全国のドラマファンのみなさま、
たいへんおまたせしました。
1年半ぶりに3人のおしゃべりが復活です!
マスク、距離、換気など万全の対応で、
あややと森下さんと荒井先生が
今季の連ドラについてたっぷりしゃべります。
おっと、その前に、森下佳子さん脚本の
大ヒットドラマ『天国と地獄』についても
ぜひみんなで語りましょう。
ドラマの裏話なども飛び出すかも?
そして、みなさん、春なのにお別れです。
長く続いた連ドラチェックも最終回。
もちろん、明るく笑いながら進めますよー。
サユミちゃんのイラストもおたのしみください。
進行は、あまりドラマと縁がない永田です。
最後まで、どうぞよろしくお願いします!
ほぼ日刊イトイ新聞随一のテレビッ子。
どんなに忙しくても録画したドラマは必ずチェック。
毎週発表される視聴率なども無意味に把握。
幼少期から蓄積されたテレビの知識は無尽蔵。
漫画家・イラストレーター。高品質な似顔絵には定評が。
ドラマ、スポーツ、バラエティー番組などが好き。
キャラクターデザインを手がけたゲームの最新作は
『ダービースタリオン』(Nintendo Switch)
『秋田・男鹿ミステリー案内 凍える銀鈴花』
(Nintendo Switch・PS4・Steam)。
脚本家。『JIN-仁-』『白夜行』『義母と娘のブルース』
大河ドラマ『おんな城主 直虎』など、
数々の名作を生みだす。
NHK朝ドラ『ごちそうさん』で向田邦子賞を受賞。
そして『天国と地獄』は
今年ナンバーワンの視聴率を獲得。
- あやや
- 月9、行きましょう!
- 荒井
- 『イチケイのカラス』。
主演は竹野内豊さんですね。
- あやや
- 竹野内豊さんは、
森下さんもお好きかと思いますが。
- 森下
- 竹野内豊さんにもいろいろな
竹野内豊さんがございますが、
このドラマの竹野内豊さんは
どういう竹野内豊さんでしょうか?
- あやや
- はい! よくぞ訊いてくださいました。
ドラマの紹介などを読んで想像するに‥‥
『BOSS』の竹野内さんだと思われ!
- 森下
- おお!
イケ野内ってことですね!
- あやや
- はい、イケ野内豊さんです!
- 荒井
- ははははは。
- ──
- そんな名前が(笑)。
- あやや
- 「イケ野内」(笑)。
- 森下
- 私が勝手に呼んでるだけなんですけど。
軽やかでかっこいい方向の役柄を
「イケ野内」さん
不器用で突っ込まれ方向の役柄を
「ボケ野内」さん、と。
- あやや
- いい(笑)。つかわせていただきます!
というか、そういう扱いをされること自体、
竹野内豊さんがステキ野内さんだと
いうことだと思います。
- 森下
- あ! ステキ野内、いい! ステキだ!
- あやや
- 竹野内さんってね、もう、なんていうか、
芸能界で唯一無二の存在だと思います。
- 荒井
- すごい褒めことばだ。
- あやや
- 褒めますとも!
まず、こんなにイケメンで華があるのに、
脇役もいけるし、三枚目もいける。
もちろん、ふつうに主役もいける。
- 荒井
- 年齢もキャリアも重ねて、
ベテランといってもいい立場なのに、
いま、若手を差し置いて、
月9の主役として真ん中にいるんですからね。
- あやや
- とんでもないですよ。
森下さん脚本の
『義母と娘のブルース』では、
綾瀬はるかさんを立てることもできるし、
途中で死ぬこともできる。
- ──
- こらこらこら(笑)。
- 森下
- それ、竹野内さんの能力じゃない(笑)。
死んじゃったのは脚本の問題。
- あやや
- あ、そうか。
- 荒井
- でも、あんなふうに死んでも、
ずっと存在感が残っていたというか、
竹野内さんのあのやさしい感じが
見ている人のこころに残りましたよね。
- あやや
- そうなんです、そうなんです。
そういうことが言いたかったんです、
荒井先生、ありがとう。
- 森下
- ああ、それはたしかに、
ステキ野内さんの力ですね。
- あやや
- 私、思うんですけど、
さっき話した江口洋介さんの
役者としてのターニングポイントが
『白い巨塔』だったとすると、
竹野内豊さんのそれは、さっきも言った
『BOSS』だったんじゃないかな、と。
- 森下
- 『BOSS』はよかったですねー。
- あやや
- あそこで、ただのイケメンじゃない、
コミカルでちょっと軽薄なのに
なぜかかっこいいっていう、
新しい竹野内さんが生まれたと思うんです。
- 森下
- わかる、わかる、
軽みがあって、おもしろくて、おしゃれでね。
もう、憎めないじゃん! っていう。
- あやや
- そうなんですよー。
あ、この人、かっこいいだけじゃなくて、
こんなに幅があるんだ、
ということがわかりました。
そんな竹野内豊さんですけどね、
私、あえて期待を込めて、
今日は、これを言いたい!
