第６回コメディーからシリアスへ期待の１本！そして、今季のおすすめドラマは？ | ほぼ日テレビガイドシリーズ秋の連ドラチェック2019 あややとふたりのプロフェッショナル

春と秋の年２回、
連ドラがはじまるころに掲載される。
ほぼ日名物「連ドラチェック」です！
ほぼ日刊イトイ新聞が誇る、
超弩級テレビッ子、あややが
脚本家、森下佳子さんと
マンガ家、荒井清和さんといっしょに
今季の連続ドラマについて熱く語ります。
ときに本質をえぐり、しばしば昔話に花を咲かせ、
しょっちゅう脱線する、たいへん自由な雑談。
例によって長くなると思いますので、
どうぞのんびりおたのしみください。
進行は、ドラマのことはまったくの素人、
「ほぼ日」の永田が担当します。
味わい深いイラストは、
「沼のハナヨメ」でお馴染み、
「気仙沼のほぼ日」のサユミが担当。
それでは、はじめますよー！

＞ドラマ好きの３人を紹介します。

ほぼ日刊イトイ新聞随一のテレビッ子。
どんなに忙しくても録画したドラマは必ずチェック。
毎週発表される視聴率なども無意味に把握。
幼少期から蓄積されたテレビの知識は無尽蔵。

漫画家・イラストレーター。高品質な似顔絵には定評が。
ドラマ、スポーツ、バラエティー番組などが好き。
キャラクターデザインを手がけた
『伊勢志摩ミステリー案内偽りの黒真珠』が
Nintendo Switch、PS4、Steamで配信中。

脚本家。『JIN-仁-』『白夜行』『義母と娘のブルース』
大河ドラマ『おんな城主直虎』など、数々の名作を生みだす。
ＮＨＫ朝ドラ『ごちそうさん』で向田邦子賞を受賞。
新作の『だから私は推しました』も大好評。

あやや: いよいよ最後の１本です。
『ニッポンノワールー刑事Ｙの反乱ー』。

荒井: 日テレ、日曜の夜は、
『今日から俺は！！』と同じ枠ですね。

森下: しかも主演は同じ賀来賢人さん。

荒井: ということは、
『今日から俺は！！』で
あの不良の役をやった賀来賢人さんが、
同じ枠で今度はシリアスな役を
やるってことですか。

あやや: あ、そういうことですね。
『今日から俺は！！』見てました？

森下: はーい、見てました！
大好きでした。

あやや: おもしろかったですよねー。
賀来賢人さんが演じた三橋、大好きー。
だから、逆にちょっと心配なのは、
賀来賢人くんがいま何を演っても
笑っちゃうかも、という可能性があって。

森下: それ、わかる（笑）。
私も三橋を愛しすぎているがゆえに、
あれ？　なんで三橋じゃないの？
って思ってしまう。

あやや: そう、そう、そう、
（公式ページを見ながら）
こんな真面目な顔されても‥‥
って思っちゃう。

森下: 復活しないかな、三橋。

あやや: 三橋、めっちゃおもしろかったよね！

──: 違うドラマの話になってる。

森下: そう、だから、ほんと、
ドラマって難しいなと思うのが、
あまりにウケたハマり役があると、
ほんとにそのイメージになっちゃうんですよ。

荒井: それは、そうですね。

あやや: その役の印象が強すぎて、
みんながそれを期待しちゃうから。

森下: それほどウケたんですよね、
『今日から俺は！！』。

──: 糸井さんも大好きで、
ずっと見てましたよ、あのドラマ。

あやや: うちも録画したのを何回も観てました。
家族でたのしめるドラマでしたよね。

森下: あのあとカラオケ行ったらさ、
ちっちゃい子まで、
みんな歌ってたもんね、『男の勲章』。

あやや: つっぱることがおとこのー♪

森下: つっぱったことねーだろ、
みたいな子が合唱してた（笑）。

──: 小さい子もおもしろがってるってすごいね。
なんでだろう。だって、昔の不良ですよ？
昔のヤンキーがそんなにおもしろかった？

森下: あれはね、私、
時代劇なんじゃないかと思った。

あやや: あーーー。

荒井: なるほど！

森下: 私たちが昔、チャンバラを見てたように、
今の子たちは、あれを
コスプレとか時代劇だと思って
見てるんじゃないかな。

荒井: 現実感ないんだ。

森下: いまの子たちからすると時代劇。

あやや: それで私、納得しました。
大根監督の『SUNNY』って映画、
あるじゃないですか。

森下: ああ、1990年代が舞台の。

あやや: そうそう、あの映画って、
コギャルとか出てきて、
私とまったく同世代なんですよ。
だから、私からすると、
あの映画の延長線上にふつうにいまがあって、
違和感まったくないから、
「わぁー、かわいいー」とか言って見てたら、
うちの娘が「ダッサ！」って言ったんですよ。

