『屋根裏のポムネンカ』編


第5回 チェコで芸術家として生きるって。
shino
これ。
シェフ
うん、何ですか?
shino
実は、わたしの友だちで、
イジー・バルタの
学生だった男の子が作ったの。
やえ
えー。
シェフ
その、最難関の!
shino
これ、ゾウなんですが。

ゆーないと
妙! 足、長!
可愛いー。
シェフ
可愛い、超可愛い。
よしくみ
すごい可愛い。
やえ
可愛い。
shino
普通にこんな感じなんですよ。
山下
普通に(笑)。
シェフ
こういう子たちは
どういう仕事をしてるんですか、今?
shino
彼は今、
えっとグラフィックの仕事してますね。
アニメーション、
作らせてあげたいんですけどね、ほんとに。
やえ
そうですね、なかなか難しいですよね。
シェフ
アニメーション学科ですもんね。
難しいですよね。お金かかりますからね。
shino
卒業制作のときに
アニメを作ったんですけど、
お金がなくて5秒でした。
やえ
ゴビョー!

shino
絵コンテは全部できてましたけど、
実際アニメになったら5秒でした。
バルタ教授がまだウンプルンで教えてた頃に
開いた学生の展覧会もかなり、面白くて。
期末毎にあるんですけどね、
歴代の学生のアニメがモニターで流れて、
すごく面白かった。
みんな、こんな感じの緩さですよ。緩いの。
シェフ
卒業制作も、
学内評議員と学外評議員が来て、
ずらーっと裁判のように並ぶんだって。
そこにちゃんとブラックタイをして、
作品を見せて説明をして、
どんな質疑にも
応答しなきゃいけないんだって。
卒業がかかっているだけでなく、
そこで最高点を取らなければ
その後の芸術人生に関わるから、
ものすごい緊張して、
卒業を目指すんだって。
へえー。
シェフ
と、shinoさんから聞きました。
shino
終わって泣き出しちゃう学生もいたりして、
そのくらいみんな緊張してました。
よしくみ
その、最近の若い子の作品も
観てみたいですよね。
なかなか観る機会がないですもんね。
シェフ
あ、絵本を買って来たのがあるんです。
やえ
あ、うん、うん、うん。
シェフ
刺繍作家。
その子はね、女の子なんだけど、
卒業製作に、刺繍でものすごく大きな
旅行記の本をつくったんだって。
その子は今、絵本作家。
ちなみに、卒業したら、芸術家は、
どんな分野の芸術をやってもいいんだって。
人形作ってもいいし、油絵描いてもいいし、
版画やってもいいし、
彫刻家やってもいいんだって。
芸術家だから。
山下
それって国家資格なんですかね。
シェフ
共産主義の時代はそうだったんじゃない?
国家資格。
ぐっさん
その資格があったら何か優遇されるんですか?
shino
えっとね、共産時代は
優遇されるどころか、それなしでは
職業としての芸術家にはなれなかったの。
一般の人は画材を買うことも
できなかったのよ。
むかしは税率も違ったし、
勝手に自己申告で
芸術家になれるわけじゃなかったの。
国家資格を持って、
さらに選ばれた人だけが
国外に作品を売ることができたのね。
外貨制限のあった時代だから、
それはすごい特権。
あと、住まいとは別に
アトリエを持つことが許された。
もっとすごい人になると政府からアトリエを
提供される人もいたり。
日本では自由に当たり前にできることが、
ここでは国家資格がないとできなかったのね。
山下
じゃ今は、現実的にはそれが権威として
残ってるということなんでしょうね。
shino
自由表現が規制されていた時代だから
貧乏な人も多かったはずだけど、
教授クラスになるととても尊敬されるし、
文化人としての意識はありますね。
ただ、
今はその権威で生活できている人もいれば
いない人もいるわけで‥‥
シェフ
純粋にアートで稼げる人は
そうそういないと思う。
よしくみ
うーん。
山下
日本はね、名刺作れば、
だれでもアーティスト。
シェフ
そういうところはあるね。
で、これが、その刺繍の子の絵本です。