- 森下
- 言いなさい。
- 荒井
- どうぞ。
- ──
- お願いします。
- あやや
- それでは僭越ながら、
竹野内豊さんに言わせていただきます!
‥‥私、竹野内さんには、
もっと、経済を動かしてほしいんです!
- 森下
- ‥‥(ぽかーん)。
- 荒井
- ‥‥(ぽかーん)。
- ──
- ‥‥どゆこと?
- あやや
- あれだけかっこいい人はね、
着ている服とか、生活スタイルとか、
みんなにもっと影響を及ぼすべきです!
女優さんは、けっこういると思うんですよ。
大人のさりげない装いや、
すてきな生活をみんなが参考にして、
その人がなにか好きになったりすると、
流行や経済がちょっと動くような方が。
- 森下
- あー、なるほど、そういう経済ね。
- あやや
- 竹野内さん、あれだけかっこいいし、
嫌味がないし、男性ファンも多いと思うので、
もっとみんなの指針になって、
社会に影響を及ぼしてほしいんです。
イケメン俳優、というところにとどまらず、
ぜひその先を見せてほしいなと思ってます。
以上、あややの経済ウォッチングでした!
- ──
- してないだろ、経済ウォッチング。
- あやや
- ともかく、言えて満足しました!
- ──
- まあ、でも、竹野内さんに対する思いは
なんとなくわかりました。
- あやや
- ありがとうございます!
で、そんな竹野内豊さんの
今回のお相手は、黒木華さんです!
黒木華ちゃん、いいですよねー。
『凪のお暇』、私、すごい好きだった。
- 森下
- かわいかったね。凪ちゃん。
- 荒井
- よかったですね。
カーリーヘアのキャラがハマってました。
- あやや
- 今回は竹野内さんも黒木さんも裁判官?
- ──
- そうですね、竹野内さんも黒木さんも、
東京地方裁判所の刑事裁判官。
ただ、タイプがぜんぜん違うみたいです。
竹野内さんは元弁護士の裁判官。
黒木華さんは、
若くして特例判事補になったエリートで、
冗談がまったく通じない堅物タイプ。
- あやや
- 黒木華ちゃん、最近は、
ぽわーんとしたいい子の役が多いから
今回はちょっとエッジが効いてる役で、
それはそれでたのしみですね。
- 森下
- 黒木華さんは、とにかく上手ですから。
嫌な人の役とかもうまいんですよ。
- あやや
- そうそうそう!
だって、黒木華ちゃんって、
朝ドラで最初見たとき‥‥
- 森下
- 『純と愛』のすげー意地悪な役だったよね!
- あやや
- そうなんです、そうなんです、
意地悪で、イヤな感じで、
でもそれがよかったんですよ。
だから、今回の役では、
いい堅物を見せてほしいですね。
- 森下
- 凪ちゃんみたいに、
「あ、これは私だ」って、
共感される役とは真逆ですね。
それはそれで、期待です。
- 荒井
- 脚本家は浜田秀哉さん。
月9では『絶対零度』を書いてた方です。
- あやや
- 『やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる』も
そうですね。
神木隆之介くんが主演した
教師のブラック労働ものですけど、
おもしろかった!