森下: ははははは。

荒井: ははははは。

あやや: 私、ほんとにショックで。
ダサいの？　これ、ダサい？って訊いたら、
うん、ダサい、って小学生に言われた。

森下: 「ダッサ」（笑）。

あやや: そっかぁーと思って。
つまり、コスプレだと思ってるんだね。
ルーズソックス、ガングロ、細眉とかは。

森下: そうそう、だから、時代劇。

あやや: すっごいショックだった。
だから、『今日から俺は！！』も
子どもたちは時代劇としてウケてて、
三橋たちのこともコスプレ感覚なんですね。

荒井: まあ、たしかに、ああいう人は、
いままわりにいないでしょうから。

あやや: そういえば私、保育園のころ、
高校生のおねえさんたちが
聖子ちゃんカットしてて、
なんでみんな同じ髪型してるんだろう‥‥
と思ってた。

森下: サイドを外側に巻いてね、
前髪で眉毛隠してね。
私は、あれ、リアル世代なんだよねー。
だから、逆に違和感なし。

あやや: あ、それって、
『今日から俺は！！』の、理子ちゃんだ。

森下: コスプレとか時代劇と考えるとね、
意外とあれもウケるんじゃない？
浜崎あゆみさんの『Ｍ』のドラマ化。

あやや: いけます！　それはいけます！

荒井: ていうかもう動いてるのでは。

あやや: むしろ、映画化？

森下: ありそう、映画化。

──: ‥‥あの、みなさん、ぼちぼち。

森下: はい。

荒井: はい。

あやや: はい。

──: さきほどから、まったく、ぜんぜん、
『ニッポンノワール』の話をしてません。

あやや: そうだそうだ、
『ニッポンノワール』の話だった。

荒井: これ「ニッポンのワル」っていう意味なのかな？

森下: 「ノワール」が黒とか闇だから、
「日本の闇」と「日本の悪」と
両方の意味をかけてるのかも？

あやや: ダジャレ？　おちゃめ？
でもこれ、コメディーじゃないですよね。

──: どシリアスっぽいですよ。
朝起きたら同僚の女性刑事が死んでいて、
自分の手に拳銃があるんだけど、
記憶がない‥‥というはじまりです。

あやや: ヤバい。

森下: 最初、いきなり、広末涼子さんが
死体で発見されるんですね。

荒井: え、そうなの？
それはシリアス。

あやや: ほんと、三橋の役とは正反対ですね、
賀来賢人さん。

森下: でも、賀来賢人くんって、
実はお芝居もうまいし、歌もうまいし、
いろいろできる子なんですよね。

あやや: そうそう、『Nのために』とか、
すごくよかったです。
賀来千香子さんの甥っ子が、
ついにここまで来ましたねぇ。

森下: よかったよねぇ。

──: 親戚か。

あやや: そういうことでいうと、
私、つねづね不思議に思ってることがあって。
賀来賢人くんは、
賀来千香子さんの甥っ子でしょ。
それから『今日から俺は！！』つながりで、
太賀くんのお父さんは中野英雄さんですよね。
で、安藤サクラちゃんのお父さんは
奥田瑛二さんでしょ。
お芝居がぜんぜん違うと思いません？

森下: そういえば‥‥。
お芝居って、親の影響より、
時代の影響のほうが強いってこと？

荒井: そうかもしれないですね。
だから、親が俳優さんの場合、
いちばんの影響は
「自分もお芝居をはじめた」ということで。

あやや: あー、なるほど。

──: 親と同じ劇団、とかだったら、
影響あるのかもしれないですけどね。

あやや: つまり、お芝居って遺伝しないんですね。
で、つぎの世代のお芝居は、
時代に沿って進化していくというか、
アップデートされていく。
そういうのって、不思議でおもしろいですよね。

