３月11日、
みなさんはどんないちにちをお過ごしでしょう。
こんにちは、「ほぼ日」の山下です。

本日の「ほぼ日」にはいくつかの
東日本大震災に関わるコンテンツが並んでいます。
そのひとつに、
この写真展のおしらせも添えさせていただきました。

鍵井靖章写真展 【3.11- あの日から】 From the date of disaster.  富士フイルムフォトサロン 企画展 期 間: 2014年３月７日（金）~ ３月20日（木） 午前10時~午後７時 （最終日午後４時まで・入館終了10分前まで） 会 場: 富士フイルムフォトサロン スペース2 アクセスはこちら 入場無料 会期中無休 ※詳細は「FUJIFILM SQUARE」のサイトで。

鍵井靖章さんのお仕事は、水中写真家です。
昨年の初夏にはその鍵井さんにインタビューをした
「ダンゴウオに会えたから。」というコンテンツが、
とても好評で多くの方々に読んでいただきました。
未読でしたら、よろしければこの機会に。

▲ダンゴウオ、かわいかったなぁ‥‥。

そのコンテンツでは、
震災直後から東北の海に潜り
２年にわたって撮り続けた記録を一冊にした写真集、
『ダンゴウオ 海の底から見た震災と再生』のお話を
鍵井さんはからたっぷりとうかがっています。

そのあとも、
鍵井さんは東北の海に潜り続け、撮り続けていました。

１年で、東北の海の底はどうなったんだろう‥‥？

開催２日目の土曜日に、
東京ミッドタウンの会場におじゃましました。

▲東京ミッドタウンの富士フイルムフォトサロン スペース2へ。

ああ‥‥
見覚えのあるダンゴウオの写真があります。

▲会場外周には、撮られた写真たちが時系列で展示されていました。

会場の内側に入ると、
鍵井さんが来場者とお話をしているところでした。



開催２日目の土曜日です。
途切れることなく訪れる
お客さまへの対応で忙しい鍵井さんに、
ほんのすこしだけお時間をいただきました。

こんにちは、鍵井さん、お久しぶりです！

鍵井	お久しぶりです。 きょうはわざわざ、ありがとうございます｡
───	あれから鍵井さんが 東北の海でどんな写真を撮られたのか、 きょうはそれを拝見しにきました。
鍵井	もう、ひと通り見ていただけましたか。
───	はい。 まずは、大きな写真の迫力がすごくて。 とくにその右のは‥‥タイヤ‥‥ですよね？
▲岩手県宮古市浦の沢。（2013年10月24日）
鍵井	そうです。 タイヤに天然のコンブが。 浅瀬にひっくり返っている車のタイヤで、 ぼくは２年くらい観察してたんですが、 こんなに海藻が生えたのは初めてでした。
───	はああ～～～～。 こうして見ているとなんだか‥‥ ほんとうに自分が海の中で見ているような‥‥。
▲光栄なことに鍵井さんに撮ってもらいました。
鍵井	なんていうんでしょう‥‥ 震災から２年目までの海の底は、 人工物と自然が明確にわかれていました。 それが３年目になったら、 人工物が自然と融合してきたように感じるんです。
───	はい。それはぼくも感じました。 震災直後の写真はやはり、 自然の中に人工物が「こつぜんとある」印象で。
▲沈んでいた壊れたピアノ。大船渡湾。（2011年４月５日） 　『ダンゴウオ 海の底から見た震災と再生』より。
鍵井	ええ。 それが３年目には‥‥この写真なんかもそうです。 扇風機がこんなふうに。
▲岩手県宮古市浦の沢。（2013年10月24日）
───	‥‥ピンク色の何かに包まれています。
鍵井	石灰藻（せっかいも）ですね。 サンゴモという石灰藻が付着しています。 で、 よく見てください、わかりますか？ ここにね、魚がいます。
───	え？　え？　‥‥あああーーーー！
▲わかりますでしょうか？　写真中央にいます。
鍵井	アサヒアナハゼという魚です。
───	擬態‥‥ですか。
鍵井	そう、扇風機に擬態しています。
───	‥‥魚たちにしてみれば、 これが人工物かどうかは関係ないんですよね。
鍵井	はい。 生き物たちは新しい環境を こうして巧みに利用しているだけなんです。
───	なるほど‥‥。 この車も、かなり自然と融合しているような‥‥。
▲岩手県宮古市浦の沢。（2013年10月24日）
鍵井	そうですね。 震災後から定期的に撮影している軽のワゴン車です。 時間とともに朽ちてきました。
───	ほかにもそういう写真がたくさんあるのですが‥‥ やはりせっかくなので、 この場所で見てもらいたいです。
鍵井	ありがとうございます｡ お越しいただけるとうれしいです。
───	人工物ではない写真も何点かありますね。 そのコーナーがとても鮮やかで。 
鍵井	このあたりの写真は、 宮城県の女川というところで撮ったものです。
───	あ、女川ですか。
鍵井	実はこの展示会は、 ９月に仙台でも開催するんですよ。 ぼくは基本的に岩手県宮古市で潜ってるんですけど、 仙台での展示が決まったこともあったので、 震災後にはじめて、女川の海に潜ってみました。 岩手県とはまったく違って、 この鮮やかな赤は、ホヤなんですよ。 ホヤの群生。
───	はあ～、ホヤですか‥‥。
鍵井	そして、ホヤの上のダンゴウオ。 
───	あー、かわいいですねぇ。
鍵井	かわいいですよねぇ。
───	かわいいなぁ。
鍵井	かわいい。 
───	きょうはお忙しい中、 ありがとうございました。
鍵井	いえいえ、こちらこそです。
───	これからも、東北の海には‥‥？
鍵井	まだ３年ですから。 まだまだです。 ほんとに、まだまだ。 これからも撮っていきたいと思ってます‥‥。



鍵井さん、ありがとうございました。

鍵井靖章さんの写真展は、
３月20日（木）まで開催されています。
入場は無料。
開催中、鍵井さんは基本的に在廊されているそうです。
鍵井さんの笑顔に会えるかもしれませんね。
ぜひ、お立ち寄りください。

鍵井さんと出会うきっかけになった写真集、
『ダンゴウオ 海の底から見た震災と再生』も
よろしくお願いします。
多くのかたに手にしていただきたい一冊です。