はじめに 2011-10-04
はじめての失敗。 2011-10-05
クラウンは難しい。 2011-10-06
これは、友だちです。 2011-10-07
子どもたち。 2011-10-10
死について。 2011-10-11
満月と新月。 2011-10-12
見えないちから。 2011-10-13
詩。 2011-10-14
昔から。 2011-10-17
木の上の家。 2011-10-18
最終回 春に来てください。 2011-10-19
 

2010年初冬──。
糸井重里はモントリオールを訪れました。
目的は、ひとつだけ。
シルク・ドゥ・ソレイユの本社で
ジル・サンクロワに会うのです。


ジル・サンクロワは、
世界的なエンターテインメント集団、
シルク・ドゥ・ソレイユの創始者のひとり。
いまなお、シルク・ドゥ・ソレイユのショーにおける
クリエイティビリティのカギを握っている人です。



ジル・サンクロワと糸井重里の関係は特別です。
ふたりは、これまで、3回しか会ってません。
しかも、そのうち1回は劇場で数分会っただけ。
ふたりがこれまでにことばを交わした時間は、
たかだか数時間、というところでしょう。

にもかかわらず、
ふたりの関係は強く、そして深い。
まるで幼なじみのように、
彼らは互いを信頼し合っています。

限られた時間のなかで
ふたりが瞬時に理解し合ったことを、
当の糸井重里も
「なんでだろうなぁ」と不思議がります。

うーん、なんでなんでしょうねぇ?

シルク・ドゥ・ソレイユの本社に入り、
エレベーターに乗って
指定されたフロアまで行くと、
ジルが自分の部屋のドアから身を乗り出すようにして、
「こっち、こっち!」と糸井に呼びかけました。



ひさしぶり、ジル!

そして、腰掛けるやいなや、
ふたりは、まるで先週会ったばかりの
友だちどうしのように、
自然に、コミュニケーションをはじめました。
(フランス語と英語と日本語を自在に操る
 スーパー通訳、角田実さんの力を借りながら)

それは、すばらしい時間になりました。

シルク・ドゥ・ソレイユの話はもちろん、
新しいショーの話、クラウンの話、
失敗の話、家族の話、キノコの話、
「死」の話、「詩」の話、
そして、友だちの話‥‥。

いまこの瞬間にこの対談が終わっても、
まったく問題がないし、
同席できたことを幸せに思う‥‥という、
うれしい時間がずっと続いているような対談でした。

端的な例をもうひとつ挙げましょう。

ジル・サンクロワと糸井の対談の場には、
「ほぼ日」の乗組員が3人、同席していました。
それぞれに、糸井重里と誰かの対談に
何度も立ち会った経験を持ちます。
言ってみれば、「すばらしい対談」にだって、
これまでに何度か同席した経験のある3人なのです。



ところが、ジル・サンクロワと
糸井重里の対談が終わった瞬間、
私たち3人は、これまでに経験したことのない
感情に突き動かされ、思わず、
立ち上がって拍手を送ってしまったんです。

そんなことって、かつてありませんでした。
終わった対談に同席者が
スタンディングオベーションするだなんて‥‥。

ほぼ同い年のふたりが、
モントリオールで交わした深いコミュニケーション。
これからしばらく連載いたしますので、
どうぞ、じっくりとお読みください。

最初は、糸井重里の
こんなことばからはじまります。

「じつは今日、なんの用事もないんですよ」


(どうぞ、おたのしみに)





  2011-10-04-TUE

 
ほぼ日「ZED」貸切公演。 これまでのシルク・ドゥ・ソレイユコンテンツ
メールを送る ツイートする ほぼ日ホームへ