
みたいな葛藤があって。
一見バカっぽいんだけど、ただのバカじゃない。
そういう葛藤系の役は、生田斗真くん、
かなりハマるかもという気はします。
森下
ああ、そうですね。たしかに。
あやや
ニートなんだけど屁理屈で、
理想とのギャップに葛藤する、
みたいなことですよね。
『いだてん』を見るかぎり、
生田斗真くん、芝居としては得意分野かなと。
荒井
そのへんのノリって、
共演者の影響も大きいと思うんですけど、
いいですよね、安田顕さんとか。
あやや
いいですね。
あ、ハマカーンの浜谷健司さんがいる。
森下
小池栄子さんも、
なかなかのコメディエンヌですよ。
荒井
まわりもよさそうですね。
となると、気になるのが脚本。
──
脚本は、金子茂樹さんです。
森下
『もみ消して冬』の方ですよね。
私、わりと好きだった、これ。
ばかばかしい話なのに、なんだかんだ、
気づいたらぜんぶ見ちゃってた(笑)。
あやや
わかります!
金子さんの作品って、
つい見ちゃうんですよね。
森下
見ちゃう、見ちゃう。
荒井
筋の強さみたいなものがあって、
ちょっとくせになるところがありますね。
森下
あとは話がどこに向かうかですね。
屁理屈を言う主人公が
けっきょくニートから脱却するのか、
周囲が影響されていくのか‥‥。
そのあたりがたのしみですね。
あやや
またついつい見ちゃいそう。
森下
うん(笑)。

(まだ続きますよー)

2019-10-14-MON

前へ目次ページへ次へ