森下: おもしろいですよね、お芝居って。

荒井: で、賀来賢人さん主演のこのドラマ。

あやや: 日テレのこの枠は、
大当たりの枠ですよねー。

荒井: 『今日から俺は！！』
『３年Ａ組』『あなたの番です』と来て、
この『ニッポンノワール』。

森下: 当たりそう、このドラマも。

あやや: 枠で当たるってありますよね。
しかも、今回の『ニッポンノワール』、
この枠で結果を出している
「結末が気になるミステリー」ですし。

──: 公式ページのコメントを読むと、
出演者のみなさんが口をそろえて
脚本がおもしろいとおっしゃってますね。
先が読めない展開でわくわくしたとか、
新たなチャレンジを感じるとか。

森下: 役者のみなさんの
こういう評判って大切ですよね。
これはおもしろくなるんじゃないかな。

あやや: おもしろそうですよ。
私、これイチオシにしようかな。
脚本の武藤将吾さんって、いいですよね。
『クローズZERO』『テルマエ・ロマエ』とか。

荒井: 資料によれば、『若者たち2014』
『ジョーカー許されざる捜査官』
『電車男』とかも。
最近では同じ枠の『３年Ａ組』ですね。

森下: 引き込む力がありますよね。
話のさわりを聞いただけでおもしろそう。

あやや: 切り口がいいんですよね。
で、なんだかんだ言って、
最終回まで気になっちゃう、みたいな。

荒井: 今回は『今日から俺は！！』とはまた別の
シリアスな演技に期待したいですね。
三橋でブレイクしましたけど、
この路線の役で当たったら、
賀来賢人くん、また格が上がりますよ。

あやや: かく‥‥。

森下: かくくんのかく‥‥。

荒井: ああっ、いや、そういう意味じゃない、
コメディーもシリアスもいける、
ということで、格が上がります、と。

あやや: 賀来だけに‥‥。

森下: 格が‥‥。

荒井: そういう意味じゃなく！

●おすすめの３本

──: はい、それでは、
今期のドラマからおすすめのものを、
それぞれ３本ずつ選んでください。
まずは、あやちゃんから。

あやや: はい‥‥。
『チート』
『決してマネしないでください。』
『少年寅次郎』

──: ありがとうございます。
じゃあ、森下さん。

森下: 私は‥‥
『まだ結婚できない男』
『決してマネしないでください。』
『ニッポンノワール』

──: おーー。

あやや: 森下さん激推し漫画原作のドラマが２票。

森下: マンガは、ほんっとおもしろいのよ！
クドいな私も（笑）。

荒井: ははははは。

あやや: こんな森下さん、見たことないですよ。

──: 最後、荒井先生、お願いします。

荒井: うーん‥‥
結局『まだ結婚できない男』に入れますね。
それと『ニッポンノワール』。

──: お。

荒井: あと１本‥‥うーん、難しいなぁ。
ベタですけど、日曜９時、入れとこう、
『グランメゾン東京』。

あやや: おー。

森下: おー。

──: はい、出そろいました。
えーっとですね。
『決してマネしないでください。』と
『まだ結婚できない男』と
『ニッポンノワール』が２票ずつ入りました。

荒井: ほう。

──: 森下さんの選んだ３本が、
ぜんぶ２票入ってますね。

森下: お、すごい。
私、超王道な女ってこと？
これから私のことを
「ど真ん中の女」と呼んでください。

あやや: 絶対違います。絶対違います。

荒井: どちらかというと端っこでは。

森下: いいえ、ミスど真ん中！
ミスじゃないけど（笑）。

あやや: ぜんぜんど真ん中じゃない。

荒井: 端っこ女王。

──: めずらしいですね。
森下さんの選んだ３本が
そのまま残ってるのは。

森下: 私の大衆性ったら、もう！

あやや: 違います。
娘さんに却下されます。

荒井: しかし、どうしますか。
票数的に３本が並びました。

──: はい、協議してください。

あやや: じゃあ、攻めますか！
森下さん激推し漫画原作の‥‥。

森下: うーん‥‥ちょっとデンジャラスだよ。

あやや: 信じる。ＮＨＫのスタッフを。

森下: 信じてないわけじゃないよ。
でも‥‥。

荒井: あんなに推してたのに（笑）。

森下: 推しと不安はセットなのよー。
私もええ歳やからね。
愛で目が眩んでるとこもあんだろうな、
とか、多少の自覚はある。

──: 「愛で目が眩む」（笑）。

あやや: じゃあ今回、
３本かぶってる森下さんが、
おすすめの１本を決めてください。

荒井: それはいいかもしれない。

森下: ええー！　そんなー！
どうしよう‥‥いや、ちょっとそれは。

──: じゃあ、荒井先生がまず絞りましょう。
荒井先生は２つ候補に入ってるんですけど、
どっちかといえば、どっちですか？
『まだ結婚できない男』と
『ニッポンノワール』。