だとすると、これも期待しちゃいます。
- 荒井
- 漫画が原作ですね。
設定や世界観はしっかりしてそう。
- 森下
- 法廷劇で、裁判官が謎を解くって、
いままでありそうでなかった話ですね。
検察官まではあったけど、
裁判官が主役やるのはじめてかも。
- 荒井
- そういえば、そうですね。
ふつうのドラマだと、裁判官は
あんまり人間性を出さないというか、
ジャッジを下す中立の人で、
その下で検事と弁護士がやり合う、
みたいな感じですものね。
- 森下
- そうそうそう。
だから、裁判長が主役というのは
ちょっとたのしみです。
- あやや
- 判決って、ほら、実際の裁判でも、
泣ける判決文とか、
裁判官から異例の励ましの言葉とか、
ときどき話題になるじゃないですか。
- 荒井
- あー、ありますね、なるほど。
- ──
- 裁判の傍聴をライフワークにしている
芸人の阿曽山大噴火さんが、
おもしろい判決とか裁判でのやり取りを
ネタにしてますよね。
- あやや
- そうそう、だから、
裁判官の個性って意外にあるんですよね。
- 森下
- だいぶ興味が湧いてきました。
気が早いですけど、うまくいけば
続編も見えてきそう。
- 荒井
- たしかに、いいフォーマットかも。
けっこうたのしみです、
『イチケイのカラス』。
- あやや
- いいですねー、
ステキ野内さん主演でシリーズ化。
- 森下
- このドラマの竹野内さんは
しっかりヒゲがありますね。
竹野内さんって、ヒゲのあるなしで
けっこう印象変わる気がして。
- あやや
- わかります。今回はヒゲありです。
ヒゲ野内さんです!
- 森下
- ステキなヒゲ野内さんです!
- ──
- ほめてますね?
- あやや
- もちろん!
- 森下
- ほめてます!
- あやや
- つぎはラブコメ行きましょうー。
水曜夜10時、日テレの看板枠です。
- 荒井
- おお、公式ページに
「史上最強のラブコメ」と書いてありますね。
- ──
- 「史上最強のラブコメ」!
- あやや
- 主演は石原さとみさんと綾野剛さん。
魚オタクの海洋学者と、
ロンドン帰りのツンデレ御曹司。
- 森下
- 魚オタクって、
さかなクンみたいなこと?
石原さとみちゃんが魚オタク?
- ──
- 石原さとみさんが魚オタクですね。
- 森下
- じゃあ、さかなチャンか。
- あやや
- さかなチャンですね。
- ──
- ‥‥さかなチャンの口ぐせは?
- あやや
- ギョ‥‥さ‥‥「ウォ、ウォ!」
- ──
- 言うかよ、石原さとみさんが。
- 荒井
- で、綾野剛さんが、ロンドン帰りの御曹司。
- 森下
- 御曹司とさかなチャンはどういう関係なの?
- ──
- ええと、
海を守りたい海洋学者の石原さとみさんが
ツンデレ御曹司の綾野剛さんと
巨大マリンリゾート開発をめぐって出会う。
- 森下
- おおー、なるほど。
規模はデカいですが、
たしかにラブコメの構造になってますね。
- 荒井
- 利権とかからんできそうですけど、
ビジネスものじゃなくて、
あくまでもラブコメなんですね。
そのあたりがドラマの
おもしろさとしてはどう出るか‥‥。
- あやや
- あっ、ハーイ! ハーイ!
- ──
- はい、あややさん。
- あやや
- 脚本が『おっさんずラブ』の方です!
- 荒井
- おっ。
- 森下
- 徳尾浩司さんだ。
- あやや
- 『私の家政婦ナギサさん』も
徳尾浩司さんですよ!
パチパチパチパチパチ(拍手)!
- 荒井
- 『ナギサさん』、
おもしろかったですよねー!
- あやや
- すっごいよかったーー。
もしかして、これも、
そうとうキュンキュン系じゃないですか?
- 荒井
- 期待できそうですね。
- 森下
- たしかに、いいかも。
- あやや
- ま、ちょっと気になるのは、
『おっさんずラブ』は、おっさんどうしの恋で、
『ナギサさん』は、おじさんが
若い子の家政婦をやるっていう
設定のギャップがありましたけど、
その点、今回は設定の「カセ」みたいなものが、
いままでより弱いですね。
- ──
- でも、公式ページに
ちょっと気になることが書いてあるよ。
「彼女には誰もが驚く、
あるヒミツがあった」。
なにか、カセが用意してあるとか。
- あやや
- ああ!
