田中×糸井対談
担当・ふなわ
第5回 これいいな、を伝えたい
- 田中
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でも、発信してるんじゃないんですよね。
- 糸井
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受信してるんです。
- 田中
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はい。
- 糸井
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自分に言うことがない人間は書かないって思ってたら大間違いで。
- 田中
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そうなんです。
- 糸井
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読み手というか、「受け手であるっていうことを、思い切り伸び伸びと自由にこう、味わいたい!」って思って、「それを誰がやってくれるのかな」、「俺だよ」っていう。
- 田中
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そうなんです。
- 糸井
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今の言い方しかできないなぁ。
- 田中
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そうですね。映画を観ても、まぁいろんな、その映画自体を観ますね。次にいろんな人が今ネットでも雑誌でも評論をするじゃないですか。そうしたら、「何でこの中に、この見方はないのか?」。で、それを探してあったら、もう自分書かなくていいんですけど、「この見方、なんでないの?じゃあ、今夜俺書くの?」っていうことになるんですよね。
- 糸井
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あぁ、俺、なんであんなにおもしろいかっていうのと、書かないで済んでた時代のことが今やっと、広告屋だったからだ。
- 田中
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そうですね。
- 糸井
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因果な商売だねぇ。
- 田中
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そうなんです。広告屋はね、発信しないですもんね。
- 糸井
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しない。で、でも、受け手としては感性が絶対にあるわけで、
- 田中
-
はい。
- 糸井
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俺の受け取り方っていうのは、発信しなくても個性なんですよね。で、そこでピタッと来るものを探してたら、人がなかなか書いてくれないから、「え、俺がやるの?」っていう、それが仕事になってたんですよね。
- 田中
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そうですね。
- 糸井
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自分がやってることも今わかったわ。
- 田中
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(笑)
- 糸井
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僕ね、嫌いなんですよ、ものを書くのが。
- 田中
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わかります。
- 糸井
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前から、前からそう言ってますけど(笑)。
- 田中
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僕もすっごい嫌(笑)。古賀さんもすごい嫌って言ったけど、みんな嫌なんですよ、本当に。
- 糸井
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で、たぶん僕もそうですし、田中さんも、「お前って、じゃあ、何も考えもないのかよ」っていうふうに誰かに突きつけられたら、「そんな人間いないでしょう」っていう一言ですよね。そこを探しているから、日々生きてるわけでね。
- 田中
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その時に何か世の中に対して、たとえば、この水でも、「この水、このボトル、僕好きだなぁ」っていうのをちょっとだけ伝えたいじゃないですか、相手に、「僕これを心地よく今思ってます」って。
- 糸井
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そうですね。それは他のボトル見た時には思わなかったんですよ。
- 田中
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ですよね。
- 糸井
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で、そのボトル見た時に思ったから、これを選んだ。でも、また選んでいる側ですよ。
- 田中
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そうですよね。
- 糸井
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受け手ですよね。という日々ですよ。で、あえて、なんでいいかっていうのは、僕自分に宿題にしているんですよっていう。で、いずれわかったら、またその話をします(笑)。で、これはね、雑誌の連載ではできないんですよ。インターネットだから、いずれわかった時にわかったように書けるんですよね。
- 田中
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でも、とりあえず、その日は、とりあえず「これがいいなぁ」ってことはまず伝えることができますよね。
- 糸井
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そうです、そうです。
- 田中
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で、それは、「ツラツラ考えたんだけど、前もちょっと話したけど、何がいいかわかった」って話がまたできるんですね。
- 糸井
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そうです。だから、やりかけなんですよね、全部がね。田中さんがやっているのもだいたいパターンはそれですよね。
- 田中
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はい。