- 『屋根裏のポムネンカ』編
これ。 | |
うん、何ですか? | |
実は、わたしの友だちで、 イジー・バルタの 学生だった男の子が作ったの。 | |
えー。 | |
その、最難関の! | |
これ、ゾウなんですが。 | |
妙! 足、長! 可愛いー。 | |
可愛い、超可愛い。 | |
すごい可愛い。 | |
可愛い。 | |
普通にこんな感じなんですよ。 | |
普通に(笑)。 | |
こういう子たちは どういう仕事をしてるんですか、今? | |
彼は今、 えっとグラフィックの仕事してますね。 アニメーション、 作らせてあげたいんですけどね、ほんとに。 | |
そうですね、なかなか難しいですよね。 | |
アニメーション学科ですもんね。 難しいですよね。お金かかりますからね。 | |
卒業制作のときに アニメを作ったんですけど、 お金がなくて5秒でした。 | |
ゴビョー! | |
絵コンテは全部できてましたけど、 実際アニメになったら5秒でした。 バルタ教授がまだウンプルンで教えてた頃に 開いた学生の展覧会もかなり、面白くて。 期末毎にあるんですけどね、 歴代の学生のアニメがモニターで流れて、 すごく面白かった。 みんな、こんな感じの緩さですよ。緩いの。 | |
卒業制作も、 学内評議員と学外評議員が来て、 ずらーっと裁判のように並ぶんだって。 そこにちゃんとブラックタイをして、 作品を見せて説明をして、 どんな質疑にも 応答しなきゃいけないんだって。 卒業がかかっているだけでなく、 そこで最高点を取らなければ その後の芸術人生に関わるから、 ものすごい緊張して、 卒業を目指すんだって。 | |
へえー。 | |
と、shinoさんから聞きました。 | |
終わって泣き出しちゃう学生もいたりして、 そのくらいみんな緊張してました。 |
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その、最近の若い子の作品も 観てみたいですよね。 なかなか観る機会がないですもんね。 | |
あ、絵本を買って来たのがあるんです。 | |
あ、うん、うん、うん。 | |
刺繍作家。 その子はね、女の子なんだけど、 卒業製作に、刺繍でものすごく大きな 旅行記の本をつくったんだって。 その子は今、絵本作家。 ちなみに、卒業したら、芸術家は、 どんな分野の芸術をやってもいいんだって。 人形作ってもいいし、油絵描いてもいいし、 版画やってもいいし、 彫刻家やってもいいんだって。 芸術家だから。 | |
それって国家資格なんですかね。 | |
共産主義の時代はそうだったんじゃない? 国家資格。 | |
その資格があったら何か優遇されるんですか? | |
えっとね、共産時代は 優遇されるどころか、それなしでは 職業としての芸術家にはなれなかったの。 一般の人は画材を買うことも できなかったのよ。 むかしは税率も違ったし、 勝手に自己申告で 芸術家になれるわけじゃなかったの。 国家資格を持って、 さらに選ばれた人だけが 国外に作品を売ることができたのね。 外貨制限のあった時代だから、 それはすごい特権。 あと、住まいとは別に アトリエを持つことが許された。 もっとすごい人になると政府からアトリエを 提供される人もいたり。 日本では自由に当たり前にできることが、 ここでは国家資格がないとできなかったのね。 | |
じゃ今は、現実的にはそれが権威として 残ってるということなんでしょうね。 | |
自由表現が規制されていた時代だから 貧乏な人も多かったはずだけど、 教授クラスになるととても尊敬されるし、 文化人としての意識はありますね。 ただ、 今はその権威で生活できている人もいれば いない人もいるわけで‥‥ | |
純粋にアートで稼げる人は そうそういないと思う。 | |
うーん。 | |
日本はね、名刺作れば、 だれでもアーティスト。 | |
そういうところはあるね。 で、これが、その刺繍の子の絵本です。 | |
うわ。可愛いー。 | |
可愛いっ。 | |
『コーヒーの泡から生まれた猫』 っていうタイトルらしいです。 | |
日本人が作ると 絶対こういうふうにはならない。 | |
その雰囲気を出そうとする人、 いますけどね、 | |
でも出ないんですよね、 何でなんでしょうね。 あの緩さが多分ないんでしょうね。 こういう造形は真似して作れたとしても さらに、動きとかになるとだめですね。 | |
緻密だったり、説明的だったり、 ちゃんと脈絡を作ったり。 | |
ちゃんとしたくなっちゃう。 | |
そう、私もゆるいものつくりに 憧れてるんだけど 自分がやると ただの「手抜き」になっちゃう。 そういうところは、 本当にかなわないな、と思う。 | |
理屈を考えちゃいますよねえ。うん。 | |
そもそも、結論が出ないとかいうことに 関して全く平気なんですよね。 平気だし、何時間も論議をして 最終的に結論が出なくても、 今日の話し合いは有意義だったって 言える人たちなので。 | |
その気配はありますね。 にしてはまとまってるよね。 | |
にしてはまとまりましたね。 最後もちゃんと幸せになってるし。 | |
「今日は誰の誕生日?」っていう あのサイコロゲームって 一般的なゲームなんですか? | |
いや、あれは、創作だと思います。 でも、ケーキにパチパチパチパチって 花火がさしてあったでしょ。 | |
ありました、ありました、花火。 | |
あれは、あるの。 こっちの人って誕生日のときに ケーキに花火さすのよ。 あれ、ひじょうに普通のことなの。 | |
ケーキ、飛び散っちゃう。 | |
まずくなるよね。 | |
クリスマスツリーに花火、 ぶら下げたりとか、 | |
全員 |
えー。 |
結構やることは大胆で。 家の中のクリスマスツリーに 花火ぶら下げて火点けちゃうんですよね。 どうなのよって感じですけどね。 | |
‥‥すごいですね。 | |
大胆。 | |
まあ、そもそも、 チェコのご飯は あんまり口に合わないですよ。 外で食べると、なかなか‥‥ | |
甘いものとか、もう大変なことに なってしまいますよね。 イジー・バルタ監督が来日したときは、 フレッシュフルーツが 山盛りになったタルトが とってもおいしいと 召し上がってらっしゃいました。 | |
あははは、可愛い、バルタさん。 | |
そうなんです。 バルタ監督がやっぱりすごい素敵。 頭もぱっさぱさで、 よれよれのジャケットで、 何て言うんでしょう、 背中からしてもう芸術家! |
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哀愁も漂ってて。 | |
哀愁あるね。で、もう製作以外は 何にも興味がないんだなっていう。 奥様もいらっしゃるんだけど、 でも製作に入っちゃうともう、 ほかのことは見えなくなっちゃうんですって。 | |
この作品そのもの、 みたいな感じの人だったと。 | |
監督の元気の源、 ずーっと創作活動したり、 考えたりする源って 何なんですかって聞いたら、 「リンゴとヨーグルトだ」って(笑)。 | |
(笑)。 | |
可愛いー。 | |
可愛い(笑)。 | |
ぼくだったら納豆! | |
コーヒー! | |
スパゲティ! | |
チョコレート! | |
カラオケ! | |
なんだそれ。 | |
ピカチュウ! |
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‥‥ということで チェコと日本をつなげての感激団、 おあとがよろしいようで。 ありがとうございました! | |
ありがとうございました! |
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2009-08-14-FRI |
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