- 森下
- ほんとだ、「禁断」とか書いてあるよ。
- 荒井
- 石原さとみさんのほうに
なにか秘密があるんですね。
- あやや
- なんだろう? 気になるー。
って、私たち、
まんまとつられてますね。
- 森下
- 気になりますねー、ヒミツ。
- あやや
- あっ、そして、石原さとみさんの
友だちの役で今田美桜さんも出ますね。
- 荒井
- おお、たのしみですね。
- ──
- あ、『半沢直樹』に出てた人?
- あやや
- そうです、そうです。
今田美桜ちゃん、見たーい。
橋本じゅんさんも出ますね。
なんかこれ、ラブコメとしてハマったら、
毎回おもしろくて、
キュンキュンするんじゃないですかね。
- 森下
- うん、おもしろいと思います。
期待がふくらみますね。
- あやや
- 「史上最強のラブコメ」に期待!
- 荒井
- どうでもいいんですけど、
このトップの写真、いかにもラブコメ風に、
主役のふたりが写ってますけど、
石原さとみさんはまあいいとして、
綾野剛さんはちょっと
無理してる感じないですか?
- 森下
- (笑)
- あやや
- ああー、たしかに(笑)。
- 荒井
- まあ、たまたまこの写真が
そう見えるのかもしれませんが‥‥。
- 森下
- 見る方にとっては、
お馴染みのラブコメだけど、
綾野剛さんにとってはチャレンジな
ジャンルなのかもしれないですねー。
- ──
- ラブコメというジャンル自体が
似合わないのかも(笑)?
- 森下
- でも、『カーネション』では、
コメディではないにしろ
大量の「周防さん悶絶女子」を
生んだ方なわけですし。
- あやや
- そうでした、そうでした。
- 森下
- ポスターだけで
決め込むのもなーとも思うんだけど、
連ドラチェックは
そう言う企画だからな(笑)。
困った。
- あやや
- 勝手なことを言ってすみません!
- 荒井
- あ、綾野剛さんにヒゲがないのも
原因かもしれません。
- あやや
- あーー、たしかに!
つるつるの綾野剛さんは
綾野剛さんっぽくない!
綾野剛さんはヒゲありでお願いします。
ヒゲ野剛で!
- 森下
- ヒゲ野剛(笑)。
- 荒井
- ヒゲ野剛(笑)。
- ──
- ほめてますね?
- あやや
- 今クールの特徴は
ラブストーリーが多いことなんですが、
つぎもラブストーリーです。
『リコカツ』、行ってみましょう。
- 森下
- 『リコカツ』、
つまり、離婚活動ですね。
- あやや
- はい。予告編見たら、
けっこうおもしろそうなんですよ。
瑛太さんのお芝居がすごいいい感じで、
ふたりの出会いのシーンが
ちょっと『愛の不時着』っぽくて。
- 森下
- そうなの(笑)?
- あやや
- 瑛太さんの芝居が、
熱く、極端なほうに振っていて、
とにかくおもしろそうでした。
- ──
- 瑛太さんの役は、
航空自衛隊の救難団のエース隊員。
厳格な自衛官一家に育ち、生真面目な性格。
- 荒井
- ああ、おもしろそうですね。
- 森下
- 主人公の設定が自衛隊の隊員って、
ちょっと新鮮ですね。
- あやや
- たしかに、たしかに。
その人の役柄とかキャラクターで
笑いを取りにいける感じですよね。
- 森下
- 瑛太さん、キリッとした顔もつくって、
いい気がする。おもしろそう、これ。
- あやや
- あと、相手役の北川景子さんですけど、
めちゃくちゃ美人じゃないですか。
- 荒井
- はい。
- ──
- はい。
- 森下
- はい。
- あやや
- 私、思うに、北川さんってね、
ご自分の活かし方がちゃんと
わかってると思うんですよ。
たとえば、美人が
とんでもなくでっかい声で叫ぶと、
そのギャップで場の緊張が緩和されて、
笑いが生まれるとかっていう、
コメディの勘所を押さえてらっしゃるんです。
- 荒井
- ほーー、そのあたりが、
客観視できる方なんですね。
- あやや
- だと思うんですよ。
だから、コメディエンヌとしても
なかなか可能性があるんじゃないかと。
- ──
- お話的には、離婚がテーマなのかな。
「離婚から始まるラブストーリー‥‥?」
と公式ページにはあります。
- 森下
- いわゆる純粋なラブストーリーではなく、
進んでいく方向は離婚なんだけど、
でも、やっぱり、それを通じて表現するのは
ラブストーリーなんだろうなぁ、
っていう感じがしますね。
- あやや
- きっと、そうだと思う。
そうなってほしい。
- 森下
- ね。
- 荒井
- 「新婚早々離婚を決意する」っていうのも、
ドラマとしてキャッチーですよね。
「離婚するかもエンターテイメント」とも。
- あやや
- あははははは!
