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── |
今日はDVDになった『深夜食堂』のご縁で、
小林薫さんにお越しいただきました。
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糸井 |
お越しいただきました。
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── |
これをぜひ話してほしいとか、
そういうのはないんですが、
飯島さんのお料理を食べながら──。
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飯島 |
どうぞ。これ『深夜食堂』にも出てきた
赤いウインナーです。
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糸井 |
わぁ。
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小林 |
そうそう。糸井さんにはさ、
照れないで喋ってもらいたいですよね。
食についてとか。
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糸井 |
なんで俺に?
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小林 |
いや、だって、こう見えてさ、
やたらうるさいでしょう?
こないだも『Casa Brutus』に
お皿(カレー皿)紹介してたしさ。
僕、『通販生活』も読んでるんですよ。
そうしたら、オイルヒーター紹介したりさ。
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一同 |
(笑)。
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小林 |
それから、あるとちょっと便利みたいなやつ、
ちゃんと見つけてきてるでしょ?
僕、感心してるとこあるんですよね。
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糸井 |
どういう本気さで言ってるわけ? 今。
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小林 |
いやいや、一応流れの中で。
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一同 |
(笑)。
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小林 |
僕、生姜の話もたまたま読んだんですよ。
今、体をあっためるっていうのを。
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糸井 |
うんうん。本気ですよ。
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小林 |
まぁ、普通みんなそういうことを
気にはしてるんですけども。
僕も冷えるんですよ、年取ってきて。
今まで冷えたことなかったんです、末端なんか。
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糸井 |
うんうんうん。
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小林 |
だけど、冷えるのと、
ちょっと冬場乾燥してくると、
カサカサしてきません?
だから、なんかやっぱりこう、保湿成分が。
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糸井 |
僕はそこにいかないんですよ。
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小林 |
僕はそういうのあるんですよ。
僕、50の声を聞いてから
もう本当に自覚するようになって。
で、そのときに生姜が今。
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糸井 |
いいよ!
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小林 |
糸井さんが「ハマッてる」って言ってて。
「これ、本当体あったまるよね」って。
昔から漢方系でやってる人なんかは
生姜がいいっていうのは
わかってるんだろうけど、
ふだん、あまり気をつけて生姜摂ろうとかとは
思わないですよね?
でも、やっぱりあったかいほうがいいですもんね?
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糸井 |
いいですね。
問題意識は一緒じゃないですか。
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小林 |
僕は水割りなんか飲んでると、体が冷える。
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糸井 |
水割りは冷えるだろうね。
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小林 |
毎晩生ビール飲んで、
最後に水割りとかソーダ割りとか飲んでたら、
お腹の中で冷えてるじゃないですか。
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糸井 |
そう。酒は血管収縮させるしね。
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小林 |
ふぅん。
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糸井 |
だから、薫ちゃんが酒飲んでる時間に、
オレはちょっと生姜買いに行くかなって思うわけで。
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小林 |
でもさ、いきなり生姜買いに
行こうかなって思わないよ。
なんかきっかけみたいなのあるんでしょう?
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糸井 |
いいっていうからさ。
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小林 |
スーパーかなんかで
塊を買ってくるんですか?
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糸井 |
うん。
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小林 |
それをおろすんですか?
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糸井 |
おろしてた時期もある。
いろんな時期がある。
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小林 |
おろして飲む?
お茶の中に溶かしたりして?
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糸井 |
おろしてたときは、
生姜汁を冷蔵庫の中に
いつも保管しておけば、
いろんなものにかけられて
うまいなって思ったんだよ。
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小林 |
あ、調味料。
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糸井 |
うん、調味料として。
ちっちゃい味の素の瓶ぐらいのに
生姜汁入れておいて、
チャッチャッてやったら
いいだろうなぁって。
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小林 |
え? でも、その程度で
体ってあったまるんですか?
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糸井 |
その程度でもあったまるけど、
始まりはそのへんからって話だよ。
で、絞ったカスのほうを
ガーゼとか手ぬぐいとかにまとめて入れて。
お風呂にポンッて放り込んだら
いい気がするじゃない。
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小林 |
気がするだけ?
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糸井 |
いや!
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一同 |
(笑)。
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糸井 |
それは、だから証明するまでには
至ってないけど、いい気がするんだよ、
やっぱり。その、入れた分だけ。
生姜入れるとさ。
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小林 |
冬場とか? あったまるとか?
