- 『屋根裏のポムネンカ』編
チェコのアニメーションって、 ヤン・シュヴァンクマイエルを ちょっと観たことがあるくらいで、 他はあんまり知らなくて。 シュヴァンクマイエルは、 すごいんだけど、 ちょっと心が暗くなって、 どよーんてしちゃうんです。 でもそれが気持ちよくもあったりして 嫌いじゃないっていう タイプだったんですね。 で、きっとその流れなんだろうなと 勝手に思い込んで観たら、全く違くて! ほんとに、 それこそ『トイストーリー』的な、 でも、ちょっと暗いところだったり 気持ち悪いところがあるっていうのが、 すごく好きでした。 そういう、ちょっと変なところが。 | |
ちょっと変だよね。 | |
うん。でも好きそう、みんな。 | |
ちょっと変。 | |
ちょっと変。 | |
ちょっと変な。 | |
ちょっと気持ち悪いとこが。 | |
それってすごくチェコ的じゃないですか? | |
そうですね。このクマももうちょっと 普通だったら甘ーい顔になりますよね。 でも甘くない。 | |
ちょっとロンパリ。 全部わざとですよね、何か。 | |
これって、こういう人形が あったんじゃなくて 作ったんでしたっけ? | |
作ってますね。 お友達のズボンのスウェットを 研磨させて、貼り付けたって。 | |
プラハにはアンティーク屋が 多いんですってね。 そこでいろいろ監督が集めて 作ったっていうのは聞いてますね。 | |
その分野、得意です! | |
がらくた屋さんが多いんですってね。 | |
アンティークっていうか バザールっていう、 古道具屋さん。 | |
ほんとに埃の中にものがあるようなとこ。 | |
そもそも人形とかも、 あんまり全体的に可愛くないんですよね。 だから、クマのムハなんて 可愛い方だと思います(笑)。 まず屋根裏部屋って、 たとえ一軒家でも ひと世帯で住んでるってことは ほとんど少なくて、だいたい一軒家でも 2世帯から3世帯で フロアーごとに分かれて 住んでたりするんです。 そうすると地下室と屋根裏部屋は 共用なんですよ。 で、屋根裏部屋は、皆さんが共有で 洗濯物を干す場所なんですね。 | |
地下はどうですか? | |
地下室は共有じゃなくて ひと世帯ずつ鍵のかかる スペースを貰ってて、 そこを物置にしてます。 屋根裏部屋は 主は洗濯物干し場なんだけど、 やっぱり物が溜まっていて・・・ だからほんとに あそこに出て来るものって、 どこの家にも必ずあったけど、 今では屋根裏に 捨て去られて 忘れられちゃってるようなものばっかりで 構成されてるっていうのがすごく面白くて。 飛行機が出て来ますよね? | |
うん、うん。 | |
あの飛行機の本体はあれ、 掃除機なんですよ。 だから電気のコードが付いてるわけ。 | |
あ! | |
だから、びよーんと切れちゃう。 | |
切れちゃう。 | |
多分、今の子どもたちが観ても 何だか分からないようなものが 至る所にものすごく使われてて。 絶対どこの家にも必ず屋根裏部屋はあって、 使わない寝具が突っ込まれてたりとか、 埃まみれだったりとか。 | |
そこに干すんだもんなぁ。 | |
お日様の匂いみたいなのはないんですか? | |
日照時間がすごく短いのと、 お日様がなくても すごい空気が乾燥してるので、 家干しでもあっという間に 乾いちゃうんですよ。 匂いも気になる間もなく乾いちゃうの。 そもそも外に干すようなところがない。 あと、昔は 石炭使ってたっていうのもあるんで、 わりと汚れたんだって、洗濯物干すと。 | |
なるほどねえ。 ところで、みんな、誰が好きでした? | |
シュブルト。 頑張り屋さん。 鼻がエンピツのちびたやつっていうのがね。 | |
何か微妙にこの子、 おじさんなところが面白いんですよね。 頭もちょっと禿げてる。 | |
そして、 どんなにぺっちゃんこになっても大丈夫。 おなじおじさんとして、 勇気をいただきます。 | |
(笑)。ね、あの再生能力。 わたしは、やっぱり、ムハが。 寝るところとかが可愛かったー。 | |
寝てばっかりですよね。 | |
ベッドに使ってたのはあれ、 靴なんですよ、 室内履きの。 | |