- 森下
- おもしろそうー。
- 荒井
- おもしろそうですね、たしかに。
- ──
- 主題歌は、米津玄師さんですね。
脚本は、泉澤陽子さん。
『悪魔の弁護人』『大恋愛』など。
- あやや
- なるほど、なるほど。
- 森下
- 独特の、ちょっと影のあるお話を
書かれる方なのかな。
- あやや
- でもきっとこのドラマだと、
わりとコミカルな方へ振りますよね。
- 森下
- たぶんそうですね。
いわゆるハートウォーミングなほうへ。
けっこうたのしみです。
あと、瑛太さんにとっても
新境地になりそう。
- あやや
- そうそうそう、それが私もたのしみです。
でも、ドラマのなかとはいえ、
きれいな夫婦ですよねー。
北川景子さんと瑛太さんですよ。
- 森下
- うつくしいねー。
- あやや
- あの‥‥すみません、森下さんに
すごく「いまさら」な質問をしていいですか?
- 森下
- なんですか。
- あやや
- 森下さんって、仕事柄、芸能人のかたに、
いっぱい会ってらっしゃるじゃないですか。
竹野内豊さんとか、綾瀬はるかちゃんとか。
- 森下
- ああ、はい。
- あやや
- 眼球で直視できるんですか?
- 森下
- は?
- あやや
- (眼球を強くアピールしながら)
この、眼球に、あれが映るわけでしょ?
- ──
- おかしなモードに入ったな。
- 森下
- え? 目を見て話せるかっていうこと?
- あやや
- そうそうそう、
この、自分の眼球に、この眼球に、
ああいう美しい人が直で入るって、
どういう感じですか?
だって、目の前に、自分の眼球の前に、
ああいう人が現れるんでしょう?
- 荒井
- 「うわ、本物だ!」みたいに
ならないかっていうことですか?
- 森下
- え、うーーん、どうだろう‥‥。
そりゃ、あぁ、美しいとか、かっこいいとか。
なんて味のある、とか。
3次元で見るとこういう感じなのかー、
とかは思うけど。
- ──
- それは、だって、仕事なんですから、
いちいち「うひゃぁ!」とはならないでしょう。
- あやや
- もう慣れた? 慣れるもの?
もう、私だったら、もう、もう、
はっきりと足が地面から浮いちゃいます。
うれしいのもあるけど、緊張して。
- 森下
- でも、ほんとうにすてきな人って、
人に威圧感与えないですよ。
むしろ和まそうとしてくださる方が多い‥‥。
- 荒井
- あーー、なるほど。
- 森下
- とはいえ、最初の頃は、
んなこと関係なく緊張してたなー。
けど、段々、こっち方向に緊張するのって
何か違うよなぁって。
もちろんリスペクトも感謝もあるけれど、
この人たちは一緒に進んでいく
同じ船の乗組員であって、
私が本来緊張すべき相手って
見てくれる方たちなんだよね。
それに気付いてからは
オンエア日にガッチガチになるようになった。
- あやや
- あーーー!
- 荒井
- いい話です。
- 森下
- 逆にいまは役者さんのことは
マジマジと見ちゃうかも。
顔立ちとか表情とか癖とか話し方とか。
どこがどう魅力的なのか把握するのも
お仕事だし。
- あやや
- はーー、すみません、そうですよね。
私‥‥いま、森下さんに
ものすごい愚問を言ったんだな
ということに気づきました。
- ──
- (笑)
- 森下
- はははは。
- あやや
- 私、はっきり言って、
新幹線のホームとかで女優さんを見かけたら、
「ああーーー!」って
固まっちゃう人なんですよ。
でも、森下さんにとって、俳優さんたちは、
やっぱり仕事仲間なわけで‥‥。
次元の違う立場から見当違いの
質問をしちゃってすみませんでした。
- 森下
- あ! でも、ひとつ思い出した! 言っていい?
最後だし! いまひとつ関係ないかもだけど!
ちょっと長いけど!