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糸井 |
うん、あったまるとか。
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小林 |
ほぉ〜。
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糸井 |
で、それまでにも日本酒を入れてみたり、
塩を入れてみたり、
自分なりにいろんなことをしてるんだよ。
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小林 |
工夫してますね。
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糸井 |
貧乏性なんだろうね。
で、どれもよかったけど、
生姜っていうのは一番なんかこう、
やった感があるじゃない?
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小林 |
でも、日本酒だってやった感あるような気も。
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糸井 |
日本酒はね、やった感あるんだけど、
あれね、ふっと気づいたんだよ。
皮膚から酔っぱらってるだけだって。
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小林 |
え? 酔うの?
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糸井 |
うん。
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小林 |
うそぉ〜。
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糸井 |
なるって。
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小林 |
酔うの?
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糸井 |
酔う。
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小林 |
お湯の中にそのお酒の成分が含まれてるから、
湯気を吸ってるっていうことが
酔った気になるんじゃないの?
奈良漬食うみたいなもんで。弱い人は。
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糸井 |
いや。
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小林 |
だって皮膚から吸収されて
酔うっていうことはないでしょう?
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糸井 |
中日に谷沢健一さんっていう
バッターがいたんだよ。
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小林 |
はい。
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糸井 |
その谷沢さんが怪我したとき、
「俺は酒風呂で治した」っていうのを
盛んに言ってたんで、
そんなにいいのかと思って始めたんだ。
ただ、1回ずつ鬼ころしみたいなやつを
安くパックで売ってるんだけど、
あれ1本入れるんだよね。
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小林 |
一升瓶っていうことですか?
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糸井 |
瓶じゃない。ワンパック。
あ、でも、1升か?
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小林 |
紙でも1.8リットル入ってますよ、大きいのは。
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糸井 |
大きいのよりは小さいかな?
半分ぐらいかな?
それ1本入れるんだよ。
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小林 |
ちょっと入浴剤としては高いですよね。
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糸井 |
高いね。
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一同 |
(笑)。
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糸井 |
まぁ、その間に薫ちゃんは
ビールとか飲んでるんだからいいじゃない(笑)。
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小林 |
やっぱりせめて150円ぐらいでないと。
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糸井 |
それはケチだよ。
いいんだよ。500円はOKなんだよ。
もう大人なんだから。
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小林 |
ハリウッドの女優なんかだとね、
500円ぐらい使ってそうな気がするけど。
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糸井 |
まぁね。
マドンナとかだと
ワインとか入れてるかもね(笑)。
で、日本酒、入れると、暖まるんだよ、本当に。
そんな歴史が俺の中にあって、
何も入れないっていうのは
家ではわりと認められないのよ。
あのぅ、同居人が「つまんない」って言うんだよ。
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小林 |
あ、何も入ってない、
ただのお湯は? ああ、ああ。
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糸井 |
で、なにかと入浴剤を買うんだよ。
それで彼女は女優だけど、
300円以内だよ、たぶん。
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小林 |
あぁー。そんなハリウッドの
女優みたいなことはない(笑)?
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糸井 |
ハリウッドの女優じゃないからさ。
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小林 |
(笑)。
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糸井 |
で、その中に生姜があって、
というだけのことだよ。
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小林 |
それはもともとちょっと体に
不具合があったとかっていうので
気をつけるようになった、
っていうことではないの?
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糸井 |
ない。
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小林 |
じゃあ、もう健康なのに、
さらにあっためるわけ?
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糸井 |
だからー、それはー。
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小林 |
健康なんだよね???
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糸井 |
‥‥人体実験?
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小林 |
うーん‥‥?
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糸井 |
そうだよ、「僕の好きな人体実験」
っていう本を書きたいぐらいだよ。
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小林 |
なんかあのぅ、
自分の嫁さんかなんかにさ。
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糸井 |
セーラー服を着せる?
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小林 |
いやいや、そうじゃなくて!
牛から取ったなんとかっていうの。
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糸井 |
ああ、ジェンナーね。
息子にね。
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小林 |
なんかそういう話みたいじゃないですか。
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糸井 |
だって、俺がやってるんだよ。
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小林 |
体を使って実験っていうのがさ。
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糸井 |
なんか変化することがおもしろいんだよ。
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小林 |
うーん。
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糸井 |
‥‥薫ちゃんって、
訊き役だね、ずいぶん(笑)。 |
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(つづきます) |