
春と秋の連ドラがはじまるシーズンは、
脚本家の森下佳子さんと、
マンガ家の荒井清和さんと、
ほぼ日のテレビ好き乗組員あややが集まって、
ハイテンションでわいわいと
ドラマ談義を繰り広げるのですが、
うーん、まだまだこういうご時世です。
密な環境で、3時間とか4時間とか、
おしゃべりするのは、ちょっと難しい。
そんなわけで、春に続いて今回も、
あややが今季のおすすめドラマを語る、
ひとり語りバージョンでお届けします。
前後編の特別版をおたのしみください。
サユミちゃんの味わい深いイラストと、
永田の進行はいつもどおりです。
次回は、きっと3人で!
- あやや
- おもしろかったですねぇぇぇ、
『半沢直樹』!
- 永田
- 最高だった‥‥。
- あやや
- もう、名場面、名ゼリフ、オンパレード!
- 永田
- 好きなセリフは?
- あやや
- いろいろありますけど、
私がいちばん好きだったのは、あれです!
堺雅人さん演じる半沢直樹が言った‥‥
「おねしゃす」!
- 永田
- そっ、そこ?
- あやや
- えっ、あそこ、超おもしろくなかったですか?
- 永田
- いや、おもしろかったけどさ。
- あやや
- 大和田が
「お、おねが‥‥しゃす‥‥」
ってぼそぼそ言ったら、
あの半沢直樹が間髪を入れず
「おねしゃす?」ですよ。
「おねしゃす?」ですよ?
「おねしゃす?」ですよ?
- 永田
- わ、わかった、わかった。
いや、おもしろかったけど、
最高のセリフがそれかっていうことでさ。
- あやや
- じゃあ、永田さんはどのセリフですか?
- 永田
- オレは、あれだな!
やっぱり半沢直樹のセリフだけど、
東京中央銀行の車寄せに出てきた
大和田に直談判するシーン!
- あやや
- ああ、あそこ、しびれますよね!
- 永田
- よかったよねーー。
で、セリフで最高だったのが、
あの場面で半沢直樹が叫ぶ、
「エンジン切れーーー!!」
- あやや
- そっ、そこですか?
- 永田
- 最高だろ、あそこ。
車の前に立ちはだかって、
クラクション鳴らされて
「うるさいっ!」はわかるけど、そのあと、
「エンジン切れーー!」まで行く勢いが超好き。
運転手がつられてエンジン切っちゃうのも好き。
- あやや
- いや、ぜんぜんわかんない。
「おねしゃす?」でしょ。
- 永田
- 「エンジン切れーー!」だろ。
- あやや
- とにかく、『半沢直樹』、よかった!
7年待ったかいがありました!
- 永田
- 同感です!
日曜日がずっとたのしみだった。
- あやや
- というわけで、ご挨拶が遅れました!
こんにちは、ほぼ日のあややです!
おねしゃす!
- 永田
- 永田です!
エンジン切れーー!
- あやや
- ええと、なんでしたっけ。
- 永田
- まずは、ご説明を。
ほぼ日では、毎年、春と秋には、
「ほぼ日連ドラチェック」という、
座談会をやっているのです。
- あやや
- そうなんです、そうなんです。
脚本家の森下佳子さん、
漫画家の荒井清和さんと私の3人で
そのクールの連ドラについて
あれこれおしゃべりするのですが、
なにせ、ほら、こういうご時世で。
- 永田
- ドラマ好きの3人が集まって
ドラマについて3時間も4時間もしゃべる、
っていういつものようなことは
まだまだちょっと難しい、と。
- あやや
- いつも、ほんっとに、
何時間もしゃべっちゃうから、私たち。
かといってビデオ会議では、
あのクロストークのスピード感が出ない。
- 永田
- そういうわけで、前回に引き続き今回も、
3人の連ドラ座談会はお休みさせていただき、
そのかわりと言ってはなんですが、
前回同様、あやちゃんが注目するドラマを
いくつかピックアップする、
「ひとり連ドラチェック」をお届けします!
