8月も今日で終わりですね。
過酷だった暑さも
ここ数日、少し引いた気配も。
まだまだ日中は蝉の声がかまびすしいけれど、
日が暮れると、虫の音があちこちから微かに聞こえてきて。
立秋を過ぎて、もう処暑なのですね。
この部屋には何度も登場していて、
わたしにとっては子どもの頃から馴染みの横浜元町 喜久家さんで、
(確か以前、書いたのは、
通っていた幼稚園で毎月行われるお誕生日会に出るケーキが
喜久家さんのレモンケーキと決まっていて、
何とかそこをチョコレートケーキに出来ないものかと
頭を悩ませた…
みたいな、どうでもいいことだったかと)
マリーというケーキをみつけました。
いつから、あったのかな。
打合せなどに持って行く洋菓子を買いに、
いつものようにバタバタと訪れたら、
ケースの中にうっすら桃色のケーキがあって
「マリー」と名札が。
ラズベリーとすぐりのムース、ゼリーに
ホワイトチョコレートのムースを重ねてあるとか。
それは、可愛らしいケーキなのです。
ダーリンイトイさんが、なぜか
この部屋に「マリー」と名づけてくださいましたけれど
(理由は聞いたことないです。
単純に片仮名変換したのかな、と。)
同じ名前のこんなに綺麗なケーキがあるなんて‥‥光栄な!
同時に、思い出したのですよね。
その元町通りにポスターも貼ってあるのですが、
大佛次郎記念館※で、
「大和和紀『ヨコハマ物語』×大佛次郎の横濱」が
9月8日まで開催中です。
わたしも、会期中にはぜひ見てみたいと思っている展覧会。
元町から徒歩10分くらいですしね、坂道ですけど。
※すみません! 更新時、記念館の名前を間違えていました。
お詫びして訂正いたします。2019.9.5追記
▲買い物で元町まで行った時に展覧会のポスターを撮ってみました。
大和和紀さんといえば、『はいからさんが通る』ですよね。
10代の頃、読んだなぁ。
はいからさんのヒロイン紅緒さんは、
おっちょこちょいで一途で可愛くて
誰からも愛される存在なのですけど、
この『ヨコハマ物語』に出てくる
万里子(マリコ)さんというヒロインは、
強烈です。
ものすごい綺麗。だけど、超絶わがまま勝手。
見たことないほど気が強い。
ただ、わがまま勝手路線がブレないと、
いつしか誰よりも潔くて純粋な
境地にたどりつくというミラクルも。
こんな単純な説明では大和和紀先生に怒られそうですが、
なんだよ、こいつ…と言いながら、
いつしか応援したくなってしまう
ヒロインの王道といえそうな存在です。
ちなみに、ポスターの通り、ダブルヒロインの物語です。
くだんの万里子さんと、幼い頃から友だちの卯野さん。
卯野さんは、優しく、辛抱強く、いつも控えめで健気。
家族愛の朝ドラにも、時代を描く大河にも、
どっちにもいけそうなタイプ。
万里子さんとは対照的です。
10代の頃、親からおこづかいをもらっていなかったので
(地味な子だったから、そんなに必要じゃなかったのかも)
漫画は友達と回し読みした記憶があります。
内容をちゃんと覚えてはいないのですけど、
読み終わったあとに友達から、
「この万里子さんてさぁ、将来ヤバいことになったら、
とりあえず尼寺に入って、
ほとぼり冷めてから還俗すればいいんじゃない?
って考え方とか‥‥真理に似てるよね」
と言われたのは、覚えてます。
そういえば、そんな台詞があったような。
わたしたちも修道院に併設された女子校に通ってたから、
そんな会話になったのかもしれないのですけど、
学生時代の友達には、
いろいろと見抜かれているものですよね。
しかし、大和和紀先生は、
本当によくわかっていらっしゃるなぁ‥‥と
感じ入った思春期の気持ちも鮮明に覚えています。
文字通り、“横”に長い“浜”だった漁村が、
東京の防波堤のような役割で開港した明治期。
ガス灯や新聞やビールやアイスクリームや西洋野菜など、
ありとあらゆる舶来品がどっと押し寄せた
小さな街の人たちは
その大波に翻弄されながらも受け止め、
強靭にしなやかに時代を生きたこと。
だから、港町 横浜の女たちのDNAには、
ちょっとやそっとじゃ滅気ない強さと明るさが
刻まれていること。
横浜で3代目のわたしは、わくわくしながら
どこか懐かしく、切なく、ものすごく楽しみに
ページをめくっていたのですよね。
会期末が迫ってますが、展覧会を見るのが楽しみです。
夏の終わり、ムースのケーキを
ちょっと冷やしていただくのもおいしいですよね。
見た目のきれいな、酸味のきいたケーキなら尚更のこと。
「ヨコハマ物語」の万里子さんにも思いを馳せつつ、
どうか、よい初秋を。
わたなべ まり
|