荒井: うーん‥‥『まだ結婚できない男』は、
12年ぶりとはいえ続編だから、
１回見てるなっていう気持ちも
ちょっとあるんですよね。

森下: なるほど。

荒井: 『ニッポンノワール』は、
まったく得体が知れないので、
どちらかを選ぶなら、
新作のこっちを選びます。

──: じゃあ、おもしろそうですけど、
『まだ結婚できない男』は外しましょう。

あやや: はい。

森下: はい。

──: じゃあ、
『ニッポンノワール』か
『決してマネしないでください。』のどっちか。
森下さんが決める、っていうので、
いいんじゃないですか。

森下: うーん‥‥‥‥
『ニッポンノワール』かな。

あやや: どうしてなんですか。
弱気じゃないですか。
森下さんらしくないですよ。

森下: いやほんとに‥‥
うーん、なんていうかなー。

あやや: 森下さん守りに入ってますよ、
最後の最後で。

森下: ほんとに？

あやや: 置きに行ってますよ、最後の最後で。

森下: 大ケガしても知らないよ、ほんとに。

あやや: ケガなんてないから、このコーナーに。

──: まあね（笑）。

森下: そうだよね、
いっぱいケガしてるもんね！

あやや: そもそもこのコーナーにケガなんてない。

荒井: はっはっはっは。

──: 当たったら素直によろこんで、
ハズしたときは気にしない！

森下: でもね、でも‥‥
やっぱり『ニッポンノワール』！

──: おー、なるほど。

森下: なぜかと言うと、
激推しの漫画が原作の
『決してマネしないでください。』は、
私、もう話を知っちゃってるので。
純粋に見るときのたのしみが
『ニッポンノワール』のほうが
大きいんですよ。

あやや: あー、なるほど。
ひとりのドラマファンとして。

森下: うん。今回はまったく個人的な理由です。

荒井: いいんじゃないでしょうか。

──: 決まりました！
2019年、秋のおすすめの１本は
『ニッポンノワール』です！

あやや: はい（拍手）。

森下: わー（拍手）

荒井: たのしみです（拍手）。

──: けっきょく最後に語った１本でしたね。

あやや: でも、ほんと、おもしろそうですよ。
ありがとうございましたー！
なんだかんだ言って‥‥
また４時間以上（笑）。

森下: 今回、わりとまとまって、
効率よくしゃべったような気がしてたけど、
けっきょく４時間超え（笑）。

あやや: ５時間半しゃべったことありますからね、昔。

荒井: どうしてもこうなりますね。

──: ありがとうございました！

あやや: ありがとうございました！
またお願いしますー！

一同: ありがとうございましたー！

落ち着いてください。
ぼくも落ち着いて告知します。
あ、ぼくというのは永田です。
最初に言っておきますけど、
これ、まだ企画中なので
どうなるかわかりませんからね？

お伝えしておりますように、
渋谷のPARCOがリニューアルし、
私たちほぼ日もそこに
自分たちの場所を持つことになりました。
（それについてくわしくはこちらをどうぞ）

そこではさまざまなほぼ日の企画が
催されることになっているのですが‥‥‥‥
この「連ドラチェック」の
リアルトークイベントができないかな、
と思っているのです。

で、とりあえず、先日の収録のときに、
雑談の流れのなかで言ってみたわけです。
「この連ドラチェックのトーク、
お客さん入れてやってみませんか？」と。
渋谷のPARCOで、50人とか100人とか、
ちゃんとチケット売って、たっぷり２時間とか。

そしたらですね‥‥
みなさん、「いいんじゃない？」と。
え、いいんですか、と。

そういうわけで、
いまから具体的に計画を練っていきますが、
ざっくり言うと、12月中に、渋谷のPARCOで、
たぶん、夜の遅めの時間帯で、
「なま連ドラチェック」を開催します、
いや、まだ断言できない、開催したいです！

くわしくは決まり次第、ほぼ日で発表します。
「その情報ちゃんと知りたい」という人は、
以下のほぼ日のSNSをチェックしたり、
登録したり、フォローしたりすると
いいのではないかと思います。

なんだか、どうなるのか、自分たちでも、
よくわかってませんが、
やるからにはとても盛り上げますので、
どうぞご期待ください。

ていうか、集まるかしら、お客さん。
いや、そういうこと言ってないでがんばります。
どうぞよろしくお願いします！

（おしまい）

2019-10-16-WED