夏のMITTAN

MITTANが創立10周年を迎えた2023年11月、
京都に、MITTANのお店をオープンしました。
はじめての直営店です。
当面は、木・金曜の13時から17時、
そして土曜日の10時から17時のみという
短い時間ですが、スタートします。

お店はずっと持ちたいと思っていました。
創立10年目になったのは偶然ですが、
ブランドがある程度大きくなってきましたし、
スタッフも増えて環境も整ってきたなかで、
いい物件に出会ったことで、
ブランド全体をきちんと見ていただける場を
設けてもいいんじゃないかと思ったんです。

もともとMITTANの新作は
お客さまにちゃんと説明をしてくださる
ショップのかたがたに託し、
時には自分たちが直接出向いて販売をするということを
基本的な販売のスタイルとして続けてきました。
もちろん「ほぼ日」さんもそのひとつです。

けれども今回つくった直営店は、
新作のためだけの場所ではなく、
お客様から買い取った衣服を修繕したり、
染め直しをした再販品をはじめ、
ブランドの運営上発生するサンプルやB品といった、
一般の流通にはのせられない衣服を、
通常の商品と併せてご覧いただけるようにするものです。
修繕の工程もごらんいただけるよう、
ファクトリーショップのようなつくりです。

ずっと着られる定番服、
世界のあちこちからあつめた
伝統的な衣服や布も参考にしながらつくる
「あたらしい民族服」を、
という考えが基本にありつつ、
MITTANも、すこしずつ、
変化をしているのだと思います。

たとえば今回、「ほぼ日」さんでは
初登場となるスカート。

ぼくらはずっと、特定のボディを想定して
立体のものを作るという洋服的なこととは
違うやり方をとってきましたので、
スカートにしても、立体的にはつくらず、
平面の布を「巻く」ことでスカートになる、
というアプローチをとりました。
和服で言うと袴の考え方に近く、
腰にあてる感覚でしっかりウエストが安定する、
そんなイメージで作っています。

スカートですがジェンダーは想定しておらず、
自由に着ていただけたらと思います。

同じく、身体に巻いてあたためるようなものを、
という発想でつくったウールアルパカボアエプロン。

これは、天然素材だけでできたボアと
出会ったことがきっかけです。

エプロンといっても調理や水仕事ではなく、
ほんとうに暖めるためのものとして
使っていただくことを想定しています。

ウールシルクキャメルシャツについては、
試着なさったかたから
「立体的なパターンですか?」と訊かれました。
肩まわりの動きやすさを感じたんだそうです。

これは、ほぼ直線でできている平面的なパターンに、
袖口から脇を通り裾にいたるまで
巨大なひし形のマチを通すことで、
動きやすさを出しています。

マチを入れるのはいろんな民族衣裳にあるつくりかたで、
日本でも昔の野良着にはそういう原理でできているものも
ありますが、こういう挑戦もまた、
「あたらしいMITTAN」のひとつのかたちです。
ここにキャメルという素材を使ったのも、
あたらしさのひとつかもしれません。

毛綿三重織のコートとプルオーバーは、
「新素材ですか」と聞かれますが、
以前展開をした、端が切りっ放しになっている
三重織りの素材と原理は同じです。

今回は、3枚が1つになった状態で織った生地を、
縫製後に接結糸を溶かす事で
1枚1枚をバラバラにしているので、
まるでキルティング素材のように空気を含み、
まるであたらしい印象になっているんです。
強さのある生地ではありませんが、
もし破れたらそこを修繕するということを繰り返して、
長く着ていただきたいという思いをもってつくりました。

アルパカウールマントもそうです。

幅広の長方形ニットの中央に穴があって、
そこから首を出して着る、
ポンチョのようにも、マントのようにも、
あるいは首に巻いて
ロングストールのようにも使えるアイテムです。

「一枚の布がいろいろなかたちになる」
「百人に百通りの着方がある」
という意味でも、ブランドのコンセプトとも通じますし、
おもしろいものに仕上がったと思います。

圧縮ウールニットのシリーズは、
オーストラリアの羊毛を和歌山で編んだ生地ですが、
ゆるめに編み上げたあとに、
しっかりと縮絨を施すことで、
ニットの伸縮性とウールの保温性を兼ね備える、
しっかりとした厚みがありながらも、
比較的軽い素材がうまれました。

こんなふうに、昨年の「ほぼ日」でのMITTANは
セーター、パンツ、コートといった、
ほんとうに長く続けてきた
定番アイテムが多かったのに対し、
ことしの秋冬ものは、
あたらしさを感じていただけるアイテムが
並んだように思います。
ファッションとしての「新作」という気持ちより、
「次の定番」としてつくったものばかりです。
ぜひ、見ていただけたら光栄です。

(おわり)
2023年11月30日午前11時から
ほぼ日ストアにて販売いたします。

販売ページはこちら

2023-11-28-TUE

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