- あやや
- はい、よろしくお願いします!
まず‥‥ひとこと言っても、いいですか?
- 永田
- 言うんでしょ?
- あやや
- ここのところ、ドラマがおもしろいです!
- 永田
- あ、そうだよね、
なんか、そうじゃないかと思ってた。
- あやや
- はい! この夏のクールだけでいっても、
『半沢直樹』はもちろん、
『MIU404』は毎回何度も観直すほどハマったし、
最終回の展開にはびっくりしました。
『私の家政夫ナギサさん』もよかったし、
『妖怪シェアハウス』も好きだったなー。
- 永田
- おもしろくなった背景には、
なにかあるのかな。
- あやや
- やっぱり、Netflix、AmazonPrime、っていう、
海外の本気のドラマがおもしろくて、
みんながそういうものを
目指したんじゃないですかね。
- 永田
- あーー、なるほど。
- あやや
- やっぱり、お金と時間をかけて
真剣にドラマをつくるとおもしろいぞ、
っていうふうに思ったんじゃないでしょうか。
だから、この感じでいけば、
海外に負けない魅力を持つと思いますよ、
地上波の連ドラ。いや、ほんとに。
- 永田
- なるほど、なるほど。
- あやや
- その勢いは、この秋のドラマにも健在です!
各局力が入ってるのが伝わってきて、
観たい作品がたくさんありまーす。
そのなかで、とくに観たい8作品を
ピックアップしました。
- 永田
- よろしくお願いします。
行ってみましょう、まず1本目!
- あやや
- はい、まずはこれ、
『あのコの夢を見たんです。』!
- 永田
- ええと、テレビ東京、毎週金曜深夜0:12。
深夜の枠ですね。
- あやや
- はい、こちらは、
南海キャンディーズの
山里亮太さんの小説が原作で、
山ちゃん本人が、
毎回実在の女優さんをイメージして、
妄想するというお話だそうです。
どんなドラマになるのか未知数ではありますが、
仲野太賀さんが山ちゃん役をやるそうで、
ひとえに、太賀さんのお芝居が観たい、
ということで推します!
- 永田
- 太賀さんというと、あれだ、
『ゆとりですが何か』の。
- あやや
- そうそうそう、ゆとりモンスター!
あと、太賀さんは、最近だと
『今日から俺は』の今井役、
めっちゃおもしろかったー。
憎たらしい役をやってもどこか愛嬌があって、
真面目なお芝居もコメディもできる
万能選手で、私のなかでは、
「この人が出るなら、とりあえず観る!」
と決めている役者さんのひとりです。
太賀さんは、どちらかというと、
男性の役者さんとの絡みが印象深いので、
今回は、毎回違う女優さんと、
どんなふうな展開になるのかも興味あります!
- 永田
- なるほどー。つぎ、お願いします!
- あやや
- 「おねしゃす?」
- 永田
- いいから。
- あやや
- 続きましては、NHK総合、
毎週金曜日夜10時、
『タリオ 復讐代行の2人』。
- 永田
- ほう。タリオ。
- あやや
- どんなドラマだと思いますか、タリオ。
- 永田
- わかんないよ。
- あやや
- ダメもとで当ててみてください!
- 永田
- めんどくさいなあ。
ええと、じゃあ、タリオは、
エジプトの盗賊の末裔の墓泥棒!
- あやや
- ブブーーーーーッ!!
ぜんぜん違います!
- 永田
- さっさと紹介しなさい。
- あやや
- このドラマは、
浜辺美波さんと岡田将生さんのダブル主演。
いわゆるバディものの1話完結型オリジナル。
- 永田
- 資料によりますと、
この世には、悪事を働きながら罰せられず
のうのうと生きている人間たちが数多くいます。
ある者は巧みに法の網をかいくぐり、
またある者は金や権力を使って事件をもみ消す。
このドラマは、そういった泣き寝入りを
せざるを得ない被害者からの依頼を受け、
彼らの代わりに卑劣な悪人たちに復讐する事を
裏稼業とする元弁護士と詐欺師の物語‥‥。
- あやや
- 脚本は蒔田光治さんで、演出が木村ひさしさん。
ということはつまり『トリック』の名コンビ!
