1101
「ほぼ日刊イトイ新聞の本」が出るよ!

その1 「ほぼ日」創刊10日前後の文章。

その2 「ほぼ日」が創刊して半月後の文章です。

その3 創刊3か月近くの内容ざますよ。

その4 アメリカ、涙のモバイル篇じゃけえのう。

その5 98年11月頃の様子と、読者のメールです。

その6 1999年のあけぼの。

その7 テレビと遊ぶ1週間(1999年3月)

その8 情報の交易と、意味無意味について。

その9 ほぼ日・1周年近くの5篇。

その10 1999年8月に書かれた、夏の渋めの決意集。

その11 仕事をテーマに4つ(99年10月より)。

その12 生活的なものを意識して

その13 2000年1月下旬の4日間連続の文章です。

その14 「こども」を中心に、2000年5月より。

その15 おやすみシエスタの文章、2000年8月です。

【以前のほぼ日 その16】
2000年秋の夜長の「考える篇」です。


こんにちは。この連載もあとわずか。
今日は、半年前の「今日のダーリン」から、
ノンジャンル、あえて言えば「考えてる系」で
いくつか選んだものを、お届けしようと思います。

軽やかに、濃く、というほぼ日編集部のいまのテーマと、
シンクロしているような、していないような5篇です。

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2000-10-26

「ほんとうにくだらないこと」を書くのは、
ほんとうにむつかしい。
「くだらないこと」なら書けるのだ。
いくらでも、というのは嘘だけれど、かなり書ける。
くだらなさのお約束というものがあって、
そういうお約束を、散りばめておけばつくれるのだ。
そういうことも、遊びとしてはけっこうおもしろい。
恥、小心、絶望、獣性、世間知らずなどを、
実話のかたちで語って、いまはそれを客観的に語れますと、
オチをつけておけばなんとかなるものだ。
欲望をそのまま語るワイ談と似たような仕組みである。
んなものは、人間を充血させても人間をイカせられない。
だけど、ほんとうにくだらないことを書くためには、
ほんとうにくだらなくないソウルが必要になるので、
なかなか書けるものではない。
目の前で気化してしまうのではないかと思わせるような
崇高なたましいが、そこに響いてないと、
ほんとうにくだらないことの美しさにはならないのだ。
「ほぼ日」の読者諸君は、ほんとうにくだらないことを、
ほぼ日刊イトイ新聞から受け取れていない。
そのあたりが、人間としては栄養失調である。
私も、そのあたりのことについては反省している。
編集長の力量が、足りないのである。
年々衰弱していくほんとうにくだらないエネルギーの
補助タンクから、最後のガソリンを抜き取ったのは、
本人のせいではないけれど、リリー・フランキーである。
というようなリリー・フランキーの幻の本の
後書きをここに書いて、
「今日のダーリン」に代えさせていただきます。


2000-10-29

この頃の、街の悪い子たちは、
「虚脱の表情」を核にして悪い子を演出している。
テレビドラマや映画の悪い子たちに、
なんとなくリアリティがないのは、
役者の演じる悪い子たちの目が活きているからだと思う。
それに比べると、青年マンガの悪い子表現は、
かなり「虚脱」しているのでリアルを感じる。
街のあちこちに群れている悪い子たちが、
なんだか不気味で怖いという印象をあたえているのは、
あの虚脱演出のせいなのだと、ぼくは思う。
「死んだ目」をしているから、
「人間」を超えたものとして通行人には見えてしまうのだ。
「その言葉は、こいつには通じない」と思わせることで
恐怖を感じさせるという仕組みだ。
こういう恐怖感は、強い弱いと関係なく演出できる。
死んじゃってる者は、何をするかわからない。
だって価値観が「生きていること」中心じゃないんだもん。
虚脱とか、死人とか、廃人(切れてる)とかのイメージを
利用して一目置かれようというポーズが、
なんであの青年期の人たちにはカッコよく見えるんだろう。
ま、あの人たちも、結婚して子供ができたりすると、
虚脱を演出していてもなんの効果もないので、
自然に生きた人間に戻ったりするんだけどね。


2000-11-01

おじさんたら古いんだからー、と言われそうだけれど、
仕事をしながらビートルズの曲をかけると、
なんだか魔法にかかったようにいい考えが浮かぶ。
好きな音楽はたくさんあるんだけれど、ぼくにとって
ビートルズは、どうにもならないくらい特別なものだ。
もうとっくに無くなっているバンドだから、
この頃発売されるのは、「幻の」とかをうたい文句にした
録音状態や演奏の悪いやつが多かったりする。
ドタバタした若いあんちゃん的なレコードが、
このバンドの神格化された何かを壊してくれて、
かえって気持がよかったりもする。
パーフェクトなバンドであったはずもないし、
とびっきりの才能が奇跡的に集合したとも言えない。
迷いに迷っていた時期もあったし、
やっと作ったような曲もあるし、
目をつぶってエイヤッと商品にしたような詩もある。
人々が求めるから、供給の速度をあげていった。
急いで新しいイメージを生み出さねばならないから、
「でたらめ」に近いものや半完成品のようなものも、
あとは(お客さんに)まかせたとばかりにリリースした。
そういう時にこそ、生まれるものがあるんだよなぁ。
忙しい時に、自己模倣や廃物利用でなく、
新しいでたらめを提供しようとしていたということが、
このクルーを、不滅にしている理由なんだと思う。
若い皆さん、ビートルズを楽しんでくだせぇ。
ぼくは、誰の子供でもない、ビートルズの子供です。