- あやや
- 言うんでしょ。
- 荒井
- 言うんでしょ。
- ──
- 言うんでしょ。
- 森下
- 私もう何回もバッタリ会ってるのに
三谷幸喜さんに一度も
自分から声をかけられてないんです!
- ──
- えっ、三谷幸喜さん?
何度もバッタリ会ってる!?
- 森下
- そう、ほぼ日が愛してやまない
あの三谷幸喜さんです!
あるお店でね、一時期、それこそ、
あっちの席とこっちの席で
それぞれ仕事してたこともあるの。
もう、すんごい会ってたわけ。道とかでも。
でね、『直虎』をやってる時にも
お見かけしてさ、絶好のタイミングじゃない?
「次の大河を書く森下と申します。
『真田丸』からのエール、
ありがとうございました。
うれしかったです。がんばります」
って言えばいいじゃない。
(※『真田丸』終盤の第45話、
大阪冬の陣がはじまるときに、
敵勢を見ながら真田幸村が井伊の一族について
「向こうにもここに至るまでの
物語があるんだろうな」
「一度、聞いてみたいものですな」と
やり取りするシーンがあったのです)
でも、勇気出なくて言えなかったの。
でね、三谷さんの所属しているとこの
社長さんには会うわけ。劇場とかで。で、
「お見かけしたんですが、
ご挨拶できませんでした」って言ったら、
「あらそー」‥‥って会話を、
もう、何回も何回も何回も
もちネタかっていうほど繰り返した過去がある!
- 荒井
- へーーー、そうなんですか(笑)!
- 森下
- でもね、結局、そのお店潰れちゃって、
道でも、最近はとんと
お見かけしなくなったんだよ。
でも、知り合いのちっこい店に行ったらさ、
「こないだ三谷さんいらっしゃいましたよ」
とか言われたりはするの。
でも、そこでは全然バッタリしないわけ。
「三谷さんもお誘いして、みんなでお話を」
ってある方からメールいただいたこともあるの。
でも、その会は放置プレーなわけ。
もういつの間にかゴド待ちになってんの。
『幸喜を待ちながら』状態なの。
ねぇ、私、死ぬまでにもっかいバッタリあって、
三谷さんにご挨拶してお礼言えると思う!?
- あやや
- えっ。あの‥‥言ってもいいですか?
- 森下
- 言って、言って。
言うんでしょ。
- あやや
- なんでふつうに挨拶しとかないんですか。
小学生ですか。
- ──
- わはははははは!
- 荒井
- なんてまっとうなツッコミ(笑)。
- 森下
- それが出来ないんだよぉ。
陰キャだから。
- あやや
- え? 陰キャ?
ていうか、森下さん、
陰キャじゃないでしょう?
どっちかというと陽キャでは?
- 森下
- うまいことごまかしてるだけで、じつは私、
テーマがないとこから話題を切り出したり、
話つなげるのものすんごい下手なんだよ。
挨拶した先、かなりの確率で盛り下げるんだよ。
そういう前科が山のように‥‥。
- あやや
- はははははは。
- 森下
- でも、だから、ホントあややとか羨ましいし、
この場は超ありがたいよー。
こっちが「何て切り出そうかな」と考える間もなく、
話題が雨あられのように降ってくる(笑)。
話題さえ定まれば、
人っておしゃべりになれるじゃない?
結果、なんか私にも陽キャ感があふれる、
というか‥‥。
- あやや
- ああ、なるほど、それは、森下さんっぽいです。
でも、それってふつうじゃないですか?
人って、場によって、
陰キャにも陽キャにもなるでしょう?
- 荒井
- そうですよね。
太陽にも、月にも。
- あやや
- おっ、来たーー、荒井先生!
- ──
- うまい。
- 森下
- ひゃぁー。
- あやや
- まあ、ここは、ドラマ好きが
ドラマについて話す場ですからね。
みんながラクなんですよね。
- 森下
- ホントいつもありがとう、あやや。
感謝してるよー。そのおしゃべり。
サクッと話題転換してくれる荒井先生にも
突っ込んでくれる永田さんにも。
- ──
- って、なんか、
ラストの回みたいになってますけど、
まだ語ってないドラマが何本かあるので
つづきますよー。
- あやや
- よし、つぎ、行きましょうー。
あとちょっとですね。
(次回、いよいよ最終回ですー!)
2021-05-02-SUN