よしくみ
うわ。可愛いー。
やえ
可愛いっ。
シェフ
『コーヒーの泡から生まれた猫』
っていうタイトルらしいです。

よしくみ
日本人が作ると
絶対こういうふうにはならない。
山下
その雰囲気を出そうとする人、
いますけどね、
よしくみ
でも出ないんですよね、
何でなんでしょうね。
あの緩さが多分ないんでしょうね。
こういう造形は真似して作れたとしても
さらに、動きとかになるとだめですね。
シェフ
緻密だったり、説明的だったり、
ちゃんと脈絡を作ったり。
ゆーないと
ちゃんとしたくなっちゃう。
shino
そう、私もゆるいものつくりに
憧れてるんだけど
自分がやると
ただの「手抜き」になっちゃう。
そういうところは、
本当にかなわないな、と思う。
シェフ
理屈を考えちゃいますよねえ。うん。
shino
そもそも、結論が出ないとかいうことに
関して全く平気なんですよね。
平気だし、何時間も論議をして
最終的に結論が出なくても、
今日の話し合いは有意義だったって
言える人たちなので。
シェフ
その気配はありますね。
にしてはまとまってるよね。
よしくみ
にしてはまとまりましたね。
最後もちゃんと幸せになってるし。
シェフ
「今日は誰の誕生日?」っていう
あのサイコロゲームって
一般的なゲームなんですか?
shino
いや、あれは、創作だと思います。
でも、ケーキにパチパチパチパチって
花火がさしてあったでしょ。
シェフ
ありました、ありました、花火。
shino
あれは、あるの。
こっちの人って誕生日のときに
ケーキに花火さすのよ。
あれ、ひじょうに普通のことなの。
よしくみ
ケーキ、飛び散っちゃう。
シェフ
まずくなるよね。
shino
クリスマスツリーに花火、
ぶら下げたりとか、
全員
えー。
shino
結構やることは大胆で。
家の中のクリスマスツリーに
花火ぶら下げて火点けちゃうんですよね。
どうなのよって感じですけどね。
やえ
‥‥すごいですね。
ゆーないと
大胆。
シェフ
まあ、そもそも、
チェコのご飯は
あんまり口に合わないですよ。
外で食べると、なかなか‥‥
よしくみ
甘いものとか、もう大変なことに
なってしまいますよね。
イジー・バルタ監督が来日したときは、
フレッシュフルーツが
山盛りになったタルトが
とってもおいしいと
召し上がってらっしゃいました。
やえ
あははは、可愛い、バルタさん。
よしくみ
そうなんです。
バルタ監督がやっぱりすごい素敵。
頭もぱっさぱさで、
よれよれのジャケットで、
何て言うんでしょう、
背中からしてもう芸術家!
やまもと
哀愁も漂ってて。
よしくみ
哀愁あるね。で、もう製作以外は
何にも興味がないんだなっていう。
奥様もいらっしゃるんだけど、
でも製作に入っちゃうともう、
ほかのことは見えなくなっちゃうんですって。
山下
この作品そのもの、
みたいな感じの人だったと。
よしくみ
監督の元気の源、
ずーっと創作活動したり、
考えたりする源って
何なんですかって聞いたら、
「リンゴとヨーグルトだ」って(笑)。
山下
(笑)。
やえ
可愛いー。
ぐっさん
可愛い(笑)。
ぐっさん
ぼくだったら納豆!
山下
コーヒー!
シェフ
スパゲティ!
shino
チョコレート!
ゆーないと
カラオケ!
シェフ
なんだそれ。
やえ
ピカチュウ!
シェフ
‥‥ということで
チェコと日本をつなげての感激団、
おあとがよろしいようで。
ありがとうございました!
ありがとうございました!

2009-08-14-FRI

(c)BIO ILLUSION s.r.o.


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今回の感激団メンバー
シェフ 山下 やえ
ぐっさん ゆーないと shino
よしくみ やまもと  

感激団による
『屋根裏のポムネンカ』の
おおまかなあらすじ
くわしくは、こちら
『屋根裏のポムネンカ』
日本版公式サイト
8月1日よりユーロスペース、
シネマート心斎橋にてロードショー、
ほか全国順次公開

チェコ版公式サイト


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