2000-11-05

八谷和彦さんとテレビの仕事をしている時に、
話のはずみで、美術大学の公募展の審査員を引き受けた。
その当日が、11月4日にあった。
応募作品のほうは、びっくりするようなものはなかった。
ただ、学校の雰囲気や、学生たちの表情はよかった。
どう言えばいいんだろう。
生み出された作品よりも、
生み出した「本人」のほうがチャーミングに見えるのだ。
これは、いいことだけど、まずいことかもしれない。
みんな友だちとかとちゃんとつき合ってそうだし、
それなりにおしゃれだし、腹もへってないみたいだ。
しかし、いくら経済的に豊かになったと言ったって、
彼らに時間もお金もたっぷりあるはずはない。
それにしては、「欠け」を感じさせないんだなぁ。
もっとモテなそうだったり、汚かったりしても、
不思議じゃないんだけどねぇ。
これからのクリエイティブの表現をやっていく学生は、
もっとアンバランスになるくらい、
過剰に表現活動にコストを払っていくほうが
いいんじゃないかなぁ。
みんないい顔してるし、いい目をしているんだから、
もういちど「孤独」を味わったほうが強くなると思った。
(ところで、中庭の店でコーヒー頼んだくせに
途中で帰って来ちゃってごめんね。>思い当たる人)
さて、大学の方々とつきあった次は、小学校へ。
月曜日は、前橋で小学校の先生役だ。
日曜の夜に出発する。自信ねぇぞっっおお。


2000-11-06

(今回の、この文章は、「バーチャル達川くん」を
 使わせてもろぉて広島弁になおして掲載しました)
http://www.aurora.dti.ne.jp/umi/vtatsu/
今日は東京にいません。
前橋の、じぶんの出た小学校で臨時見習い教師やっとる。
どうなるんかのぉ?
わしが小学生じゃったころにゃぁ、
なーーんにもわかってんかったけぇなぁ。
授業で「詩を書きましょう」ってゆうのが、
ほっっっんとにイヤじゃったんじゃ。
そのくせ、そうゆう年頃の小学生に
「詩」を書いてもらおうってゆう授業をやるんじゃけぇの。
昨日は、「こうゆうことやっちゃダメなんでなぁ」ゆぅて
思いもっても自分なりの「進行表」なんかつくったじゃ。
ダメなんで、そうゆうことすりゃぁきって!げに。
朝の8時から撮影がはじまるらしいし、それも、なぁ。
そこから、夕方の5時までやるらしいよ。
わしのガキが小学生じゃった頃に、
あんなぁのともだちと一緒にしてから、日曜日とかに
勉強を教えたことがあったが、
ありゃぁ、なんであがぁに楽しかったんじゃろうの。
相手の性格とかがわかっとるから、じゃったんかのぉ。
まったく知らんガキたちに、
「詩」なんて、目的もなく役にも立たんことを、
はたしてから、わしゃぁどうやって教えるんじゃろう。


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(つづきます)

【おさる動画特集】
アッキイ画伯作の、おさるアニメーション。



https://www.1101.com/index0.html)
↑ふだん、こちらのほぼ日の表紙に掲載している、
 アッキイ画伯作のおさるの動く動画を、
 お見せしちゃいます(画面をクリック!)。




今までの緞帳コレクション


98年6月6日
創刊から、その夏まで(おじぎ)


98年
夏休みのもの(浮き輪)

※緞帳はシーズンごとに変わる、
ということを始めた記念すべき緞帳。

98年
秋の緞帳。

※ここで、おさる始めて頬を染める。
頬を染めるタイミングに苦労しました。

98年冬
コタツ緞帳。

※寒くなってきたから、
コタツで暖まろうじゃないか、
ということで製作した緞帳。

98年
クリスマス限定緞帳

※12/24と12/25だけの
スペシャル緞帳

99年
おならプウ緞帳

※ゆーないとさんからのリクエスト
「おさるがこたつで
おならしちゃうの、どお?」
「やりましょう!!」


99年
節分の緞帳

※贅沢にも2/3のみのスペシャル。

99年
春の緞帳

※ほぼ日始めての「春」は
やっぱり桜で。

99年
初夏の緞帳


99年
一周年記念緞帳



99年
夏休みの緞帳

※ちょっと不気味であるが。

99年
秋の緞帳。



99年
晩秋の緞帳



99年
冬の緞帳




99年
クリスマス限定緞帳



00年
新年の緞帳



00年
春の緞帳



00年
2周年記念緞帳



00年
夏休みの緞帳



00年
秋の緞帳


00年
冬の緞帳


00年
クリスマス限定緞帳


01年
21世紀幕開けの緞帳



01年
春の緞帳



このページへの激励や感想などは、
メールの表題に「ほぼ日の本。」と書いて
postman@1101.comに送ろう。

2001-04-21-SAT

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