奇しくもこのドラマも男女コンビの作品なので、
なんとなく『トリック』みたいな、
会話は軽妙で展開が濃厚な
ドラマになることを期待しています!
主役は、浜辺美波ちゃん!
もともと勢いのある浜辺美波ちゃんですけど、
ここへ来て、ブレイクっぷりがさらに加速中。
前クールでは『私たちはどうかしている』で
主演してましたし、さらにその前のクールでも
『アリバイ崩し承ります』で主演してました。
この1年、ずーーっと出ずっぱりですよ、
しかも主演で!
そしてそして、こんなに働きまくっているのに、
表情が全く疲れてない!
顔色も悪くなってない!
若さって~、若さって~、すばらしい~♪
- 永田
- みんな仕事してるんで、歌わないでください。
- あやや
- もうちょっと語っていいですか?
浜辺美波ちゃんって、
ルックス的にはきれいで、シリアスで、
きちっとした役がお似合いになるのですが、
ここらあたりで一発くずれた、
しょーもない普通の女の子を
コミカルに演じてほしいんですよねぇ。
その昔、綾瀬はるかさんが、
『ホタルノヒカリ』で干物女をやったように。
あとね、永田さん、知ってますか?
「浜辺美波(はまべみなみ)」って、
いかにも芸名みたいだけど‥‥本名なんです!
- 永田
- 知ってます!
なぜなら、この連ドラチェックで、
浜辺美波さんが出てくると、
あなたがその話をかならずしてるからです!
- あやや
- 何度でもしますよ!
だって、「はまべ」に「美しい波」ですよ?
それであのかわいさですよ?
そんなん、漫画でしょ?
- 永田
- つぎのドラマを紹介してください。
- あやや
- はい、『恋する母たち』!
TBS系、毎週金曜日夜10時。
ついつい引き込まれてしまうタイトルですが、
それもそのはず、原作は柴門ふみさん!
ああ、私たちは柴門ふみさん原作のドラマを
いったい何年観続けているんでしょうか?
と思って調べてみたら‥‥
『同・級・生』は、なんと1989年でした。
つまり‥‥31年前! 息、長っ!
いかに柴門ふみさんが、
その時代や世代に合った作品を
描きつづけているか、ってことですよね。
- 永田
- ちなみに、
『東京ラブストーリー』は1991年、
『あすなろ白書』は1993年。
- あやや
- ああ、もう、何年前とか
数えるのはやめにしましょう。
で、今回の『恋する母たち』ですが、
もう、公式サイトの相関図を見るだけで、
お腹いっぱいになっちゃうくらいの
そうとうにドロドロな人間関係。
大石静さんの脚本なので、
とにかくそれぞれの人物の関わりを、
丁寧に、丁寧に、ときにはエグっ!
っていうくらいにやりきってほしいです。
- 永田
- 出演者はどんな感じですか。
- あやや
- 主役格のところでは、
木村佳乃さん、仲里依紗さん、
吉田羊さんというお三方なのですが、
個人的に注目しているのは、
磯村勇斗さん、森田望智さんという
若手俳優のおふたりです。
磯村さんは『今日から俺は』の相良役と
『きのう何食べた?』のジルベール役をみても、
同じ人とは思えないほどのカメレオン俳優ですし、
森田さんは、Netflix『全裸監督』の
黒木香さん役の抜擢で、
めちゃくちゃ爪痕残してましたよね。
このふたりが今回はどんなお芝居するのか?
とてもたのしみです!
- 永田
- なるほど、なるほど。
よし、一回、続きましょう。
残りの5本は次回に紹介!
- あやや
- ひとり語りなのに長くなってすみません!
2020-10-09-FRI