私もムハが好きー。 | |
ムハ、人気ですね。 | |
はい。 最初、可愛いクマかなと思ってたら、 声がすごい低音で、 そのギャップにちょっとやられました。 | |
僕も食べ物持って歩いたり、 必ず歯を磨いたりする 几帳面なところが好きです。 | |
鼻も、靴墨みたいなので 磨いたりするんです。 お洒落さんなんですよね、実は。 | |
クラソンは? 多分人気がないね。 | |
おっさんて呼ばれたりしますからね。 | |
ずっと闘い続けてるんでしょ、毎日。 | |
頑張ってるんですけどね。 | |
『どですかでん』みたいだったね。 | |
あー、そうですね。 | |
また古いこと言うね。 | |
『どですかでん』ですね。 | |
分かる人は分かると思うんですけど。 | |
このクラソンとムハは すごいチェコ人ぽいなと思いました。 | |
チェコっぽいんですか、 チェコ人ぽいんだ、へえ。 | |
一徹なところとか、 訳分かんないところとか(笑)、 1つのことしかやらないところとか。 とくにムハは何かゆっくりでしょ。 で、いつも食べ物持っていて‥‥ かつてのチェコでは、 お店も少なかったし、 お店自体にもものがなかったし、 だからちょっとどこか行く時に、 リンゴやパンを持っていくのは 当たり前だったのね。 で、こう、最後にちゃんとひと切れ、 ポムネンカに ケーキ残しておいてあげようとかって 言ってるわりには結構しっかり 自分の分は確保してるみたいなところが いちいちチェコっぽいなぁと。 クラソンはしっかり騎士道を貫いていて、 ポムネンカ(女性)に対する態度も まさに騎士でしょう? | |
へえー。 | |
で、キュリーなんかは あんまりチェコ人にはいないタイプです。 まず機転が利くなんていう言葉は この国の人にはちょっとあり得ない。 | |
面白い。 | |
ひどい言い方!(笑) | |
私が言ったんじゃなくて、 チェコ人が言ったのよ〜。 次のことを考えて仕事ができる人なんて チェコにはいないって。 | |
(笑)。 | |
すごーい。言い切ってる。 | |
言い切ってますね。 ポムネンカはチェコのヒロイン像としては ああいう感じなんですか? | |
チェコ人女性の名誉のために いっておきますが、 実物のチェコの女性は とても美人です、ホントに。 なのに、 バービー人形のようにならないところが いかにもチェコっぽい。 あの寝ぼけた感じとか。 | |
半目ですよね、いつもね。 でも意外と気が強いんですよね。 灰かぶり姫にされても、 ずーっと気丈でしたよね。 キー! みたいな。 囚われててもがーっとかやって、 | |
そう、ああいうのもチェコの 女の人なんですかね。 | |
チェコ女性は気が強いですよ。 一度、知り合いのオジサンが目の回りに 痣を作ってきたので、 どうしたの? って他の人に訊いたら、 奥さんに殴られたんだって‥‥ 若い子も、デートでBFが5分遅れたら 待たないっていいますもん。 | |
あ、やっぱり強いんだ。 プロデューサーが、ポムネンカは 主人公なのに 可愛くないねみたいなことを 監督に言ったら、 「うん? 可愛いじゃない」 っつって、それでもう終わったらしいです。 | |
何も言えなかった(笑)。 | |
しょうがないね。 | |
でも、ポムネンカがあまり可愛い過ぎると やっぱりチェコっぽくなくなっちゃうんで。 あまり可愛くないポムネンカのために これだけ、みんなが助けに行く、 そこがチェコっぽいかな? | |
(笑)。 | |
チェコのこの映画のホームページ、 この子が出て来ないんですよ。 ビックリしたよね、あれ。 |
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(つづきます!) |
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2009-08-13-THU |
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(c)BIO ILLUSION s.r.o. |